先日、職場で「『新婚』に定義がある」という話を聞いてビックリしました。
なんでも「新婚とは、結婚から3年間を期間を言う」というものなのです。
ただ、その出展が不明とのことでしたので、独自で調べることにしてみました。
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実は、我が国には、「結婚法」という法律はないのですよね。
民法に規定されています(第2章 婚姻(第731条-第771条))
以前、こんな例で「結婚」のお話をしました。
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(例2)
『結婚は、所定の要件を備えた当事者間の合意で成立する。YesかNoか』
答えは、Noです。
婚姻届けを提出するという手続を行い、登録されないと結婚は成立しません。
結婚とは、法律行為で、かつ、第三者対抗要件だからです。
ちなみに、「結婚」とは実体としての「愛情」やら「経済力」やらを全く規定しておらず、単なる手続としての法律行為のみです。
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つまり「愛」は結婚の成立要件ではありません。必要なのは「書類」と「手続」です(根拠条文は、民法739条1項)。
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先ずは、民法に「新婚」があるかどうかを調べてみました。
私が期待した条文の内容は、
「新婚とは、民法第739条1項の届出による効力が発生した時から、3年の期間の満了の日までをいう」
てな、記載があるんだろうな、と思っていました。
しかし、調べながら思ったのですが、
「もし『新婚』を法律的に定義したとして、その場合、法が規定する権利 と義務はなんだろう?」
と考えてしまいました。
例えば、パリ条約26条4項風に書けば、
「いずれの夫婦も、『新婚』の期間が満了するまでは、民法第743条に規定する婚姻を取り消すことができない」
というような「離婚の禁止期間」を規定するとか。
しかし、残念ながら、民法では「新婚」という用語すら見つけられませんでした。
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次に、社会通念上の観念の方から調べてみたのですが、
「愛しあっていれば、いつまでも新婚」(→愛しあっていなければ、新婚の期間がゼロになる)だの、「新婚気分であれば、いつまでも」(→主観的要因のみ)とか、「1年」とか「2年」(→根拠なし)とか、もう、メチャクチャです。
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私が調べた限り、「新婚3年説」の根拠として、もっとも説得力があったのは、以下のものだけでした。
「『新婚さんいらっしゃい!』での応募期間が、結婚の日から3年以内」