「秋葉原で1000円程度で手に入るMP3プレーヤーを購入して、自分と家族に与えています」
というのが、昨日の日記の書き始めでしたが、当初と違う結論の内容になってみたので、本日は、再度書き直しです。
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昔、「カセットテープ」というものがありました ―― という書き方をしなければならなに時代になっているのですねえ(感慨深い)
「カセットテープ」とは、両面合わせて60分程度の音楽を録音、再生する為の記憶媒体です。サイズは掌で掴める程の大きさのものです。
当時、私達は、音楽というものの「カセットテープ」という「有体物」で把握していました。あるいは「レコード」「CD」とかを含み、とにかく音楽はリンゴやバナナと同じく、人間の手によって流通される「物」だったのです。
少くとも、それはネットワークを通じてやってくるものではなく、どこかの小売店で購入する「物」だったのです。
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このパラダイムを最初に壊したのが、「ダブルカセット」というカセットテープを2つ入れることのできうる、カセットテープの複製装置でした。
当然ダブルカセットでカセットテープを1本複製するのには、当然60分やら90分なりの時間が生じていたものですが、それでも「複製権侵害を助長する装置だ」といって、音楽業界からはゴウゴウたる非難を受けたものです。
ですが、我々は気楽に複製しては友人との間でカセットテープの交換をしまくっていたものです。
逆に言えば、そのような「違法流通ルート」の維持の為に、友人関係を維持していたという側面を、(少くとも私は、完全には)否定できません。
つまり、多くのCDを購入することができた「お金持ちの家の子供」というのは、優遇されるという時代であったと言えます。
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さて、ここで話は変わります。
昨日の日記で、「娘が自分のこづかいでPODを購入」した時に、私は、「いかなるサポートもしないので、そのつもりで」と宣言しておきました。
自分の力で、音楽PODへの録音や録画ができないようなら、いつまでもたってもITスキルは向上しないし、そして、
―― ITスキルがない若者の未来は、絶望的に暗い
と信じているからです。
音楽や映像コンテンツを自由自在に操れない人間が、情報の差別化を受けていくことは自明です。
ソーシャルメディアを使いこなせない若者が、差別を受けているという現実があります。例えば、求人情報を、ソーシャルメディアに限定しているという企業は、どんどん多くなりつつあります(私は不愉快に感じてはいますが)。
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で、娘の話に戻りますが、かれこれ3週間ばかり放っておいたのですが、ついに根を上げてきました。
「あるコンテンツをインストールできない」と泣きついてきました。
「ちゃんとGoogle検索してみたか」と確認したところ、「ちゃんとやった」と応えたので、さっそく取りかかってみました。
―― 30分後に完了
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「お前なぁー、ちゃんと本気で調べたんか!」と文句を言ったところ、
「ちゃんと調べたもん。2時間も」と答えたので、私はヘナヘナと床にしゃがみこみそうになってしまいました。
―― ケタが違う
せめて「20時間」と言って欲しかった。
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なんかねー、ITを舐めているとしか思えないんですよね。
ITが面倒くさくて、うっとうしくて、思い通りに動かなくて、腹が立つ、というのは、圧倒的に認めるにしても、
仕方ないじゃないですか。ITって、そもそもが、そういうものなんだから。
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「お金持ちの家の子供」が優遇された時代は終焉を迎え、今や「ITを使いこなせる資質を有する子供」が優遇される時代に変わりつつあるように思えます。
「スマホを子供に持たせるかどうか」などというレベルの議論をしている場合じゃないかもしれません。
もしかしたら、「情報機器を子供に使わせない」ということが、「子供への虐待」となるという時代は、あんまり遠くないのかもしれません。