▼ニューヨーク各地で時間が狂い始めた原因を、刑事と神父の二人が探し求めてその正体を暴く。「時間が盗まれている!」(ジェイムズ・P・ホーガン「時間泥棒」)。
▼仕事で2年間程米国に赴任した折に、私は米国の文化の一端に触れる機会を得ましたが、その時心底感心した米国文化にの一つに「徹底した時間のコスト意識」がありました。
▼もし会議が1時間と決っていたら、司会者は議事内容がどれだけあろうと、絶対にその会議を終了させます。そこには上司も部下もありません。予定通り終了できなかったら、その司会者の評価は地に落ちますし、予定時間を過ぎたら、皆、帰ってしまいます。
▼「なんで、そんなにpunctualな訳?」と聞いた私を、同僚は私を不思議そうに眺めた後で逆に尋ねました。「自分の時間を盗まれてもいいの?」
▼そんな訳で、帰国後の私は、会議を金額に換算する癖が付きました。特許ブレインストーミングから、全体集会まで何もかもです。全体コストとして試算すると本当に気が遠くなるような金額になることがあります。
▼「コスト意識改革」のような、どっかのセミナーのようなことを言うつもりはないのですが、会議中に私が恐しく不機嫌な時はおそらく、自分の財布から千円札を一枚づつ抜き取られている、と妄想していることは間違いないと思います。