インタビューにご協力頂き、ありがとうございます。引き続き、ご協力をお待ちしております。
それはさておき。
-----
柘植あづみ先生の「生殖技術」という本の2回目のレビューをしています。
生殖技術に関する技術面よりも、むしろその生殖技術に関わる人たちの心理に関する、徹底した調査と深い洞察が展開されています。
特に、不妊治療に関する当事者の「闇」を、冷静に、淡々と描いている一冊です。
-----
私の勤務している会社は「技術で社会に貢献する」を社是としています。
むろん、これを「単なるお題目である」と切り捨てることは簡単ですが、この社是無くして、我々エンジニアの存在意義も無い、というのも事実です。
この本「生殖技術」は、「技術で社会に貢献する」の中に、人を幸せにするものもあれば、人を「地獄にたたき落すものもある」、という現実を、私達、技術者(医療関係者も含む)に突きつけています。
「子どもが欲しい」が、いつのまにか「子どもができないこと = 自分が不完全な人間である」という思い込みに転じてさせてしまう、「世間の圧力」、「常識」という名の暴力と、そして、負のフィードバックを自己形成しながら自分の心を蝕ませていく当事者。
そして、不妊治療を「諦めさせてくれない生殖医療の技術進歩」が、当事者達を、さらなる闇に沈めていく様に、戦慄し ―― 私は涙が溢れそうなりました。
-----
心を蝕みながら、恐しく低い成功率に怯え、すさまじい激痛に耐えながら、今日も「不妊治療」なるものを行っている人が、今、存在しているという事実があります。
あらゆる技術は、例外なく「幸福」と「不幸」を兼ね合わせて存在していますが、これほど「技術が人を不幸にしている」という確かな事実を、身近に感じたことはありません。