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2013-10-01 インタビューに応じて頂けるお医者さん、看護士さんはいらっしゃいませんでしょうか? [長年日記]

私の日記を読んでいる方で、インタビューに応じて頂けるお医者さん、看護士さんはいらっしゃいませんでしょうか?

産婦人科のお医者さん、または看護士さんにインタビュー(今度は、アンケートではなくて、インタビューです)がしたいです。目的は、生殖医療の一般的な技術(×先端技術)について教えて欲しいのです。

質問のサンプルをいくつか挙げさせて頂きますと

■なぜ、ある年齢を越えると、恐るべき比率で出産率が低下していくのか(ARTも含み)

■なぜ、代理母の子宮は他人の胚(受精卵)の拒絶反応を起こしにくいのか

という、テクニカルな質問が主でして、倫理とか心理とかは、サブに控えさせて頂く、というインタビューイメージになると考えております。

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江端のインタビューにおいては、(1)ご希望のクレジットの表示/非表示の厳守、(2)情報ソースの絶対的守秘、および、(3)一文字単位の事前の原稿フルチェック(必要なら直接編集して頂く)いう、3つの原則を守り続けております。

できましたら、東京都または隣接都道府県にお住いで、週末なら嬉しいです(サラリーマンですので)。しかも、ノーギャラです。 ランチくらいであれば、なんとかポケットマネーで行けるか、と。

できうる限りの、勉強(予習)をして参上する予定です。

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インタビューを受ける方のメリットは全然見えませんが、ご協力頂けましたら、私の方はとても幸せになれます。

何卒、よろしくお願い致します。


2013-10-02 「とりわけ最も効率がいいのは第2次性徴期の少女の希望と絶望の相転移だ」 [長年日記]

キュウべえ:「とりわけ最も効率がいいのは第2次性徴期の少女の希望と絶望の相転移だ」(魔法少女まどかマギカ 第9話)

―― 感情エネルギーの取り出し技術が、一般的なエネルギー抽出技術より簡単というのは、フィクションでも受け入れるのが難しいなぁ。

―― 特殊相対性理論の式(E=MC^2)にあて嵌められるように、まどかの体重分の質量を、励起状態に持っていける技術開発の方が、ずーっと簡単なような気がする(ただ、この方法でもエントロピーの増大は防げない)

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キュウべえ:「まどか、君はエントロピーという言葉を知っているかい? 簡単に例えると焚き火で得られる熱エネルギーは木を育てる労力につり合わないって事さ。エネルギーは形を変えるごとにロスが生じる。宇宙全体のエネルギーは目減りしていく一方なんだ」

―― キュウべい。君はプレゼンテーションに失敗している。まず、説明の対象(中学生)に対しても相応わしくなく、説明の方法(提示する図表)も、悪戯にオーディエンスを怯えさせているだけだ。

私が「エントロピー」を説明をするなら、「これを読め」と言うだけですね。大丈夫。このコラムだけで、小学生5年生(次女)もちゃんと「エントロピー」を理解しました。

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このコラム、1996年にリリースしているのですが、賞賛して頂いているブログをたまたま読み、 これが「魔法少女まどかマギカ」のあの名場面とリンクしたので、ちょっと書いてみました。


2013-10-03 「一秒」でも「疾く(はやく)」 [長年日記]

先日の飲み会で、若手研究員に「将来の結婚可能性の推移予測(以下、江端予測)という」を説明した所、面白い反応を得ましたので、ご紹介します。

■江端予測を正面から否定し、これからの時代は、30〜50歳代が「主戦場」になるのだ。故に『「私の結婚」は安泰である』という意見

■逆に、「30歳代までの結婚率が当面維持される」という江端予測は甘く、今後、悪化するという意見

■人口問題を「閉じた系」で考えることはもう無理。外的要因をもっと取り入れるべき(特に移民)ではないか、という意見

とまあ、なかなか楽しい意見を聞くことができました。

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後輩:「しかしですね、江端さん。私は『予測』なんかどうだっていいんですよ。問題は、私が結婚に至る為の具体的な『戦略』なんですよ。分かりますか?戦略ですよ、戦略」

江端:「『戦略』は今回のスコープに入っていないなぁ。まあ、アドバイスくらいはできると思うけど」

後輩:「なんすか? 『早く結婚しろ』とか、そんな話ですか?」

江端:「いや違う。そんな(パワハラ/セクハラごとき)台詞を私は言わない。しかも、それは正確でもない」

後輩:「?」

江端:「私のアドバイスは、『「一秒」でも「疾く(×早く/×速く)」結婚しろ』だ」

その時、一瞬、場が"シンッ"となった ―― 気がしました。

江端:「私のデータ解析では、結婚率は、生存期間と恐しく強い相関関係があって、しかも、指数関数的(×線形的)に悪化している兆候が見えて来ているんだよね。まあ、あと5年もすればハッキリすると思うけど」

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今になって思うと、若手研究員の楽しいお酒を、随分「不味いもの」にしてしまったかなぁ、と反省しましたが、もう後の祭でした。


2013-10-04 「妊娠」という精密制御システム [長年日記]

個別でメールは差し上げられませんが(原則、頂いたメールアドレスは消去しますので)、インタビューにご協力頂き、ありがとうございます。引き続き、ご協力をお待ちしております。

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昨日から、私は「妊娠」「生理」等について一生懸命勉強しております。

生殖医療技術について理解するのに、これらの知識がなくては、お話にならないことに、ようやく気がついたからです。

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しかし、当然のことながら「妊娠」「生理」は、女性向けのものが圧倒的に多く、かつ、現象面、心理面からのアドバイスが殆どを占めます。

―― そーゆーことではなく、私は、妊娠のメカニズムとシーケンスが知りたんだよ!

と、パソコンに表示される、女性の子宮モデル図に目をこらしながら(最近、老眼の進行が激しい)、喰い入る様に読み込む、中年男性一人。

はたから見れば、さぞ「気持悪い」光景だろうと思います。

しかし、こういう調査をすることを、少くとも自分自身だけは「正当化」できるという、今の立場(コラムの執筆)は ―― 悪くない。

「女性器」の構造図だけでなく、「まどか」を、「初音ミク」を、「同人誌」を、「ボーイズラブ」を、正々堂々と調べることができ、かつ、その行動の全部に対して、

『調査だ』

と、言い張れるこの立場は、なんというか、

―― 素敵。

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それはさておき、まあ、そんなこんなで、目を酷使しながら、妊娠のメカニズムとシーケンスが、大体判ってきたのですが、

―― 何なの? この美しく調和が取れた、精密制御システムは?

と、感動しています。

GPSの位置補足方式(特にスペクトラム拡散)を初めて理解した時のような、怒涛のような感動に浸っています。

初潮が始まった少女向けには、このような生殖教育を行っているのかもしれませんが、寧ろこれは「少年」の方に教えるべきではないかと思うのです。

このような、美しく調和が取れた、ロバストであると同時に、簡単に壊れうるデリケートな「生命誕生システム」を有する女性を、男性は、最大限の努力で「保護」しなければならないのだ、と ―― ある種の男性(例えば、私)なら、そういう方向で理解できると思う。

「人権」というアプローチがを正道というのであれば、このような「システム」という観点から異性を理解するというのも、私は「あり」だと思うのです。

[ツッコミを入れる]

2013-10-05 「よく分からないけど、私の知らないことを、この人は知っているのだろう」 [長年日記]

寄稿コラムに対するツイッターを見ていると、「嬉しい」「楽しい」と思うものもありますが、「腹が立つ」ものが多いです。

そして、私は、その「腹が立つ」方のメッセージを、忘れません。

そのような「腹が立つ」メッセージを、全部、ツイッターのアドレスを含めて全文を日記で公開して、全部論駁してやろうか、というプランを考えています ―― が、未だ実施しておりません。

『江端のコラムに下手なコメント付けると、えげつないないやり方で撃たれる』

という、風評だけは抑えなくてはならない、というところでギリギリ踏ん張っています(もう「手遅れ」だという気もしていますが)。

「むかつくけど、正しい」「悔しいけど筋は通っている」「よく分からないけど、私の知らないことを、この人は知っているのだろう」と思えるコメントまでを、消したくはないのです。

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特に、「よく分からないけど、私の知らないことを、この人は知っているのだろう」と思わせるようなコメントが問題となります。

「難しい専門用語」を使っているコメントとか「ロジックが間違っている」という主張に対しては、

―― 私は喰いつく。徹底的に喰いつく。

■その専門用語を周到かつ完璧に調べ上げ、

■間違っていると指摘を受けたロジックは、およそ想像し得るあらゆる角度から分類し、比較し、検討し、吟味し、分析し、体系化した上で解体し、統合し、止揚し、脱構築化した後に再構築を試みます。

その上で、質問のコメントを返します。「分かりません。教えて下さい」と。

で、その結果の殆どが、この有様です。

ツイッターを書く人は、20秒程度で書いているのでしょうが、私は、少くとも20時間以上はかけています。そして、「専門用語」とか「ロジックの瑕疵」について、散々検討した挙げくに、この結果。

「そりゃないよ」と本当に泣けてきます。

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私は今回のようなネタについては、厚生労働省に勤務している方とか、人口問題のNPO法人の方から、厳しい意見を貰えると期待して待っているのです。

勿論、身分を明かして頂く必要はありません。メールで議論させて頂ければ、私だって察することくらいはできます。

それとも、そのような方々には、厳しい守秘義務か、自己倫理に基づく秘密保持を行っているのかもしれません。大切な国家戦略であれば、やすやすと外部に流出する訳にはいかないのかも、とも思います。

というか、根本的に、そのような人達は、ツイッターなどには、関わらないようにしているのかもしれません。

まあ、それはさておき。

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「ツイッターは、つぶやくメディアなのだから、つぶやいたことに、そんな厳しい対応をされても困る」

という意見が、もう世の中で通用しないことは、ご存知の通りです。

それでも分からない人の為に、例で挙げてみましょう。

すれちがいざまに「ブス」とか「ハゲ」とか「臭い」とか言われても、これは「つぶやき」で、「言論の自由」で、「表現の保証」だ、と思える人は、それは、それで結構です。

しかし、私は、そちらには与しない。

私は、絶対に逃がさない、と決めたのです。


2013-10-06 貨幣や紙幣なんか、無くなってしまえばいいのに [長年日記]

