今回のコラム
[『結婚を計算する』番外編] (後半)同性間で子どもをつくることは可能か?将来的には高い確率で可能〜その技術的検証
で、私は3つの方法を提示し、いずれも違法行為と書いたのですが、最後の方法「(3)iPS細胞を使う方法」だけは、合法ではないかと思い直して、もう一度検討をしてみました。先ず、(1)の方法は、一部のDNAを変化させるものの、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(クローン規制法)」の第2条第4号の「体細胞」に、かつ第10号の「人クローン胚」に該当するので、第4条でアウトになります。
また、(2)の方法も、減数分裂後の染色体を使っていますが、やはり、第10号の「核を有するものがヒト除核卵と融合することにより生ずる胚」に相当すると思いますので、こちらもアウトでしょう。
ところが、「(3)iPS細胞を使う方法」は、「体細胞」を使っていません。使っているのは、当人の「卵子」です。当人の卵子を取り出して、精子を注入して胚にしたものを子宮にもどすことは、クローン規制法の対象外です。
また、女性のiPS細胞からから精巣を作ることや、その精巣から精子を得ることが違法行為であるなら、治療の為に造血細胞を培養する行為や、骨髄移植自体もアウトになるはずです。
さらに、最後に、上記の精子を上記の卵子に注入する行為が違法行為であるなら、現在実施されている体外受精による不妊治療は全てアウトのはずですが、そんな話は聞いたことがありません。
そもそも、第三者の「男性」から「精子」の提供を受けて妊娠する非配偶者間人工授精(AID)が違法ではないのですから、第三者の「女性」から「精子」の提供を受けて妊娠する人工授精が違法になる訳がありません。
こちらも基本として女性カップルのケースと同じです。
概要としては、(Step.1)男性のiPS細胞から卵巣と卵子を作り(合法)、(Step.2)その卵子と、もう一方のパートナーの精子を体外受精させ(合法)、(Step.3)代理母の子宮に着床させて貰う(合法(*1))、という流れとなります。
(*1)日本産科婦人科学会による自主規制があるが、違法ではない。
現行法においては、[『結婚を計算する』番外編] (後半)同性間で子どもをつくることは可能か?将来的には高い確率で可能〜その技術的検証に記載の「(3)iPS細胞を使う方法」であれば、「同性間ベビー」には違法性はないと考えます。
私は、「同性間ベビー」の実現には、半世紀程の時間が必要かと漠然と考えていましたが、もし法律が立ち塞がなければ、5年〜10年くらいの間で、私達は人類初の「同性間ベビー」と出会えるかもしれません。
2014年3月27日 江端智一