皆さんが「安全」と考えているものと、制御システムで定義されている「安全」は、随分違います(が、今日はこの話はしません)。
今、「原子力安全工学」という資料を読んでいるのですが、なかなか怖い記載があったので、一部ご紹介など。
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■スリーマイルアイランド原発事故においては、
設計時には想定されていなかった運転員のエラーにより事故が発生し、中央制御室は、100を越える警報が一斉に点灯して、何が起きたのか判断できなくなる状態になったそうです。
これを、「クリスマスツリー(警報雪崩)」と呼ぶのだそうです。
映画では良く登場するシーンですが、できれば、こういう「微笑ましい」とは対局にある光景を見ることなく、一生終えたいものです。
ともあれ、多重安全設計で「がんじがらめ」にされている巨大システムが、ささいな運転員の操作ミスで、驚くほど呆気なく崩壊していくという、最良の実施例を提供することになりました。
比して、
■福島原発事故においては、
全電源喪失となり、いわゆる
「逆クリスマスツリー(警報無言)」(命名 江端)
となった訳です。
今まで、ピカピカ点滅していた装置、監視用モニタ、そして原発の健全性を証明する計器が、一瞬で全部沈黙。
叩こうが蹴ろうがピクとも動かない。
こっちも、映画では良く登場するシーンです。
映画の場合は、スリル感を盛り上げるために、徐々にシステムが壊れていくシナリオになりますが、こちらは、映画よりももっと壊滅的。
これでもか、これでもか、というくらいに、うんざりする程、多重に準備されたバックアップ電源が、津波による水没で一気に(多分1分内くらいで)全滅。
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制御システムに関わる者として、また、既婚者として、「クリスマスツリー」も「逆クリスマスツリー」もいりません。
何も起こらない、普通の日常が一番いいです。