私が日頃から「うっとうしいなあ」と思っていることにポイント制度があります。

スーパーに行く度、家電品い行く度に、一枚一枚カードを作らされ、持たされ、取り出しさせられる苦痛が、どうして小売店にはには分からんだろうか、と本当に不思議です。

年に1回、多くても2回しかいかない、紳士服の小売店で、「当店のカードをお持ちですか」と問われると、『そんな財布をかざばらすだけのもの、持ち歩く訳ないだろうが』と、思います。

コンビニで、毎回「Tポイントカードはお持ちでしょうか」と問われると、

SUICAやPASMOで、財布をリーダーに置くだけで買い物ができる環境にあって、財布からカードを取り出させる作業をさせる、この不細工なシステムを運用させている小売店の経営陣に、

―― 憎悪を覚える。

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携帯やスマホで支払いできるのだから、カードなんぞではなく、アプリで対応してくれればいいじゃないか、と思う。

顧客に、財布の中を探し回らせることに、何かのメリットがあるのだろうか、と思い、文献などを調べてみたのですが、見つけられませんでした。誰か知っている人がいたら教えて下さい。

そもそも、今だに、あのチャラチャラした小銭や紙の印刷物なんぞを使わせ続ける、小売取引市場の現状に、腹が立ちます。

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もう、ポイントは、電子マネーと一緒に、雲(クラウド)の中に叩き込んでしまっていい。

本人認証は、運転免許証に入っているICチップを非接触デバイスで使えるようにしてしまえばいいし、もう、いっそうのこと、顔でも指紋でも、何でも使ってくれても構わん。指から出ている汗を使って、DNA解析をして貰っても構わん。

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普通の人は、ここまでフラストレーション貯まらないと思うのですが、システムのエンジニアである性で、「できるのにやられていない状態」にイライラしてしまいます。


2013-10-07 「英語が使える/使えない」によって、国内の介護・医療の品質について、差別を受ける時代がやってくる [長年日記]

自分で計算しておいてなんですが、日本の人口問題は、かなり深刻です。

そんでもって、人口問題は、高齢社会問題、税収の問題、その他の問題と強く繋っています。

もしかしたら「なんとかなる」のかもしれませんが、そのような手段が、私にはイメージできずにいます。

いや、方法はあるんですよ。そりゃ、もう、いくらでも。

例えば、イスラム原理主義のように女性の人権を蹂躙しまくって「子どもを生む機械」とする方法や、民法に規定する結婚制度の廃止、子どもの譲渡担保や債券化、非配偶者間人工授精(AID)の無制限化、など、挙げればいくらだって考えられますが ―― どれも難しく、現実的ではなく、また、ここまで立ち戻ることはできないでしょう。

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私が考えている現実的な解は2つ。(1)機械化と、(2)移民受け入れ条件の緩和です。

ネタにしようと思っているので、今は詳しく話せませんが、上記(2)に関しては、多分、日本の労働力を担ってくれる外国の人を大量に受けいれるしかないと思っています。

特に、高齢化社会における医療、介護現場では、この手段しかないんじゃないかと思っているのです。

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しかし、日本は、外国人労働者をなかなか受け入れていません。

一例ですが、例えば、日本で「看護師をやりたい」というアジアの人は、結構な数いるようなのですが、この受け入れ数が凄く少ないのです。

大きな理由の一つが「日本語」です。資格試験も日本語なら、実地試験も日本語で、しかも、そのトライアルの期限が非常に短い(たしか3年?)。

これでは、最初から「受け入れを拒否」しているようなものです。特に語学に関しては、日本人であれば、その難しさをよく理解しているはずです。

ただ、医療は、人命をあずかる仕事。円滑なコミュニケーションが前提でなければ、命にかかわる問題が起こることも、確かなのです。

一方、「日本語が流暢に使えることが前提」などと、贅沢を言っていられる時間は、そんなに長くありません。

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せめて資格試験を「英語」で統一すれば、フィリピン、シンガポール、インド、マレーシアからの人ならオールクリア。台湾、香港でも英語を使える人は多いそうです。

しかし、そうなると、病院でのオフィシャルランゲージが「英語」となります。

日本人の医師や看護師、その他の業務に関しても「英語」が徹底されますが、まあ、彼らはその資質があるとして、最大の問題は、

患者も「英語が使えること」が条件となることです。

英語で自分の病状を説明しなければならず、正しく説明できない場合は、命の危機に晒されることになります。

つまり、「英語が使える/使えない」によって、国内の介護・医療の品質について、差別を受ける時代がやってくる、ということです。

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「グローバル化」というのは、実は外側(海外)に向いているのではなく、本当は、内側(国内)に向いているのではないか ―― そう思うようになってきました。

英語を使えない人は、「海外で困る」のではなく(海外なら「行かなければいい」だけ)、まさに「国内で困る」ことになる。選択の幅が狭まり、高価で劣悪な医療・介護サービスしか受けられなくなる、と。

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70年後に日本の人口が半分になるなら、その分を海外から来て貰えばいいのです。ジャパンブランドが、まだ有効に働く「今」なら、まだ間に合います。

日本人というアイデンティティがどうなるか、という問いに対しては、私は、―― どうだっていいじゃん、その程度のこと ―― と考えています。

そうすると、私の試算した「3222年に日本人が0人になる」という日本消滅シナリオより、もっと早く「日本語」が消滅することによる民族消滅シナリオの方が現実性を帯びて来るかもしれません ―― が、まあ、大したことではありません。

この意見に反対する人は、勿論多いと思いますが、まず、一度、真剣に、命がけで、「医療介護」の実情を調べてみることを、強くお勧めします。


2013-10-08 「中国語に愛されるエンジニア」である可能性 [長年日記]

ここ一年くらい、中国案件の仕事をやっており、何人かの社内や社外の中国人の方と、お話する機会を得ました。

といっても、私は中国語が全く使えませんので、中国人の方の日本語の能力に頼っているという実情です。

正直、これは、「とても、恥しいことだ」と思っています。その国で仕事をするのであれば、その国の言葉を使うことが、ビジネス上の礼儀でしょう。

ただ、そういうことを厳密に実施しては、人生が1000年あっても足りんだろうと思うし、国際共通語としては「英語」があるから、とりあえず、(稚拙な英語であっても)それで凌げれば、免罪されるだろう ―― と思っていました。

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以前、私が、中国の人に資料を送付する時、

「英文に翻訳して、送付しましょうか?」とオファしたことがあるのですが、

「それなら、日本語のままで送付して下さい」

と言われて、ショックを受けたことがあります。

私は、インターナショナルに、第二外国語は「英語」であると思い込んでいましたが、それが勘違いであったことに気がついたからです。

第二外国語が「日本語」であるという中国の方は、結構多いようです。

考えれば、当たり前で、同じ漢字を使う民族なのですから、そりゃ、アルファベットより親和性は高いはずですよね。

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そこで私は、ある可能性について思い至ったのです。

そうか! 私は、「英語に愛されないエンジニア」だけど、もしかしたら「中国語に愛されるエンジニア」である可能性は、まだ残っているのかもしれない!!

そう、私の可能性は無限です。

「英語」が駄目だらからといって、他の言語が駄目だと、直ちに類推することは、論理的ではありません。

まあ、ただ、ですね。

その可能性について、私は客観的に検証したくないのですよ。

で、現在のところ、まだ中国語の勉強には着手していません。

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まあ、「言い訳にも、ほどがある」と自分でも思いますけど。


2013-10-09 「技術が人を不幸にしている」という確かな事実 [長年日記]

インタビューにご協力頂き、ありがとうございます。引き続き、ご協力をお待ちしております。

それはさておき。

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柘植あづみ先生の「生殖技術」という本の2回目のレビューをしています。

生殖技術に関する技術面よりも、むしろその生殖技術に関わる人たちの心理に関する、徹底した調査と深い洞察が展開されています。

特に、不妊治療に関する当事者の「闇」を、冷静に、淡々と描いている一冊です。

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私の勤務している会社は「技術で社会に貢献する」を社是としています。

むろん、これを「単なるお題目である」と切り捨てることは簡単ですが、この社是無くして、我々エンジニアの存在意義も無い、というのも事実です。

この本「生殖技術」は、「技術で社会に貢献する」の中に、人を幸せにするものもあれば、人を「地獄にたたき落すものもある」、という現実を、私達、技術者(医療関係者も含む)に突きつけています。

「子どもが欲しい」が、いつのまにか「子どもができないこと = 自分が不完全な人間である」という思い込みに転じてさせてしまう、「世間の圧力」、「常識」という名の暴力と、そして、負のフィードバックを自己形成しながら自分の心を蝕ませていく当事者。

そして、不妊治療を「諦めさせてくれない生殖医療の技術進歩」が、当事者達を、さらなる闇に沈めていく様に、戦慄し ―― 私は涙が溢れそうなりました。

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心を蝕みながら、恐しく低い成功率に怯え、すさまじい激痛に耐えながら、今日も「不妊治療」なるものを行っている人が、今、存在しているという事実があります。

あらゆる技術は、例外なく「幸福」と「不幸」を兼ね合わせて存在していますが、これほど「技術が人を不幸にしている」という確かな事実を、身近に感じたことはありません。


2013-10-10 つまり私は「意地になっているのですよ」、年甲斐もなく [長年日記]

「サポート切れのXPを使い続けることは「ヘルメットなしでバイクに乗る」と例えられるほど、サイバー攻撃の危険は高まる」

というフレーズの妥当性を、誰か教えて頂けませんか?

