書籍の巻末に記載されている著書のあとがきの、最後の一言に「ムカつき」ます。
「ロス ベイエリアのレストランより」
「秋晴れのカリフォルニアを望む研究室より」
「最近めっきり寒くなった、ロンドンのオフィスより」
「小雨の振るパリの裏通りのカフェより」
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―― ああ、さようですか。エリートのあなた達は、海外で優雅に、自分の著書のあとがきを書いておられるのですか。
―― こちらたぁ、日本のクーラーも入っていないオフィスで、ランニング一枚になって、扇風機ガンガンに回しながら、報告書の作成中ですよ。いやー、羨しいことですね ―― という感じ。
と、このように、私が拗ねているのは、私の3大特性の一つ「狭量」に因るものです。
それは、判っているのですが、それでも無性に「ムカツク」のです。
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実は、私、その著者の方々が、そのような優越感なんぞを、欠片も持っていないことを、良く知っています。
うん、私くらい理解している人間もいないだろう、と思う。
なぜなら、この私こそが、そういう「ムカツク」ことを、無邪気に行ってきた当事者の一人であるからです。
私の連載にしても、世界中の色々なところが出てきますし、また、こんなのも作っていましたし。
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今の私から見ても、誠に不愉快です。「あんたは、海外で楽しそうにやっていて、そりゃ、よござんすね」と、10年前の私に、皮肉の一つも言いたいくらいです。
「英語に愛されないエンジニア」シリーズにしても、そのように感じている人がいるのは、想像に難くないです。
私は今、必死で執筆を続けておりますが、10年後に、自分の著書(「英語に愛されないエンジニア」シリーズ)を読んで、自分自身にムカついていることに、かなり確信があります。
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私の非日常的体験のコラムを、楽しんで頂いている方もいるでしょうが、それと同時にムカついている人も、相当多いだろうと思います。
この矛盾を解決する手段は、多分ないのだろうなー、と思っています。