小松左京先生の数多い名著の中でも、群を抜いて優れている著作「さよならジュピター」を読まないまま、研究所に入所してきた若者がいることを知って、結構ショックを受けています。
すでに入手困難本になっているのかもしれませんし、若い世代には、その世代の代表的なSF作品があるだろうから、上記の評価は的を得ていないと思います。
先日古本屋で文庫本を入手して、十何年ぶりに読んだのですが、まったく時代を感じさせない、本当に見事な作品。
舞台が2200年でありながら、「加速度消滅装置」やら「ワープ」やら「タイムリープ」みたな、エネルギー保存法則を無視するようなデタラメな装置を持ち込まず、この21世紀でも十分通用する、無理のない技術の設定が大好きです。
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余計なお世話かもしれませんが、エンジニアの独身男性の諸君。
君と結婚を渋っている女性に、この本を勧めてみてはどうでしょうか。
『その主人公の「本田英二」は、要するに俺のことだ!』と彼女に言い切っても良いと思うのです(少なくとも私は許します)。
技術を愛する我々は、皆、宇宙の彼方のフロンティアを目指すエンジニアだと思うのです。
ちょっと我々は早く生まれてきてしまいました。
せめて、私達は、次の世代のエンジニアを、地球という楔から解き離すようにがんばりましょう。
エンジニアに「市場調査」だの「長期技術展望」だのという、下らない検討をさせる世界から脱却させる為にも。