誰がこの「ヘルメットなしでバイクに乗る」ほど危険と言い出したのか、私は知りたいのです。これって「死亡事故になる」と言うことですよね。

「揚げ足」を取っている訳ではないのです。

マイクロソフト社は、当然、いつまでも古いOSの面倒を見るよりは、新しいOSに移行したいので、このように煽るのは当然です。

しかし、それを「検証もせずに、言われるままに信じ込む」という姿勢は、いかがなものかと思うのです。

大体、サイバー攻撃を「パソコン」で受ける事態になっていれば、Windows7であろうが、"8"であろうが、"Windows100"であろうが、そんなことは関係はない。DOS攻撃をしかけられて終りです。

フィッシングや、標的型攻撃メール、偽サイトに対して、「Windows7なら大丈夫」で「WindowsXPなら危険」という、その論理付けが、私にはさっぱり分からんのです。

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まあ、企業や公共サービスでは、「セキュリティパッチのサポートを受けられないOSを使い続けていました」と、「システムをダウンさせられました」の間に、何の因果関係がなくても、絶対に責められるだろう ―― とは思えます。

会社のシステムでは、私は、インストールの最中ですら、ウイルスが爆発したり、外部から攻撃がされていないか、スイッチングハブのLEDの点滅を見ながら、作業するという「チキン」な対応をしています。

もちろん、それはエンジニアとしてのプライドの問題でもありますが、企業の構成員としての責任でもあるのです。

ただ、この責任とは、それは「努力目標」に基づく「免責」 ―― もっとはっきり言えば、セキュリティに関する「言い訳作り」という面もあります。

ともあれ、XPを使っていようが、Windows98や、3.1や、MS-DOSを使っていようが、「絶対にこのシステムを守りきってみせる」と宣言する、システム管理者がいれば、―― 私は、惚れてしまいます。

まあ、それはさておき。

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そもそも、皆さん忘れているようなのですが、「セキュリティパッチ」を定期的に配布しなければならない、ということは、「そもそも、その製品は不良品である」ということですよね。

こういうことです。

「私たちは、不完全で安全でない家を販売しています」→「でも当初から完璧を目指すことは諦めています」→「ですから、逐次、泥棒に入られた人から事情を聞いて、修理(セキュリティパッチの配布)をしていきます」

―― そんな不良品を、最初から売るな!

「せっかく買って頂いた古い家については、もう修理はしません。泥棒に入られても、それを反映させません」

―― ふざけるな!

「そうそう、新しい家に引っ越す時の、家具の運搬の費用(アプリケーション移行費用)は、そっちで負担して下さいね」

―― 舐めるな!

纏めると、

古い家は、もう修理の予定がないので、新しい家を自分で立てて、自分で家具を運び込んで下さいね。その費用は全部あなたがが支払って下さい。引っ越さないのはあなたの自由ですが、何が起きても、私は知りません。

ということです。

それが、製品を売ってきたものの言うセリフか?

―― という理屈が通らないのは、よく判っています。

私も、OSの研究に携わった研究員であり、「完璧なソフトウェア」は存在しないし、いつかはサポートを打ち切らなければならないことも、心の底から理解しています。

しかし、WindpwsXPという10年以上にも及ぶ製品を保守してきた会社自身が、「WindpwsXPは危険だ」と叫び回っている姿には、ものすごい不快感を感じます。

そして、その声に、根拠なく唱和するユーザも同様です。

自分達が守ってきた/使ってきた製品に対して「愛」はないのか、と。

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という訳で、本日、私は、「我が家」のWindowsOSの移行計画の中断を決定しました。

ええ、サポート終了後も、江端家のメインPCは、WindowsXPで運用を続けます。私は、体を張って、「ヘルメットなしでバイクに乗ってみせます」

江端家の記憶媒体には、娘の書いた数多くのイラスト原案や、嫁さんの町内会のフリマのポスター、そして、江端のボツにした山のようなコラム原稿があります(まあ、多くの人にとって価値はないでしょうが)。

それらを盗んで、世間に晒せ! 江端をネットで笑い者にしろ!

そして、私が丹精込めて作り上げてきた、江端家セキュリティシステムを、完膚なきまでに破壊してみろ!!

そのような運用をしていて、やっぱり酷い目にあったら、その段階で私は皆さんに、正直かつ正確にご報告し、そして、浅学で深慮のない自分を自己批判をします。

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つまり私は「意地になっているのですよ」、年甲斐もなく。


2013-10-11 数字で語る奴の「嘘そのもの」を見抜く訓練を始めましょう [長年日記]

前回のコラムも含めて「数値」と「統計」と「分かりやすい単純な仮説」以外は、何も使わない、を徹底してみました。

前回今回、共に、ツイッター等での批判が少ないです。

私は、「まあ、そうだろうな」とある程度は予想していました。

今回のケースでは、「私は何も言っていませんよ? パソコンの計算結果を説明しているだけですよ」と、プロセスや証拠付きで反論もできますしね。

そもそも、数値を出されると、多くの人は、とたんに大人しくなります。

というか、皆さん、数字嫌いですよね。

ただ、「嫌い」だけなら良いのですが、それで一切「逆らうことをしなくなる」というのは、どうかと思うことはあります。

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実際のところ、前回のコラムの計算結果に、一番驚いているのは私だと思います。

そして、今回の「生涯未婚率」の予測に関しても、―― 実は、かなり楽観値を示しています。

折角ですので、お話してしまいましょう。

実は、「237年後に、日本の人口が0人になる」という試算結果も出しています。

とても、書けませんでしたし、多分誰も信じないでしょうが ―― 30歳までの結婚率も減少していくという仮説の下では、十分成立してしまうのです。

こういうことを「そういうものなのか」と、検証をすることもなく信じてしまうのは、やっぱりヤバイと思うのですよ。

そんなことでは、簡単に権力者に利用されてしまいますよ(しかし、今回のコラムの内容は、殆ど、政府機関の回し者のようになってしまいましたが)。

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「ビックデータ」という言い方、私は、大っ嫌いなのですが、それでも、データに対して立ち向う人間を育てるきっかけになるなら、私は良いことだと思います。

数字で語る奴を「嘘くさい」と考えるだけでは足りません。

数字で語る奴の「嘘そのもの」を見抜く訓練を始めましょう。

ただ、私のコラムの内容だけは、無条件で信じていいですよ。


2013-10-12 エンジニアや研究者であれば、料理を作ることは好きな人間である筈です [長年日記]

今週末も、実家に戻って家事をやっております。

ところで、今日、たまたまテレビを付けていたら、NHKの連続テレビ小説がやっていました。

「料理は物理である」という趣旨で、主人公の興味を引かせるという内容でした。

「今さら何を」思いました。

―― 「料理はシステムである」と考える私の方が上だ

と、大人気なく考えてしまいました。

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料理は好きです。ただ、難しい料理よりは、簡単な、いわゆる3分料理などというものの、バリエーションを替えながら色々試すことは、とても楽しいです。実験ですから。

エンジニアや研究者であれば、料理を作ることは好きな人間である筈です。調理人とは、エンジニアでもあるのですから

と決めつけられては、困る人も多いでしょうね。嫁さんやお母さんから「あなた、エンジニアよね」と言われるかもしれませんし。

でも、リスクもあるのですよ。

時としてエンジニアは変な方向に走ることもあります。ま、御愛嬌ということで。


2013-10-13 あなたの行動と私の行動の、どっちが喫緊(きっきん)に必要なことであるか、明かですよね? [長年日記]

ふと思い出したのですが、どの大学でも、新入生は凄いサークルの勧誘攻勢を受けます。

今になって思うと、このサークルによって、人生が大きく左右されるということもあるだろうな、と思うことがあります。

私の場合、山登りのサークルを選んだのですが、これは、異性とのコミュニケーションを謀るには「最低」の選択であったと思います。

訓練が大変、くさい、暑い、辛い、とどめは、山登り楽しくない ―― 間違っても、サークルを人生の修練などと考えてはならない ―― と。

が、まあ、昔も今も、異性とのつきあいが上手いとは言えない私にとって、異性とのコミュニケーションサークルというのは、なんか「辛い選択」のように感じました。

そして、自ら「社会派」を名乗っていた私にとって、「選び得ない選択」でもあったのです。

サークルというのは、事実上、人生最後の異性とのコミュニケーションの実践の場」であっただろうとは思うのですが、そこには個人の「向き/不向き」もあっただろうと思うのです。

ただ申し申し上げておきたい。

キャンパスライフの「後ろ」には、もうチャンスはないぞ、と。

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このコラムに対して、

「なるほど・・・極論を言うと、今後は20代のうちに結婚できなければ独身の確率が相当高まるということか」

とツイートで看破された方。

あなたは、正しい。

加えて言えば「独身の確率が相当高まるということか」という猶予時間は短い。

「20代のうちに結婚できなければ独身となる」という未来は、それほど、遠くないのです。

それはさておき。

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サークルの話に戻します。

サークルには、性質(たち)の悪いものもあります。

宗教や、政治関係です。

いわゆる、軟派系のサークルに従属できない(私のような)者を狙って、勧誘をかけてきます。

―― 今の世の中が、これでいいと君は思うか?

―― 私たちは、自ら行動を開始しなければならないのではないか?

―― 君は、やつら(軟派系のサークル)のような活動に身を任せて、大切な時間を費すつもりか。

―― {世界革命 or 神による救済 (その他色々)} こそが、目指すべき道ではないか?

そしてとどめは、

―― 君は逃げるのか?

と、いうやつです。

新入生は、こういう言葉に弱いです。

受験勉強で社会の矛盾に気がつき始めて、ようやく大学に入学したと思えば、思考能力ゼロに近いサークル勧誘活動などにぶつかり、軽い幻滅と絶望の中にあって、

こういう台詞は ―― 心に染みるものです。

そして、正直で真面目で誠実な者ほど、極端に向って走り出すことは、日本赤軍やオウム真理教を見るまでもなく、明かです。

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このような勧誘に関して、多くの新入生が免疫機構がありません。

ファイヤーウォールなしに、インターネットに直接接続するパソコンを破壊するくらい、これらの新人の勧誘は「チョロイ」のです

そして、それに対して有効な対策がないのも事実です。

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最後に、若い人たちに対して、良いアドバイスをしたかったのですが、思いつきません。

ただ、政治であれ宗教であれ、「世の中を一気に良くする方法がある」――オセロの駒が一気に別の色に変わるように ―― と主張するサークルであれば、そこからは離れた方がいい、とだけ言っておきます。

それは、嘘だからです。

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そこで、今日は、このような「嘘くさい政治や宗教サークル」に対抗しうる、決め台詞を紹介して終わりたいと思います。

■日本の特殊出生率の数を知っていますか。1.4ですよ、1.4。

■このままだと、70年後に、日本の人口は半分になってしまうのですよ。

■社会インフラは維持できなくなり、当然、それは教育等にも波及し、文化としても大打撃を受けることになります。

■だから、私は、我が国を維持することが「優先」されるべきであると考えています。

■その為には、まず、あなたがたのいう「世の中を一気に良くする方法」より、我が国を維持することを優先すべきだと思うのです。

■それは具体的には、軟派なサークルに入って、異性と知り合い、幸せな結婚生活をして、子どもを3人以上育てることです。その為には、まず、異性とコミュニケーション手段を、自らのものとしなければならないのです。

■ところで、私のような平凡なインフラ構築への努力の上に、あなたの「世の中を一気に良くする方法」というサービスまたはアプリケーションが実現されるのですよね。

■ならば、あなたの行動と私の行動の、どっちが喫緊(きっきん)に必要なことであるか、明かですよね?


