今日は、この週末、読んでいた本の内容から、網羅的にいくつかのトピックを挙げてみます。
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(その1)
「デザイナー・ベイビー」という本を読んでいるのですが、衝撃を受けた一文があります。
「子宮は受精卵がどのような出自であっても気にしない」
えーとですね、臓器移植で最大の課題が「拒絶反応」にあることはご存知のことかと思います。
人間の体は、別の人間の体の組織を「敵」と見做して、総攻撃をしかけるようにできています。この総攻撃があるからこそ、私達はインフルエンザなどなどのような、凶悪な病気に感染しても、生き残ることができます。
なのに、子宮だけは、見も知らぬ夫婦の受精卵(胚)を、育てることができる、というのです。注意しなければならないのは、代理母の月経サイクルのタイミング(4日間)くらいなのだそうです。
私は「ベビーM事件」の最高裁判決結果(興味もある人は調べて下さい)よりも、この子宮の機能の方に驚愕しました。子宮は、乳幼児の「専用の個室」ではなく「レンタルルーム」に近いのだと。
代理母が、もちろん母体に対するリスクは、通常の出産と同様に存在(最悪、死亡事故にもなる)するものの、ビジネスとして成立しているのは(いるんです)、この、子宮の「気にしない」メカニズムに拠るのだと、ようやく理解しました。
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(その2)
しかし、子宮がスーパー機能をもっていたとしても、それ以前の問題として、人口受精等を含めて、生殖補助医療技術 (ART:AssistedReproductive Technology)による出産成功率は、驚くほど低いのです。
私がデータを読み間違っていなければ、2011年における、ART治療による、出産成功率は11.56%です。そして、40歳以上になると、数パーセントになり、48歳以上では0です。
それでも48歳以上の治療者の方は「941人」もいらっしゃる。データ表を見ながら、とても切ない気持になりました。
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(その3)
人口受精の中には、非配偶者間人工授精(AID)というものがあるのだそうです。
AIDとは無精子症の場合など絶対的男性不妊の場合に適用される方法です。つまり、男性配偶者(夫)以外の男性ドナーの精液を使用し人工授精にて妊娠を試みるのです。
―― えーっと、それって、どういうことだっけ?
と、15秒くらい考えて、ようやく気がつきました。つまり「そういうこと」です。もちろん、「あり」だと思いますし、夫婦に間において法律上も問題ありません。
根拠条文は、民法772条第1項の「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」ですね。AIDには夫の同意が必要ということになっていますから、嫡出子(ちゃくしゅつし)となり、形式的に法律上は問題なし。もちろん、それ以外には問題は色々あるでしょうが。
シングルマザー希望の女性は、勿論問題ありません。
気になったのは、誰が、精子提供者(ドナー)に成れるのだろうか、ということです。
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AIDのための精子提供者(ドナー)の条件
(1)健康青年男子であること。
未婚、20歳から27歳、適正身長、適正体重、たばこ麻薬を吸わない。輸血 を伴う手術を受けたことがない、感染症、性病の既往症がない。
(2)医学部在学中であること。
遺伝に伴う疾患に関し充分な知識があり、倫理的、社会的配慮に関してしっかりとした意見がある。
(3)精神的に安定していること。
(4)次の検査がすべて陰性であること。
B型,C型肝炎、エイズ検査(HIV1/2)、梅毒、クラミジア検査等。
(5)癌遺伝子に異常のないこと。
[選択方法]
現在の段階では、御主人の血液型(ABO、Rh型)のみマッチングして提供者を選 択しております。 その他条件(身長、肌の色など)は、考慮できません。
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つまり、私は「ドナー」にはなれません。(私は、次女誕生後に、避妊手術してきましたから、どっちみち「ドナー」にはなれないのですが)。ただ、この基準、立法化されている訳でも、政令委任でもなく、私が調べた限り、独自のガイドラインのようです。
[選択方法]の血液型マッチング、というのは、要するに「生まれてきた子どもに、できるだけAIDのことを知られたくない」ということだろうなーと、考えています。
ドーナへの謝礼についても調べてみました。ざっくり5万円以上のようですが、無償を唄っているところもあるようです。
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■日本精子バンクセンターの特徴としましては、「精子提供者を東大卒、または、東大以上の難関の国立医学部に限定」したことがあげられます。
■日本精子バンクセンターでは、男性の参加資格を非常に厳しくいたしました。
■身長は175cm以上。見た目も平均以上であり、自分の遺伝子で明らかに問題があることがない事、まっとうな定職についている事が男性の条件です。
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「見た目も平均以上」とか「まっとうな定職」という用語の使い方を、「平均以上のまっとうな組織」がするかなぁ? という気もしますが、多分、ユーザニーズの観点からは、こういう表現が一番分かりやすいのだろう、と、善解することにします。
ちなみに、「採取された精子は、0.4~1.0mlほど小さなガラス瓶やストロー容器に入れ、液体窒素で凍結する。保存期限はなく、20年以上経った精子を使って健康な子が生まれた例もある」(http://ja.wikipedia.org/wiki/精子バンク)のだそうです。
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疲れてきたので、今日はここまでにします。