次の日、加藤さんに「薪を取りに行くのでついてきてくれ。」と言われ、慌てて準備
し、軍手をはめながらトラックに乗り込みました。朝の7時は冷え込みも厳しく、トラ
ックの中も冷凍室の様でしたので、助手席に座ってしばらく震えていました。
5分程も走った後、倒壊家屋の前でトラックが止まりました。
運転手の加藤さんに「じゃあ、薪を運んで荷台に載せて!!」と言われましたが、薪 などどこにも見当たりません。
確かに。これなら十分、いや使い切れないほどあります。釘の飛び出しに注意しな がら、木材をトラックの荷代に積み上げます。かなりの材木を搭載した後で、トラッ クは被災地となっている公園に行き、その公園の中にぶちまけてきます。これって 『犯罪じゃないかな』という気もしましたが。
公園に避難している人たちは、この薪で暖をとるしか手段がありませんので、大変貴 重な資源となっているのです。ですから、避難している人達の間で薪を巡るトラブルも 少なくないそうです。
公園の中にある石でできている狛犬や石段も、四方八方に砕けて散らばっていました が、おじいさん達がこの石を避けて、材木を引きずって持ち帰っていました。