2013-10-14 書籍の巻末に記載されている著書の、あとがきの最後の一言に「ムカつき」ます [長年日記]

書籍の巻末に記載されている著書のあとがきの、最後の一言に「ムカつき」ます。

「ロス ベイエリアのレストランより」

「秋晴れのカリフォルニアを望む研究室より」

「最近めっきり寒くなった、ロンドンのオフィスより」

「小雨の振るパリの裏通りのカフェより」

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―― ああ、さようですか。エリートのあなた達は、海外で優雅に、自分の著書のあとがきを書いておられるのですか。

―― こちらたぁ、日本のクーラーも入っていないオフィスで、ランニング一枚になって、扇風機ガンガンに回しながら、報告書の作成中ですよ。いやー、羨しいことですね ―― という感じ。

と、このように、私が拗ねているのは、私の3大特性の一つ「狭量」に因るものです。

それは、判っているのですが、それでも無性に「ムカツク」のです。

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実は、私、その著者の方々が、そのような優越感なんぞを、欠片も持っていないことを、良く知っています。

うん、私くらい理解している人間もいないだろう、と思う。

なぜなら、この私こそが、そういう「ムカツク」ことを、無邪気に行ってきた当事者の一人であるからです。

私の連載にしても、世界中の色々なところが出てきますし、また、こんなのも作っていましたし。

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今の私から見ても、誠に不愉快です。「あんたは、海外で楽しそうにやっていて、そりゃ、よござんすね」と、10年前の私に、皮肉の一つも言いたいくらいです。

「英語に愛されないエンジニア」シリーズにしても、そのように感じている人がいるのは、想像に難くないです。

私は今、必死で執筆を続けておりますが、10年後に、自分の著書(「英語に愛されないエンジニア」シリーズ)を読んで、自分自身にムカついていることに、かなり確信があります。

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私の非日常的体験のコラムを、楽しんで頂いている方もいるでしょうが、それと同時にムカついている人も、相当多いだろうと思います。

この矛盾を解決する手段は、多分ないのだろうなー、と思っています。


2013-10-15 つまるところ「結婚」や「家」は、面倒で、重い、ということです。 [長年日記]

やっと内閣府の「平成25年版少子化社会対策白書 概要版(PDF形式)」を読みはじめました。

第2回目のコラムがリリースするまでは、できる限り公的な情報に触れないようにしていたものですから。

予想通りではありましたが、これくらい「予想通りの白書」というのも珍しいなぁ、という感じでした。

ざっくり言うと、

(1)「現状のパラダイムを一欠片たりとも壊さない」というポリシーの元での、

(2)子育て環境を改善することでの特殊出生率の増加を目指す

と、いうものでした。

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私は、この少子化問題を、

太平洋戦争に突入するか否かを最終決定した「御前会議」くらいの緊急事態と把握されているのだろう、と思っていたのですが、

―― なんか、そういう感じが伝わってこない。

この白書の作成に係わられた方には不愉快でしょうが、

『とにかく、やるだけのことやってみようよ。あとは上手くいくといいね』

と言っているように感じます。

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えっーと、ですね、私、この理由も判っています。

これはですね、現行政府の方針である、現状の「家制度」の基盤においた対策になっているからです。

最悪なのが「三本の矢」という、結婚→妊娠→出産 というパックメニューです。

特に「結婚」が最大のガンです。

私、これまでのインタビューで「ダンナはいらんが、子どもは欲しい」という女性の声を、聞いているのです。

要するに、父親はAnonymous(あのクラッカー集団の「アノニマス」とは関係ない)で良い、という非配偶者間人工授精(AID)を前提とした、シングルマザー希望の女性は ―― 結構な数、いました。

あるいは、子どもを生む為だけの為に、男性からSEXの提供だけ受けている女性の話も、です。

つまるところ、「結婚」や「家」は、面倒で、重い、ということです。

ダンナの後ろには、興味もない他人の親(の介護など)や、「子どもを生まなければ女ではない」などという下らない考えをもつ親戚がくっついてくる―― と考えるだけで、そりゃ「結婚」なんて阿呆らしくて選択できないですよ。

「自立して生きていけるのに、なんでわざわざそんな面倒を」と思うのは、自然なことです。

誰であれ、「私は『結婚』と『家』を拒否します。子どもと二人で静かに生きていくことにしました」をいう宣言を、非難できるわけがありません。

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政府は、「家制度」を維持する為の、この結婚というこのイベントが、どれだけ出生率を下げているか、分かっていないのかなぁ?

いや、判っているはずです。このような白書を作成された人が、そのような声を「一つも聞かなかった」などという訳がない。

しかし、書かなかった。いや、書けなかった、と思っています。

それは、現日本国首相の主張する「美しい日本」を、根底から破壊する内容になるからです。そんなことをすれば、自分のキャリアに大きな「×」がつくでしょうし。

私の少子化を回避した状態の未来とは、

■母と子のペアだけからなる家族(当然、姻戚関係なんぞ絶無になる)と、

■種を提供するだけの男からなる社会(その中で、大部分の男性は、種すら必要とされない)

という感じです。

「美しい日本」がどんなものか、私は知らんし、興味もありませんが、首相や一部の政治家が、発狂しそうな未来図であることは、間違いないでしょう。

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私は、「猥雑でインモラルな日本」でも、あるいは、「美しい日本」の理想(?)を推し進めて、そのまま人口減少が進んでいっても、どっちでも構いません。

ただ、社会インフラの研究員としては、

『せっかくエンジニアががんばって作ってきた社会インフラを、人口減少などという理由で停止させたくないなぁ』

と ―― まあ、詰まるところ、その程度の意識しかありません。

問題が顕在化するのは、間違いなく私の死後ですし。


2013-10-16 「政府は一生懸命やってきましたよ」は、どーでもいいのです [長年日記]

昨日の続きなのですが、「平成25年版少子化社会対策白書 全文(PDF形式)」も読み始めました。

ちょっと驚いたのですが、我が国では、既に、1994年にエンゼルプラン(文部、厚生、労働、建設の4大臣合意)、1999 年に「少子化対策推進基本方針」、法律では、「少子化社会対策基本法」「次世代育成支援対策推進法」(2003年)を制定しているそうです。

つまり、ざっくり20年、これだけの対策、法律の制定をもってしても、出生率は下がり続けた、ということです。

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ちなみに、これらの対策や法律の制定の有効性に関するレビューは、数値、表、グラフを含め、

『一文字もなし』です。

"1.26"という時期から、現在の"1.4"に持ち直しているのは事実ですが、これが、その施策の成果かどうかも分からないし、第一、20年かけても、2.0以上を達成していないという事実を、どう評価するかの記載が、絶無なのです。

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次女の夏休みの研究でさえ、私は、その評価と考察は書かせますよ。それが記載されていない報告書は、何も報告していないからです。

「白書」とは「報告書」とは違うのでしょうか? でも、調べたら「政府の施策についての現状分析と事後報告を中心とした公表資料」となっているしなぁ。

肯定的であれ、否定的であれ、エンゼルプラン、法律の制定から現在に至るまでの「何かを書かなければならない」のではないでしょうか。

「政府は一生懸命やってきましたよ」は、どーでもいいのですよ。

その総括をちゃんとしてくれんと、国民としては困るのですよ。私の税金も使われているのですから。

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なお、話はそれますが、「少子化社会対策基本法」「次世代育成支援対策推進法」も全文読みました。それほど、大変ではなかったです。凄く短かい法律でしたし。

しかし、両方とも、

■単なる組織の構成を書いているだけのように読めるし、

■罰則があっても、認定事業者の手続瑕疵に関することだけだし、

■地方自治体や企業に対する義務も、それに対する制裁規定も絶無のようだし、

うーん、この法律で「少子化」が、どういうアプローチで、どのように改善されるか、私には、全然分からん。

まあ、それはさておき。

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私の申し上げたいことは、簡単です。

「この施策に効果はあった/なかった」→「だから今回の施策ではこうする」→「なぜなら、こういうこととが期待されるからである」

という記載として頂ければ、とりあえずは、私には理解可能となるのです。


2013-10-17 コンドームの効果を、技術者視点で娘に淡々と語れる人 [長年日記]

■(1)この日記は、江端が2013年3月29日に、原文を残したまま、かつ、正確で ない記載については、その旨を記載して修正を試みたものです。また、日記で は語られていない事実についても追記を行っています。加えて、私の見解につ いても記載をしています。 ■(2)私が、「明らかな人権侵害に該当する」と判断し、上記(1)の方法によっ ても、なお、それが回避できないと判断した箇所については、その旨を記載し て削除を実施しました。 ■(3)上記(1)(2)により、記載当初のイメージの維持は断念しました。本日記 は、江端の無知と人権侵害の実例のサンプルとして開示し、私以外の誰かが同 じことを実施しないこと、数多くのの批判によって正しい知識への橋渡しとな ることを期待して、本日記を残置するものです。 ■(4)この記載の内容はデリケートかつ難しい問題を多数含むものであり、私 個人としては、この日記の内容が、安易な気持で拡散されることを望んでおり ません。 ■(5)上記(1)〜(3)の記載については、江端が全面的に責任と批判を負うもの ですが、この日記の拡散行為については、責任は追えません。 ■(6)それでも、なお拡散を試みようとする人は、その拡散行為について、全面的 な責任と批判を負うことを覚悟して実施して下さい。

