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2013-09-15 「イプシロン」の打ち上げ中止は正しい [長年日記]

昨日、JAXAの新型ロケット「イプシロン」が打ち上げに成功しました。私としては、東京オリンピックより、こっちの成功の方が、はるかに嬉しい。

ところで、前回の打ち上げ中止の原因となったのが、「0.07秒のタイムラグ」というのが、―― こういういい方をすると誤解を招きそうなのですが ――「いいなぁ」と。

打ち上げ中止のプロセスを、私はこんな感じに理解しています。

(Step.1) 地上の計算機(管制センタにあるパソコンという理解でいいです)からロケット搭載の計算機(ロケットに搭載されているボードコンピュータという理解でいいです)へタイマーをスタートせよとの命令を送る。

(Step.2)この命令が地上側からロケット側に届くのに0.07秒を要したため、地上側とロケット側のタイミングが最初からずれてしまった。

(Step.3)ずれてしまうと、本来のデータと違う値がやってくることになる(確か、0.07秒前のデータが、"ヌル(NULL)"だったから、と記憶しているけど→間違っていたら誰か教えて下さい)、管制センタのパソコンが「ビックリこいて」しまった。

管制センタのパソコンの気持になって、めちゃくちゃ乱暴に表現してみると、「あれ?イプシロンが地上に『寝っころがっている』じゃないか!!」と、誤解してしまった、と。

―― そりゃ、発射中止するわな

「タイムラグ」を想定できなかったことは頂けないけど、発射中止は当然で、妥当な処理だと思えます。

特に、私は。

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「0.07秒」というと、大したことないと思われるかもしれませんが、皆さんが普段使っている電車の運行管理では「0.02秒」の時間が生命線だったりしています。

「0.02秒」の3倍の時間で、システムは電車を止めてしまいます。必要なら全部の電車も止めてしまうこともあります。

GPSの世界では、0.0000000001秒(1ナノ秒)の世界で勝負しています。こんな凄い時間制御モジュールが、あなたの車のカーナビやスマホの中に、フツーに入っています。

この1ナノ秒で勝負するモジュールは、秋葉原で5000円くらいで購入可能です。

人類は、このエンジニア達の脅威の時刻同期技術に、のけぞるくらい、驚嘆すべきだ ―― と思う。

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前回のイプシロン発射中止で、「時刻を合わせること」の重要性が世間一般に理解して貰えるといいな、と思っています。

時刻同期制御のネタで飯を喰っている私としては、もう十数年程度、このネタを使い回したいのです。