ゴールデンウィーク明けの初日、会社からのメールでそれを知った。
ゴールデンウィークの2日目のことだったらしい。
そして、今日、初めて、彼が入退院を繰り返していたことを知った。
これまで、何度か大きな手術を繰り返していたらしいことも。
かつては同じグループのメンバだったのに、
私は何にも知らなかった。
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「江端さん。今、遺品を整理しているのですが」
と、後輩から言われた時、ボーッとしていた頭を、いきなり床にぶつけたような衝撃を受けた。
『遺品』 ―― 聞きなれない単語。
「これは、どうしましょうか」
彼が見せたのは、特許発明者のみに授与される米国特許証。
私は、
「御遺族に差し上げるように」
と言った後で、
「『とても素晴しい成果で、大変名誉なものです』とメッセージを添えて」
と彼に頼んだ。
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まだあんなに若かったのに、
優しくていい奴だったのに、
お子さんと奥さんを残して、
どんなに心配だっただろうか、
どんなに悲しかっただろうか、
どんなに苦しかっただろうか、
どんなにこの世の不条理に憤りを感じたことだろうか、
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帰宅の途、誰もいない深夜の雑木林の小道で、
私は泣いた。