意外に知られていませんが、ダイヤモンドというのは、その「物」自体には、あまり価値はありません。
現実に、ダイヤモンド鉱山では、産出過剰状態で、加えて人工的にも作れるので、今や希少という程ではないのです。
私の認識では、その辺の石ころよりは見付けにくいかなぁ、いうくらいです。
ダイヤモンドは「普遍的に存在して美しいもの」である、と言う人もいるかもしれません。
「普遍的」というのは結構怪しくて、ダイヤモンドは純粋な炭素の結合物ですので、実によく「燃えます」。1000度もあれば発火しますので、ガスコンロの火にかざすだけで、一発で灰になります。
遺体を焼かれる前に、ダイヤモンドの指輪を取り外すのは、常識です。
しかし、業界では、上記のような話、結構有名でして、そもそも、装飾品としてのダイヤモンドの市場は、笑ってしまうほど「安い」のです。
200万円のダイヤの宝飾品を質屋に入れたら、10万円しか貸してくれなかった、という話は、普通に聞きます。
つまり、「ダイヤモンド」も、日本の円や米国のドルも、ダイヤモンドを産出する組織や国家が、流出量をコントロールすることで、価値があるという共同幻想を作り出しているという点では同じです。
という訳で、婚約指輪に、他の宝石はともかく、ダイヤモンドというのは、私個人としてはお勧めしません。
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実は、私結婚する時に、エンゲージリングは手に入れましたけど(今は所在不明です)、婚約指輪を購入していません。
婚約指輪なんぞ「不要」という嫁さんと、価値がその金額と等価にないものを「購入したくない」という私の利害が100%一致したからです。
そんなもの買う金があったら、「100回でもバイキングにでもいって飯を喰った方がマシだ」という認識で、その我々のポリシーは一致していたのです。
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とは言え、「ダイヤモンド」というのは、世界一硬い鉱物です。これを「永遠の愛」のモチーフと考えるのは、それほど悪くない、とも思えます。
それなら、ダイヤモンドを宝飾としてカットする道具である「ダイヤモンドの粉末が埋め込まれたドリルの歯」の方が、「永遠の愛」を象徴するには相応わしい、と言えましょう。
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で、嫁さんに話をしてみました。
―― 我々の『永遠の愛』のリコンファームの為に『ダイヤモンド加工用のドリルの歯』を装したネックレスを贈るよ。
と言ったら、
「そんなものは、いらん」
と、即答されました。