家族で、3億円事件を扱うドラマ「クロコーチ」を見ていました。

そこで主役の黒河内刑事が、愛人を殺した犯人に対して「ゴムはしていたのか?」と尋ねるシーンがありました。

二人の娘から、同時に「ゴムって何?」と尋ねられて、夫婦で固まってしまいました。

しかし、小5の次女はともかく、中3の長女が暗語として「ゴム」を知らないのは、半端ではなくマズイ状況であると思いました。

で、私が何をしたか(*1)というと、会社帰りに、ドラッグストアで一番安い420円のモノを購入したのです。

(*1)実際には、この打ち合わせの前に、以下を実施している。
■嫁さんと長時間に渡る打ち合わせ(意義、方法、アプローチ)
■webサイト等による文献や書籍調査
■他の人のコメントインタビュー調査
■説明の項目と順番の検討
■話を重くもせず軽くもしない、プレゼンテーションの事前練習
■娘からの当該「ゴム」に関するプレゼン参加の意思確認と実施日時の指定

コンドームです。

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深夜11時半すぎ、次女が部屋で眠ったのを確認して、長女を掴まえて、リビングのテーブルで話を始めました。

江端:「最初に確認したいが、SEXの仕組みと意義については理解しているんだよな」

長女:「一応。学校でも習ったし」

江端:「では、『ゴム』を教える。これだ。正式名称は『コンドーム』と言われるものだ」

と言いつつ、コンドームの箱を開けて、中身を取り出して、ピンク色のゴムの物体を、伸ばして長女に見せる私。

長女:「コンドームなら知っているけど。そうか、これが、実物のコンドームかー」

江端:「簡単に言えばゴム風船だ。これを男性器に被せて、精液の流出を防ぐことで、受精を妨げる役割をする。もっともポピュラーな避妊具だ」

長女:「そりゃ、分かるんだけど、なんで、わざわざ私にそんなもの見せる訳?」

江端:「コンドームが単なる避妊具にすぎないという認識では、お前の命にかかわると思ったからだ」

長女:「え? 避妊具なんでしょ?」

江端:「避妊の手段は、まだ沢山ある。例えば女性の膣に薬品を入れて、精子を全滅させるという避妊手段もある。一方、単に女性の性器の外に射精すれば、それで安全に避妊できると『誤解』をしているバカもまだいるようだが」

長女:「パパが何を言いたいのか、よく分からないのだけど?」

江端:「コンドームの最大の目的は、『エイズの感染防止』(*2)だ」

(*2)これは正しくない。
■正確には「HIVおよび性感染症の予防」と言うべきである。
(出展:厚生労働省HP 「感染症・予防接種情報」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html)

長女:「エイズ・・・」

江端:「後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome:AIDS)。詳しいことは省略するが、感染すると潜伏期間が恐しく長く(10年程度)(*3)、発病すれば、原則死に至る病(やまい)だ。現在、完全に治癒できるクスリは存在しない」

(*3)これは正しくない。
■HIVとは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)のこと
で、免疫機能を有する細胞の構成物質(Tリンパ球等)に感染するウイルス(この
段階では免疫機能は担保されている)。
■エイズとは、HIVが増殖することによって免疫機能を有する細胞が減ってい
く状態(×病気)。これによって、免疫機能が失われていき、普段感染しない病
気に感染しやすくなることも含めてエイズと呼ぶこともある。
(出展:全国HIV/エイズ検査・相談窓口情報サイト
http://www.hivkensa.com/whatis/)
■HIVからエイズに至る期間は諸説ある。20年前は10年の潜伏期間と言われて
いたが、4年、あるいはもっと短いという報告もある。
(出展:
http://www.hiv-support.com/hiv%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98/%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%81%AE%E6%BD%9C%E4%BC%8F%E6%9C%9F%E9%96%93%E3%81%8C%E7%9F%AD%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B.html)

長女:「・・・」

江端:「日常の生活では、感染率は恐しく低い。接触感染やキスでも染感は難しい(*4)。ところが、SEXにおいては、感染率が跳ね上がるんだ(*5)。SEXというのは、性器の激しい摩擦運動を基本とするものだから」

(*4)この記載は正しくない。
■「難しい」ではなく「ない」が正しい。感染経路は、(a)性的接触(膣、
アナル、フェラチオ等)、(b)血液(輸血または、注射器共有等)、(c)出産時の
母子感染の3種類に限定される。
(出展:厚生労働省HP 「ストップエイズ!今は「不治の特別な病」ではなく、
コントロール可能な病気です。まずは早めに「HIV検査」を」
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201305/2.html)

(*5)この記載は正しくない。
■「感染率は、(a)性的接触場合1回あたり1%未満、(b1)輸血の場合90%、
(b2)注射器共有一回あたり1%未満、母子感染(何の対策も取らなかった場合
30%)」が正しい。
(出展:
http://www.hiv-support.com/hiv%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98/%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%81%AE%E6%BD%9C%E4%BC%8F%E6%9C%9F%E9%96%93%E3%81%8C%E7%9F%AD%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B.html,http://idsc.nih.go.jp/iasr/31/366/dj3663.html)

長女:「パパ。もうちょっと、その激しい表現をなんとかできないかな?」

江端:「恥しがっている場合じゃない。お前がHIVやエイズのことを知らないということは、中学3年生レベルは同程度と考えるべきだろう。『ゴム→コンドーム→HIV、エイズ予防』と、直線的に思い出すくらいの教育が、されていないということだ。パパにはこっちのほうがショックだ」(*6)

(*6)本日記における、長女と私との会話の態様については以下の批判があった
ことを報告する。(*7)
■江端家にて実施した、コンドームに関する父娘の態様は、パワハラ、セクハ
ラに該当する可能性がある。
■江端家においては、父娘や夫婦の長年に渡る信頼関係や、特に夫婦による事
前の徹底的な議論、話の進め方の徹底的なシミュレーション、娘へのこの会話
への事前の同意確認、および、和気藹々とした雰囲気での家族の会話を実施し
たか ―― などは、問題ではなくこのような内容は「特例扱い」とすべきであ
る。
■この日記を読んだ読者による安易な模倣行為により、子どもに心的外傷後ス
トレス障害(PTSD)を発症させる可能性は否定できない。江端は日記を公開する
に際して、私的な開示(楽しく読める部分だけ公開する)だけではなく、それが
(江端家だけの問題ではなく)公的に与える影響まで配慮する責任がある。

(*7)上記に対する江端見解は以下の通り。
■江端は、上記の批判に同意し、その内容を全面的に受けいれる。
■従って、この日記を読んでいる読者に対しては、『かかる日記のような会話
が、子どもの心を回復不可能な程度にまで傷付ける可能性があることを十分に
考慮し』、『徹底的な事前検討』を行った上で、『リスクを十二分に覚悟した
上で、完全な自己の責任において実施』することを提言することで、この批判
に対する回答としたい。
■この批判に対して「日記の掲載停止」という手段を取らなかったことは、冒
頭で説明した通りである。なお、「日記の掲載停止」を提言する人がいれば、
私はその理由をこの日記の代替として掲載し、直ちに当該日記の削除に応じる
準備がある。正当な理由があれば、この日記を掲載する意義を、私自身が見い
出せなくなる為である。

長女:「・・・」

江端:「女性にとって、妊娠のリスクは相当なものだろうが、エイズには『死のリスク』があるんだ(*8)」

(*8)これは正しくない。
■「死のリスク」という表現は妥当ではない。HIV感染はかつての致死的疾患
から、慢性疾患に変わりつつある。
■かつて、数年の潜伏期間の後にエイズを発症するとおよそ2年くらいで死亡
する患者がほとんどで、例えば25歳でHIVに感染すると、平均余命はわずかに7
年だった。
■現在は、平均余命は40年と言われており今後さらに伸びることが期待されて
いる。
■但し、HIV感染に気がつかないまま、エイズを発症すると、2.3年後の生存率
99%が80%まで下落する。
■しかし、日本では、HIV感染に気がつかないままエイズを発症する人が30%も
いるという事実がある。
(出展:HIV(エイズ)検査完全ガイド
http://www.hiv-support.com/hiv%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%81%AE%E6%B2%BB%E7%99%82/hiv%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%81%AE%E6%B2%BB%E7%99%82.html)

長女:「わかった! わかった! わかったけど、で、私にどうしろ、と?」

江端:「このコンドームを常時携帯しろ。サイフの中がベストだが、鞄の奥でも構わん」(*9)

(*9)これは正しくない。
■財布の中の保管は、摩擦などによるゴムの劣化が原因で破れやすくなるとい
う問題があある。また、タンスで保管していると、防虫剤の影響で劣化してし
まうこともある。
(出展:正しいコンドームの保管方法 https://am-our.com/sex/134/8524/?p=3)
■この他、直射日光、高温多湿の場所等も避ける。化粧ポーチも化学反応する
可能性があるので避ける必要があるが、これ以外の場所であれば、それほど神
経質になる必要はない。
■コンドームの使用期限は、コンドーム工業会において5年間と決められてい
る。
(出展:コンドームの使用期限について
http://www.nakanishi-condom.co.jp/html/01.html)

長女:「えーーー! ヤダよーー!! 彼氏もいないのに、必要ないじゃん?」

江端:「世の中の男が、全て理論的で理性的な生き物であれば、女性が性犯罪の被害者になるはずはない。愛がなくてもSEXはできるぞ。特に男は全く問題ない」

長女:「・・・」

江端:「エイズの怖いところは、潜伏期間の恐しいほどの長さだ。お前の将来の彼氏の、元カノの、元カレの、元カノの、元カレが感染していたとしていれば、その関係者、間違いなく全員感染していて、そして、今でも、その感染を知らないで、元気に毎日生活しているぞ」(*10)

(*10)この記載について、真面目に試算をしてみた。
■「お前(長女)の彼氏(E)の元カノ(D)の、元カレ(C)の、元カノ(B)の、元カレ
(A)」において、最後の「元カレ(A)」がHIVの感染者だったとする。
■条件として、SEX1回辺りの感染率を1%と仮定して、それぞれのカップルは1
年間つきあい、平均1週間に1回コンドームなしのSEXをしていたとする(52回/
年)。
■A→Bに感染する確率は、1-(1-0.01)^52 = 0.40703 約41%でとなる。
■B→Cに感染する確率は、(0.41)^2 = 0.1656  約17%。
■最終的に、長女の感染リスクは、(0.41)^5 = 0.01117 となり 約1% となる。
■これを"41%"のリスクと考えるか、"1%"のリスクと考えるのかは、読者の判
断に委ねたい(私は1%でも十分に大きな数値だと考える)
■因みに、A→BのコンドームなしのSEXの場合、HIVの感染リスクは、週2回/1
年では63%に、週3回/1年では78%になる。

