『江端さんのひとりごと』の使い方
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先日、大学の後輩の結婚式に参列するため京都に出かけることになりました。
今年のゴールデンウイークには、私は東北を一人旅をしていたため、実家の名古屋
に帰省しませんでした。そこで、今回は後輩の結婚式前日に、名古屋で途中下車して
実家に帰省することにしました。
土曜の夜は実家に泊まって、翌日父が車で名古屋駅まで送ってくれました。これは
、車の中での父と私の会話です。
- 父 :
- 「で、智一(私)。この前の例の娘とは、結局駄目になったのか?」
- 江端:
- 「そうだね〜。やっぱりそういうことになるのかなぁ・・・。よくわから
ん。」
- 父 :
- 「もしお前が自力で相手を連れて来れないと言うのであれば、俺がだなあ・・」
- 江端:
- 「ああ、その時はよろしく頼むからさ。おやっさん。」
と、助手席のシートで軽く伸びをしながら、私は父の言葉を軽くあしらっていました。
- 父 :
- 「実は、取引先のMデパートに、えらく美人の娘がいてな。」
- 父 :
- 「会合の時に、色々世話をしてくれて、よく気が付く娘だった。」
- 父 :
- 「でな、知り合いの人にお前のことを話して貰うように言ったんだ。」
慌てて何かを言いかける私に先んじて、父は続けました。
- 父 :
- 「もちろん、お前は全く承知していない、と加えてだけど。」
相変わらず勝手なことをする困った親父さんだなあと思いながら、私は父の話を聞
いていました。
- 父 :
- 「で、結局その娘には、既に決まった人がいるらしいとのことだった。」
- 江端:
- 「なんだ。じゃ、何もなかったことと同じじゃないか。あほらし。」
- 江端:
- 「大体ね、お見合いすらしていないのに、先方にも失礼じゃないか。私と
いう『人柄』も分からないのだし。」
- 父 :
- 「それでな、お前がFAXで送ってくるあの文章な、えっと、『ひとりご
と』やら『こぼれ話』だったっけ、をその娘さんに見せようと思っていたんだ。」
その話を聞いたとたん、私は正面のフロントガラスを凝視しながら、顔からサーと
血の気が引いて行くのがわかりました。
父はことの重大さを全く理解していないような、気軽な様子で答えました。
- 父 :
- 「もちろん話自体が無くなったから、何もしていない。」
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その後、私は父にしつこいほど十分に『決してそのようなことをするなよ!』と念
をおして、特に『日立こぼれ話』の方は十分に裏を取っていない記事だから、と繰り
返しました。
- 江端:
- 「おやっさん、いいかい。あの話が表に出た日にゃ、俺は下手するとこう
なるぜ。」
と言いながら、私は自分の首にぴたぴたと手を当てていました。
『親父さん。俺は結婚しようと思えば3日もあれば十分だから、今のところは、ほっ
といてくれてもいいから』と、相当信憑性の低いことまで父に言い含めていました。
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しかし、よくよく考えてみれば、この男は江端智一の父親なのだ、と今更ながら
自分の家族が恐くなってきました。
恐るべし!親子の血!!
私の父親なら・・、そう確かに、何をしでかすか、どんな非常識をするか、全く予
想できない奴のはずです。
Tomoichi Ebata
Sun Feb 4 19:06:42 JST 1996