大学院の学生の頃、いつものように研究室で実験をやっていたときのこと、
後輩が数人どやどやと入ってきた。
つかつかと私の方に近づいてくると
「江端さん!!あなたは何てことを!!」
と、いきなり叱られてしまった。
「な、何かしたっけ?」
とおどおど答えつつ、忙しく最近の失敗ごとを大急ぎで思い浮かべようとしていると
「みんな一生懸命研究をやっているのですよ。その研究室の最年長者たるものが、
ったく、なんてことですか!。立場をわきまえて下さい。」
どうやら冗談ではないらしい。
「す、すまん、反省する。気をつける。」
とひたすら頭を下げて謝った。
「本当に困りますよ。しめしがつきませんからね。」
と、ぶつぶつ言いながら、立ち去ろうとする後輩の背中に
「あの〜、私は何をしたのだっけ。」
とおそるおそる尋ねると、
「ベル○○○ウ(知る人ぞ知る、京都川端通りの有名なラブホテルの名前)の前に江端
さんのバイクが堂々ととまっているのを見ましたよ。」
「は?」
「江端さんのバイクDT125です。」
「それは、いつのこと?」
「皆でお昼を食べに車でベル○○○ウの前の、餃子の王将に行ってきたときに、目撃し
てしまったのですよ。」
私はその日、報告書をまとめるために、朝早く学校に来ていた。
ちなみにバイクに乗ってきた。
同じバイクが止まっているだけで、疑いをかけられるほど素行は悪くないんだけどなあ。