長女:「・・・」

江端:「それとな、このコンドームを装着するSEXって、けっこう『気持ち悪い』んだ。多分、男性の殆どは、コンドームを付けないでSEXしたいと思っている。色々理由をつけて、コンドームを拒否する男もいる」

長女:「なんで、そんなことが分かるの?」

江端:「その気持ちが凄く理解できるからだ」

長女:「!」

江端:「というか、コンドームすると勃起が弱くなって、SEXできなくなることが結構、多かったんだ。でな、あれ、行為の最中にSEXが中断してしまうのは、男にとっては『死ぬほど恥しい』」

長女:「あのさ、話の途中で何だけど、私、父親とこういう話をしている状況が『死ぬほど恥しい』んだけど」

江端:「我慢しろ。もう少しで終わる」

長女:「わかった」

■繰り返すが、このような会話を行うだけの、長年に渡る家庭内でのコミュニ
ケーション体力を培かってきたか否かを、正確に見極めることが必要であると
考える。安易なマネは危険である。
■また、ここからの以下の会話「8つのフレーズ」は、「私が批判されればす
む」というレベルの内容には留まらず、HIV感染者の方の人権を回復不能なま
でに著しく毀損するものと判断した。
■当該「8つのフレーズ」に関しては、補正できる内容ではないと考え、この
部分の公開を断念した。
■但し、研究、学術目的等、その他正当な理由があって、この「8つのフレー
ズ」の開示を求める方がいたら、人権侵害にならないことを絶対的な条件とし
て、メールによる転送等の相談に応じる。

江端:「ま、何が言いたいのかというと、コンドームの使用を拒否する男は、お前を愛していない男、と同義であると考えて良い、ということだ」

長女:「・・・」

江端:「『ということを、父親から言われたのだけど』と付け加えると、さらに効果的だろう」

長女:「・・・」

江端:「『コンドームを使ったら、その使用数を父に報告しろとも言われている』とまで、言い切れば、完璧だろう」

長女:「ママー、もう、パパと話すの嫌だよーー」

嫁さん:「まあ『コンドームは必ず使うようにしなさい』ということよ」

江端:「で、持ち歩くんだろうな?」

長女:「やだよ!」

江端:「じゃあ、机の引き出しか、ベッドの下に入れておく、とか」

長女:「パパは、自宅で娘が『やっていて』もいいのか!」

江端:「そりゃ、よかないが、娘の死のリスクに比べれば、受忍できる範囲だ」

長女:「ママー! パパを、なんとかしてよーーー!!」

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という訳で、折角、私の買ってきたコンドームは、タンスの引き出し(*11)に格納されることになりました。

(*11)この保管方法には問題がある(前述)。

その後、コンドームに1リットル近い水が入ることを実験して、日本の技術力を自慢したり、現状の日本における生殖技術について娘に語っていたら、午前2時近くになってしまいました。

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翌朝、嫁さんに車で駅までおくって貰いながら、二人で会話をしていました。

江端:「あの手の話をするのは、母親の方がプロパーだと思うんだけどな」

嫁さん:「コンドームの効果を、技術者視点で淡々と娘に語れる人がいるんだから、別にいいんじゃないの?」


2013-10-18 「実は、台風の影響の為、大幅なダイヤの乱れが発生し、現在全線で振替輸送を実施しております」 [長年日記]

先日の台風26号で、日本全国で相当な被害が発生しました。

前日の段階で、台風の規模や通過予測時間が予報できていたことを ―― 今更ながら、凄いことだなぁ、と思ってしまうのです。

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台風を地上の測定値からしか観測できなかった1959年(昭和34年)、私の父と母はの伊勢湾台風の被災者になりました。

一階の建屋が屋根まで冠水し、その時に、写真や書籍などを全て失ったそうです。

ちょっと調べてみたのですが、今回の台風26号が中心気圧が"955"ヘクトパスカルだったの対して、伊勢湾台風は"920" ・・・、て何それ? という位の超ド級の台風。

中心付近の最大風速が84.9m/s。観測された風速は60m/s、時速216km。操業開始時の新幹線と同じくらいの速度で、木の枝が飛んでいた ―― そりゃ、もう立派な凶器です。

この伊勢湾台風の教訓より、富士山測候所(いわゆる、富士山レーダ)が設立され、今は宇宙から気象衛星が、台風を見張っているに至っています。

これは、感謝できる「技術の進歩」です。

それはさておき

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台風26号が関東を通過した日、午前7:30発の新宿行きの電車に、10:28分に乗りまして、会社に向かっていた時です。

電車の車内アナウンスで、私は驚いてしまいました。

「実は、台風の影響の為、大幅なダイヤの乱れが発生し、現在全線で振替輸送を実施しております」

『実は、台風の影響の為、』・・・って言ったか?

この3時間にも及ぶ、ダイヤの遅延の原因を、理解していない乗客が、たった一人でもいるのか? ―― と、完全に冠水して、湖の状態になっている中学校の校庭を見ながら、私は固まってしまいました。

『実は、台風の影響の為、』『実は、台風の影響の為、』『実は、台風の影響の為、』と、3回ほど呟いで、ようやく気がつきました。

×「実は、」

○「本日は、」

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まあ、それだけのことなのですが、ちょっとした聞き違いで、えらく意味が変わるものなぁ、と、感心していました。


2013-10-19 原発の『ウンコ』の問題 [長年日記]

かつて郵政改革を断行したとされている日本国の元首相が、「原発ゼロ目指すべき」という発言をして、政権与党に波紋が広がっているらしいです。

私もかつて

という内容で、コラム寄稿してきました。

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私は、以下の条件が満たされれば、明日にでも「原発推進」の側に「転ぶ」つもりです。そもそも、私はエンジニアですから、その属性として技術は発展させていきたい側の人間なのです。

(1)政府が「原発は絶対的な意味で危険である」ことを表明し、国民がその認識を共有すること。

(2)政府は、危険に対する避難等の施策を万全に準備し、国民はそれに協力すること。

そして、最後に、

(3)「原発の『ウンコ』」の問題を、解決する目処がつくこと。

で、(1)(2)は、長い時間をかけて、あるいは、いつもの通り、なし崩しでなんとかなるかもしれませんが、(3)だけは、そうはいきません。

「原発の『ウンコ』」―― 高レベル放射性廃棄物が、概ね無害化するのに、ざっくり10万年の期間が必要で、それをどっかに安全に保管しておかなければなりません。

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一言で、10万年といいますが、我々の祖先が、マンモスを追いかけていたのが、2万年前です。

その5倍もの期間を、安全に安定に「原発の『ウンコ』」を保存するというのは、無理というか嘘だと思うんですよね。

だから最近思うのですよ。

―― 「原発の『ウンコ』」は、コンクリート詰めにして、深さ1万メートルの日本海溝に捨てちまって、そのまま、皆で忘れちゃおう

でも、いいのではないか、と。

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もちろん、よかないですよ。

10万年あれば、絶対に「高レベル放射性廃棄物」は流出する。そして、それは、地球の生態に、壊滅的な打撃を与える ―― かもしれない。

でも、与えないかもしれない。

最近、私がこのような刹那的な考え方に至ってきたのは、人口予測の計算を続けているうちに、人類は、いいとこ、あと1万年続けば、「上がり」になるのではないか、と思うようになってきたからです。

10万年先まで、人類か、あるいはそれに相当するものの存在までを考えるのは、無駄だろうという気がしてきているのです。

また、時間のオーダが違いますが、太陽が赤色巨星になるより前に、太陽から放射される高熱量が高くなって地球の気温は海水が全部干上がるほど上昇して金星のような状況になると言われています。

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と書きながら、今、ふと思ったのですが、もしかして、原発を推進している人達って、もしかして、陽には言わなくても、そんなことは「おりこみ済み」で、10万年先には、我々の未来自体が存在しない、と考えているのでしょうか?

もしそうなら、私が色々寄稿してきたコラムの内容って、全然意味のなかったことになります。

そうなら、そうと、早く言って下さいよー。公に言えないのであれば、メールアドレスでもいいので教えて下さい。秘密は私の命に賭けて守ります。

もし「そうだ」と一言言って頂ければ、、私、これから「原発の『ウンコ』」のことは忘れて生きることにしますから。


2013-10-20 「取り敢えず、分からなければ謝っておけばいいや」という、我が国の「その場しのぎ」の美しい風習と伝統の伝道師 [長年日記]

『ならば、事後的な収拾に力を注ぐべきでしょう。私の場合は、10種類以上の「ごめんなさい」のフレーズを、いつでも頭の中に入れておきました』

に対して、「それらを知りたい」というご要望を頂いております。

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では。

(1)「すみません」"I am sorry."

(2)「あ、ごめんなさい」 "Excuse me."

(3)「本当に申し訳ありません」"I'm awfully sorry"

(4)「私がうっかりしていました」 "It is my fault."

(5)「あのことは申し訳なく思っています」"I feel bad about it."

(6)「先日は失礼しました」 "I am sorry about the other day."

(7)「失礼をお許し下さい」 "Please forgive my rudeness."

(8)「おわびのしようもありません」 "I don't know how to apologize to you."

(9)「お手数をおかけしました」"I am sorry to trouble you."

(10)「ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」"I am really sorry for troubling you."

メールになると、

"Please accept our apologies for the trouble this matter has caused you."

