今回の帰省では、高速道路を使ったのですが、私の平均巡航速度は、
時速70km
です。
理由は「ラク」だから。
体が疲れずに運転できるからです。
それと、以前、ちょっとした試算して見たのですが、時速100km出そうが、70km出そうが、到着時刻が大して変わらんのです。
例えば、300kmを走行するとしますね。そうすると、単純計算で、走行時間は3時間と、4時間16分という、1時間以上もの違いがあるように思えます。
ところが、渋滞に突っ込めば、この100kmと70kmは、同じく40km程度に押さえられますし、時速70kmの負荷は、100kmの負荷の半分程度と感じます。
実際に運動エネルギー(速度の二乗に比例)や、視野角度などを考えると、疲れ方が小さく、休憩の時間や回数を少なくできることも分かっています。
なにより、高速でない運転は「安全」です。
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「『高速道路、平均時速70km』 のポリシーを持っている男を連れてきたら、お前たちの結婚を許してやるぞ」
と、高速道路で運転しながら、娘たちに宣言したところ、
嫁さんに「私は、そんな男は嫌だ」と突っ込まれてしまいました。
「そんなねー、若い内から、爺さんみたいなポリシーを持っている男に、娘は渡せないよ」
のだそうです。
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嫁さん:「大体、自分だって、若い内から、そんな考え方をしていた訳ではないでしょう?」
江端:「ちゃうちゃう、それ逆。若いから、このポリシーが完成したんだよ」
嫁さん:「?」
江端:「生まれて始めて、高速道路をバイクに乗った時に、その『怖さ』を思い知ったんだよ。
高速道路をバイクで走行するっていうのは、それ自体が、もう自殺行為みたいなもんだけどね、
これが『夜間』で『豪雨』という悪条件が重なった時というのは、もうなんというか、
―― 目の前に、三途の河の中の魚影まで見えるというくらい―― リアルな「死」が見える訳」
嫁さん:「・・・」
江端:「運送トラックが、バイクの横をすり抜けていく時、ジェットストリームが発生して、バイクが操縦不能になって、トラックの車台の下に吸い込まれていくんだよ。
もうね、『恐怖』なんて言葉では表現できないよ、あれは」
嫁さん:「それで?」
江端:「そして、発見したんだよ。低速で運転すればする程、『死』から遠ざかるという事実を。低速運転では、バイクを安定してコントロールできるんだ」
嫁さん:「・・・」
江端:「それに、運動エネルギーって、速度の二乗に比例するじゃない。70kmの運動エネルギーは、100kmのそれの半分以下なんだよ。『物理I』で習ったよね。運動エネルギーの公式」
嫁さん:「運動エネルギーを計算しながら、高速道路を走っている『バイク乗り』って、あんまり聞いたことがないし・・・最初から『バイク乗り』としての素質が全然なかったんじゃないかなぁ」
江端:「?」
嫁さん:「そもそも、なんで『バイク』なんかやっていたの?」
江端:「ん? そんなの、決まっているじゃん。『燃費』『機動性』『車庫不要』『安価な保険料』『単独行動』」
嫁さん:「・・・違う。何か間違っている」