河川や公園などで、「ハトに餌をやらないで下さい」という立て看板をよく見ます。
ハトの糞害で困っている人にとっては、深刻な問題でしょう。
異臭や羽塵を掃除するのは、ハトに餌をやっている人ではなく、被害を受けている周辺の住民の人になりますし、公園の清掃費は我々の税金で支払われているのです。
ハトにとっても、餌を得る為の自助努力の機会が減り、過剰な繁殖の機会を得て、無駄に死んでいく個体も多いでしょう。
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私はここで、公序良俗に関するモラルを説こうという意思はなく、なぜ、多くの人はこのような振舞いをしてしまうか、ということを考えていました。
でも、結構、簡単に結論が出ました。
「(虚構の)権力の具現化」です。
―― クックック、下々の者が、私の投げる与えるもにに集まり、相争うとは、全くもって、おぬしらは見苦しいのう
―― 「この餌を食べずに立ち去る」という誇りも矜持もないのか、この下等動物めが!
と、まあ、全ての人が、そんなことを考えながら餌を与えているとは、私でも思いませんが、
心のどこかで、この想いに繋っているハズ、と、私は確信しているのです。
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そのようにでも考えないと、対面や人の目を気にしがちな気質を持つ日本人である我々が、
「ハトに餌をやらないで下さい」という立て看板の「横」で、平気で餌を与えている人の、
その「人数の多さ」が説明できないのです。