などのように、"apologies"は、殊の外、濫用した記憶があります。

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「取り敢えず、分からなければ、謝っておけばいいや」

という、我が国の「その場しのぎ」の美しい風習と伝統を正しく運用し、

少くとも、米国コロラド州のある地域では、

―― 日本人って、そういう民族なんだ

と、信じ込ませてきたという自信が、

私にはあります。


2013-10-21 それは、私の責任ではありません。 [長年日記]

以前、私は、海外の案件の、ごく一部の検討をさせて頂いたことがあります。

ちょうど、そのタイミングで、その海外のお客様の「別の」案件の大型受注が決まり、業界で大騒ぎになったことがあります。

受注金額比にすると、数十倍から百倍程度の案件だったかなぁ、と、記憶しておりますが、もう忘れました。

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「あの受注案件って、江端さんが担当された案件ですよね」

と、色々な人に言われました。メールでも問い合わせがらいました。

全くの誤解なので、正直に、こう言っています。

「いや、私なんか、今回の受注には何の貢献もしていないよ」

遠慮がちに、伏せ目がちに、少し照れた風に「言う」または「メールを書く」ことがミソです。

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いや、実際に案件が違うので「全く何の貢献もしていない」のですよ。

ですから、

『江端さんって、自分の成果を吹聴することもなく、何て謙虚な方なんだろう』

と勘違いされても、それは私の責任ではありません。

―― 単に事実を語っていただけですよ、私は。


2013-10-22 私たちサラリーマンは占い師なのです [長年日記]

この話は何度も書いていて、本当にしつこいのですが ――

私は血液型や星座による性格判定やら占いやらを、絶対的な意味で信じない一人です。

これは統計的とか、科学的とか、あるいは生物学的とか、また、観念でも、信念でもなく、「絶対的にあてにならないこと」を知っているからです。

正確にいうと「私については、絶対的に信じない」というのが正しいのかもしれません。

■無口で一途な正確

■信念に従い、意志が固く、不言実行型

■成功するまでは、決してあきらめない根性の人

■理知的で、天才肌

一体、誰だ、それは?

上記の内容、私の血液型と誕生日から調べると、どれを見てもほぼ同じ。

そのようなフレーズを作成している著者に、「お前等には、創作力はないのか」と蔑んでしまいそうです。

以前にも書きましたが、「誰よりも分かっているはずの自分の性格を、他人に当てて貰って喜んでいる人」が、一体何に喜んでいるのか、私には全く分かりません。

しかし、占いコーナとか、今日の運勢とかの記載が、雑誌からなくなったという話は、ついぞ聞きたことがありません。

ということは、我々は、「デタラメでも、嘘でもいいから、誰かにアドバイスをしてもらいたい」生き物であると推認されます。

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では、「アドバイス」という観点から考えてみます。

私、学生時代に、進路で悩んだことがあり、人生で一度だけ、手相占いをして貰ったことがあるのです。

その時分かったことは、その占い師を称する人が、私の「手」ではなく、「顔」を見ていた、ということです。

最初、その占い師なる人は、私が望んでいることとと真逆のことを言っていたのですが、私の顔色を伺いながら、適当な会話を続けている内に、それを完全に「私の意に沿った」方向に転換することに成功したのです。

『人の顔色を見て、その結論を変える』

そんなことは、我々のようなサラリーマンであれば、誰もが持っているスキルです。

上司、顧客に対して、我々サラリーマンは、彼らにとって「心地よい答」をいつでも取り出せるようにしているように準備しているはずです。

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なんのことはない、私たちサラリーマンは占い師なのです。

ならば、何も占い師なんぞに3000円もの金(今でも、私は心底腹を立てている)を払う必要なないのです。自分に尋ねれば良いのです。

我々が占い師であるなら、「我々の考ていること自体が、その占いの結果となる」ということは、当然のことです。


2013-10-23 『この反革命分子が! 貴様みたいな奴に、真のプロレタリア革命の戦士たる資格はない! 』 [長年日記]

まんがライフ12月号の「ラーメン大好き小泉さん」に、今回、天下一品のラーメンが登場しました。

私が、学生時代、京都の街で、何度、この天下一品のラーメンを食してきたことか。

天下一品は、学生の私の散財に対して、株の一部を譲渡しても良いくらいだ、と思う。

特に、試験やあるいはレポート提出前日の徹夜を覚悟する為に、腹を括るために、わざわざバイクで、岩倉から一乗寺(天一本店)まで食事の時間をいれて、約1時間を費やし ――

―― はっきりいって、バカ

そんな時間があるなら、勉強するか仮眠を取るのが正解です。

だが、あの天下一品のこってりラーメンには、我々に奇跡を起こしてくれるような錯覚を起こさせる「何か」があったのです。

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「ラーメン大好き小泉さん」を読んでからというもの、「天一ラーメン」の悪夢に苛まれました。

そして、本日やっと、出張先の秋葉原から、一番近い神田店を見つけだし、携帯ナビを使って、やっと天一ラーメンに辿りつきました。

学生時代の当時、友人の前で、ラーメンの大盛りを頼むことは勇気のいる行為でした。ましてや、唐揚げ付きの定食で頼むことなどは、「ブルジョア」の汚名を着せられるも同然の暴挙でした。

『この反革命分子が! 貴様みたいな奴に、真のプロレタリア革命の戦士たる資格はない! 』

などと言う友人は ―― 勿論、一人もいなかったのですが(生れてくるのが15年ほど遅かった) ―― ある時期、自治寮の寮長なんぞもやっていたんで。

私の中の内なる声が「唐揚げ定食メニュー」を遠ざけていたのです。

しかし、今の私は、大手電機メーカの主任研究員。

組合員を弾圧する(こともできる)中間管理職員であり、そして、妻と二人の娘を有する小市民、プチブルの見本のような者です。

もはや、私が、天下一品ラーメンを「唐揚げ定食」として注文しても、何人たりともそれを妨げることはできません。

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美味しかったです。

本当に美味しかったのですけどね。

でも、学生の頃ほどには、美味しいと感じませんでした。

何が足りなかったかと問われれば、それは「後ろめたさ」だと思うのです。


2013-10-24 通常国会または臨時国会の開始2時間前の着席と、国会議員全員によるTOEICの受験の実施を要求します [長年日記]

英語教育の開始が、さらに早まる検討がされているようですね(英語教育、小3へ前倒し 5、6年は正式教科に 文科省が方針)。

英語に関するコラムを寄稿している者としては、何かを言わなければならないような気がするので、書いてみたいと思います。

まず、私が2年前のゴールデンウィークの全日を返上して、調べた結果、

■英語をしゃべらないと全く仕事にならんという人は、就労人口の4%足らず

しゃべらないまでも、日常において、英語の読み書が必要であるという人は、10%にも満たないと思っています。

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多分、文科省の人も分かっていると思うのですが、私は、これは「ニワトリとタマゴ」の話なのだと思っています。

■英語を使いこなせない→グローバル展開できない

■グローバル展開できていない→英語を使いこなす必要が出てこない

このような負のループバックを破るには、一番、立場の弱い奴を突けばいい。

要するに、「文句を言えない子どもたち」をターゲットとする、です。

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政治家や官僚の人が、国会答弁を英語でやる ―― とまでは言わないまでも ―― 国連の演説や外遊で、通訳をつけて日本語でしゃべっているニュースを見た子どもたちが、

『本当に英語をかんばらなければいけないな』と思うだろうか。

私なら「ふざけるな」と思う。

それは、喫煙していた子どもを、タバコを吸いながら指導する生活指導の教師のようなものであり、あるいは、私にメタボを叱責する、肥満体の医師(私の会社の提携している病院の(有名な)医師)のようなものです。

「僕みたいな情けない大人にならないよう、しっかり学んで」と発言した、大阪市の市長に対して、

『馬鹿野郎が。くだらねえこと発言している暇があったら、先ず、自分のTOEICのスコアでもツイートしやがれ』と、私は思いましたよ。

子どもは、こういう言い方で逃げる大人を「ずるい」と看破する能力があります。

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という訳で、提案です。

「英語教育の開始時期の早期化」のを認める代わりに、

■通常国会、または臨時国会の開始2時間前の着席と、国会議員全員によるTOEICの受験の実施

■全ての国会議員のTOEICスコアの公開

■受験忌避者の議員資格の剥奪

を実施を要求します。

そうそう、

■文科省のキャリア組全員の、TOEICスコアの公開

も要求します。

現在、国会議員に関しては、法律で資産の公開が義務づけられていますが、ここにTOEICスコアも付けて貰おうと思います。

子どもたちに英語教育を強いるのであれば、子ども達の英語教育の動機づけとなる「行動」も伴って貰わなければ、筋が通りません。

私は、良いスコアを出せ、と言うのではないのです。「英語が使えない国会議員」だけど、「英語を使えるようにがんばっている国会議員」であることを、子どもたちに示して貰えれば、それで良いのです。

日本のグローバル化を導いていくつもりがあるなら、「先ず隗より始めよ」を実践しろと言っているだけです。

子どもは、そういうかっこ悪くても、それでもがんばろうとする大人を「えらい」と尊敬する能力があります。

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なぜ、そのようなことが言えるのか?

「かっこ悪いけど、闘って、負けて、落ち込んで、それでも、それを何度でも繰り返すパパを、尊敬できる」 ―― そう言った子どもが、この世に、二人だけはいるという事実を、私は知っているからです。


2013-10-25 『ふーん、あんな下品な見出しを出すスポーツ新聞ごときでも、何かの役には立つのですね』 [長年日記]

私は、いわゆるスポーツ新聞というのが好きではありません。

その理由に関しては、「日本における野球文化に関する一考察」を御一読頂ければ、ご理解頂けるものと思います。

一部抜粋します。

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複数のニュースメディアを利用する場合、私たちは、それぞれのメディアの主張を多面的に分析して、事実はどこにあるのか調べようとすることがあるかもしれません。

例えば、日テレでは「巨人勝利」と報じていたが、フジでは「中日がサヨナラ満塁」だとか、サンケイスポーツとニッカンスポーツでは結果が異なる、というのであれば、どれを信じていいか判らずにあれこれ見たり読んだりする、というのは納得できます。

しかし、どうせ同じ結果しか報じていないメディアを、どうして何種類も見るのか、全く不可解です。

なにより私は、あのスポーツ新聞メディアの、首尾一貫しない軽薄な論調が嫌いです。

シーズン開始時に「今年も最下位決定! 監督更迭!?」と書き、シーズン終りに「信じていたぞ!我等の巨人!!」とよく書けるもんだと思う。

もし人間だったら、私は、こんな奴とは絶対付き合えない。

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先日、会社の幹部と一緒に飲む機会を得た時に、その方が、私の上記の主張とは逆の論旨を展開されていて、驚きました。

