やっと内閣府の「平成25年版少子化社会対策白書 概要版(PDF形式)」を読みはじめました。
第2回目のコラムがリリースするまでは、できる限り公的な情報に触れないようにしていたものですから。
予想通りではありましたが、これくらい「予想通りの白書」というのも珍しいなぁ、という感じでした。
ざっくり言うと、
(1)「現状のパラダイムを一欠片たりとも壊さない」というポリシーの元での、
(2)子育て環境を改善することでの特殊出生率の増加を目指す
と、いうものでした。
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私は、この少子化問題を、
太平洋戦争に突入するか否かを最終決定した「御前会議」くらいの緊急事態と把握されているのだろう、と思っていたのですが、
―― なんか、そういう感じが伝わってこない。
この白書の作成に係わられた方には不愉快でしょうが、
『とにかく、やるだけのことやってみようよ。あとは上手くいくといいね』
と言っているように感じます。
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えっーと、ですね、私、この理由も判っています。
これはですね、現行政府の方針である、現状の「家制度」の基盤においた対策になっているからです。
最悪なのが「三本の矢」という、結婚→妊娠→出産 というパックメニューです。
特に「結婚」が最大のガンです。
私、これまでのインタビューで「ダンナはいらんが、子どもは欲しい」という女性の声を、聞いているのです。
要するに、父親はAnonymous(あのクラッカー集団の「アノニマス」とは関係ない)で良い、という非配偶者間人工授精(AID)を前提とした、シングルマザー希望の女性は ―― 結構な数、いました。
あるいは、子どもを生む為だけの為に、男性からSEXの提供だけ受けている女性の話も、です。
つまるところ、「結婚」や「家」は、面倒で、重い、ということです。
ダンナの後ろには、興味もない他人の親(の介護など)や、「子どもを生まなければ女ではない」などという下らない考えをもつ親戚がくっついてくる―― と考えるだけで、そりゃ「結婚」なんて阿呆らしくて選択できないですよ。
「自立して生きていけるのに、なんでわざわざそんな面倒を」と思うのは、自然なことです。
誰であれ、「私は『結婚』と『家』を拒否します。子どもと二人で静かに生きていくことにしました」をいう宣言を、非難できるわけがありません。
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政府は、「家制度」を維持する為の、この結婚というこのイベントが、どれだけ出生率を下げているか、分かっていないのかなぁ?
いや、判っているはずです。このような白書を作成された人が、そのような声を「一つも聞かなかった」などという訳がない。
しかし、書かなかった。いや、書けなかった、と思っています。
それは、現日本国首相の主張する「美しい日本」を、根底から破壊する内容になるからです。そんなことをすれば、自分のキャリアに大きな「×」がつくでしょうし。
私の少子化を回避した状態の未来とは、
■母と子のペアだけからなる家族(当然、姻戚関係なんぞ絶無になる)と、
■種を提供するだけの男からなる社会(その中で、大部分の男性は、種すら必要とされない)
という感じです。
「美しい日本」がどんなものか、私は知らんし、興味もありませんが、首相や一部の政治家が、発狂しそうな未来図であることは、間違いないでしょう。
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私は、「猥雑でインモラルな日本」でも、あるいは、「美しい日本」の理想(?)を推し進めて、そのまま人口減少が進んでいっても、どっちでも構いません。
ただ、社会インフラの研究員としては、
『せっかくエンジニアががんばって作ってきた社会インフラを、人口減少などという理由で停止させたくないなぁ』
と ―― まあ、詰まるところ、その程度の意識しかありません。
問題が顕在化するのは、間違いなく私の死後ですし。