幹部:「例えば、プロ野球の試合一つ取っても、その流れが『がらっと変わる』というポイントがあるんだ」

江端:「ほう」

幹部:「で、私は私なりの主張を持っているんだ。例えば、あの『ファール』によって流れが変った、とか、あの『凡フライ』にこそ重要な意味があった、とか」

江端:「はあ」

幹部:「しかし、スポーツ新聞では、それと別の論旨が展開されている訳だ。しかもだ、主要スポーツ新聞4紙で、主張が全部違うのだ」

江端:「4紙全部を購読しているんですか!」

と、ちょっと場違いの方向に驚きました。

幹部:「俺はな、こうしてプロ野球とスポーツ新聞で、物事の多角的な視点と、いわゆるダイバーシティという奴を、獲得するに至った訳だ」

江端:「なるほど」

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複数のスポーツ紙を利用して、それぞれのメディアの主張を多面的に分析して、プロ野球の試合の流れを決したポイントがどこにあるのか調べようとする ―― という目的には、叶っているという訳です。

「そんなもの(プロ野球の流れ)を分析してどうするんだ?」と言うことは、さすがに暴言と思います。

1000年後の人口を予測したり、20年後の結婚の可能性を計算することと、同様に、「どーでも良いこと」である点では、同義なのですから。

そこに、本人の楽しさがあれば、立派な正義です。

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『ふーん、あんな下品な見出しを出すスポーツ新聞ごときでも、何かの役には立つのですね』 ―― と、口には出しませんでしたけどね。

なにしろ、私は、サラリーマンですから。


2013-10-26 『初孫』乱入 [長年日記]

昨夜から、長女が高熱を出して寝こんでいます。

昔から、熱を出すと、そのまま自家中毒に突入し、深夜の病院に担ぎ込むというのが、定型パターンだったのですが、中学生になってからは、そのようなこともなくなりました。

私も、体調がすぐれないので、今朝は、昼近くまで寝ていて、先程、リビ ングに降りていったところ、珍しく家族全員が揃いました。

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私が、朝食兼昼食を食べていたとろ、長女が、「昨夜、横になったままだと、吐いしまいそうになって、深夜に、リビングにおりて椅子にずっと座っていた」と言っていました。

江端:「熱は? 十分に冷せよ。うちの親戚には、高熱で脳をやられた人がいるぞ。とにかく冷やすことだ」

長女:「駄目。ヒエピタの匂いだけで吐きそうになる」

―― ん? この症状には、記憶があるぞ。

吐き気、横になっていると辛い、異常なまでの異臭への感度上昇。

嫁さんと一緒に生活している私ですら、冷しそうめんしか食することができなくなり、結果としてダイエットができてしまった、あの時代です。

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江端:「お前。もしかして・・・『つわり』?」

その言葉に、家族が一斉に反応しました。

P>嫁さん:「私、『お婆ちゃん』?」

次女:「じゃあ、私は『叔母さん』? 小学生なのに?」

江端:「もう『初孫』か ・・・ 感慨深いなぁ」

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「誰の子だ! 誰の!!」と、長女は憤慨していました。

そりゃまあ、病床の身の上で、ネタにされたら、誰でも怒るでしょう。


2013-10-27 「後輩に対して、自分の時代の技術を強要するような、古いタイプの上長になるまい」 ―― と。 [長年日記]

大学生の時に、先輩が使わないパソコンを譲り受けて、そのままずっと使い続けていました。

大学にもコンピュータはあったのですが、大型計算機(TSS)でしたので、自由に使えることもなく、もっぱら下宿のパソコンで、バイト先の塾の生徒の成績管理をしたり、実験レポートの考察に、(不要にも関わらず)シミュレーションの計算結果を付けたりしていました。

思えば、あの頃から、私は「いらんこと」を時間をかけてやる、という性格だったように思います。

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今になって思えば、私の母校はコンピュータリテラシに関して、「完全に遅れていた」と思うのです。

私の知る限り、大学の研究室にはUNIXを使えるワークステーションというものがなかったですし、コンピュータ同士を繋ぐLANという観念もなく、また、海外とメールで通信するという考え方自身がありませんでした。

会社に入社してから、OSの概念が分からず、プロセスやマルチタスクの意味が全然分からずに、酷く恥をかいたという記憶があります。

「大学のレベル」というものを思い知った、数少ない事例の一つです。

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しかし、私自身は、プログラミング言語の取得は早い方だったと思います。休日出社して、教本の例題プログラムを、全部手入力するという、プリミティブな方法で、覚えていきました。

終日、例題プログラムを、入力し続ければ、大体理解できたと思います。同じ言語でも「英語」とは雲泥の差です。

米国赴任中は、仕事のほぼ100%がプログラムを作る仕事(コーディング)をしており、さらに就業後に趣味のソフトウェアを作っており、さらに自宅で、別のプログラムを作っていた ―― という、まあ、「好き」だったのでしょう。

何百行ものプログラムリストの中に、一つでも間違いがあると、うんともすんとも言わない。

この明快なルールは、努力とか、能力とか、経験とか、感情とか、思い込みとか、そういうものを完全無欠なまでに無視してしまう、冷徹なまでの美しさがあると感じます。

それはさておき。

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先日、「コーディングが好きではない」という後輩の話を聞いて、どうアドバイスして良いか、悩んでいます。

私たちは、システムのエンジニアであり、また、研究員ですので、プログラミングの能力、そのものは、原則として問われません。

それは、木材の性質や、鉄鋼の経年劣化については、大工や施工担当者は理解する必要がありますが、建築士や設計者は必ずしも知っている必要がないことと同じです。

また、当然のことながら「プログラムレス」の方向に技術は進みつつあり、コーディングなどという、かったるいことからエンジニアを開放する方向そのものは、「正解」だとは思うのです。

また、今や、メモリが潤沢に使えて、メモリリークをガーベージコレクションが片付けてくれる、この時代にあって、C言語や勿論、マシン語やアセンブリ言語なんぞを、覚える必要が、どこにある? ―― と思うのが自然です。

私が入社した時代にあっても、上長から「マシン語でプログラムを組めない奴に、システムが理解できるか」と、言われて、鬱陶しかったこと、この上もありませんでした。

私は、あの時誓ったのです。

「後輩に対して、自分の時代の技術を強要するような、古いタイプの上長になるまい」 ―― と。

だから今、私は、自縄自縛の不安の中にいます。

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コンピュータのアーキテクチャから完全に分離されたプログラム言語や、あるいは、生涯コーディングをしないこと ―― って、本当に大丈夫なのか、と。

システムを破壊するもっとも簡単な方法は、コンピュータアーキテクチャを理解して、その弱点を攻撃することです。

私はOSの研究員ではありませんが、それでも、十分な時間を貰えれば、システムをOSレベルで壊滅するプログラムを作ることは、多分可能だろう、と考えています。

比して、システムを防衛する側のリテラシーが低下していけば、サイバー攻撃に対抗できないシステムが、山のようにできてしまうのではないか、と、とても心配です。

あるいは、そのようなサイバー戦争に関することは、国家の機関に任せて、「私たちは知らんよー」、と。

―― という訳には、やっぱり、いかんよなー。

私たちは、お客様にシステムを収めさせて頂き、お金を貰っている製造業者(メーカ)なのですから。

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この件については、やっぱり良く分かりません。

ただ、「英語に愛されないエンジニア」が、英語で苦労することは、仕方がないとしても、

「プログラムに愛されないエンジニア」が、プログラムで苦労することが、同様に「仕方ない」と言えるかどうか、今の私には判断できないのです。


2013-10-28 ―― もう一度、私の手で殺す為に [長年日記]

先日、待ちに待った、西尾維新さんの最新刊「終物語(上)」を入手しました。

恋人との逢瀬のごとく、本の出版日を待つというのは、なかなかロマンチックな感じがします。

そのような焦れる思いで、この待ちに待った本を、どこでどうやって読むか。

これは判断に悩む所です。折角のデートであるなら、それは、最高の場所で、最高な時間で、読みたいものです。

風呂の中、トイレの中とか、そのような興醒めたところで読むべきではないでしょう。少くとも最初の一回目は。

高層ビルの夜景の見えるバーで、高めのバーボンを舐めながら、読書に興じる ―― ということを、人生で一回くらいはやってみてもいいのではないだろうか。

会社と、自宅と、サウナのあるスーパー銭湯の3箇所だけを、巡回セールスマン問題のように回るだけの人生に ―― 3地点では巡回セールスマン問題は成立しないけど ―― 私にだって、第4の秘密の場所があっても良いじゃないか。別に「愛人宅」という訳でもないのですから。

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で、結局、その「終物語(上)」をどこで読んだか、というと、

深夜23時に、人身事故でスタックして、ピクリとも動かない、ド満員の小田急の電車の中でした。

あの時、私は、人生で初めて、心から「人身事故に会われた方に助かって欲しい」と願いました。

―― もう一度、私の手で殺す為に


2013-10-29 「上巻」を所有している方、貸して下さい。 [長年日記]

本屋大賞第一位の「海賊とよばれた男」。市立図書館の予約待ち300人以上を経て、「確保済」ののメールが届きました。

「下巻」が先に。

いや、予定通りなんですけどね。

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私以前、「下巻から読める」と豪語していたのですが、それほど評判の良い本なら、やっぱり上巻から読みたいじゃないですか。

「いまさら、なんだ! みっともない!!」と非難して頂いて結構です。

でも、あの「永遠の0」の著者の本なのですよ。これは、もう、期待感ワクワクですよ。

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という訳で、(特に)私の周りにいる人にお願いです。

「上巻」を所有している方、貸して下さい。

キレイに扱いますから。

絶対に、歩きながら読んだり、トイレで読んだり、風呂のバスタブに落したりしませんから(あたり前だ)。


2013-10-30 10人のうち、ざっくり2人が、5歳の誕生日を迎えることなく「いなくなる」という日常 [長年日記]

子どもの生存環境を比較する指標の一つとして「5歳未満の死亡率」というものがあります。

ユニセフをはじめとして、各国で使用されているもので、1000人中の死亡人数です。

今回、コラムを執筆するにあたり、日本における「5歳未満の死亡率」のデータ計算を行い、さらにユニセフの年次発表等で裏をとっていました。

日本は、現在、3人/1000人(小数点以下四捨五入)で、死亡率の低さでは、世界有数のトップレベルの国です。

ただ、私が今回知りたかったのは、100年前の人数でした。

厚生労働省やらを調べても、該当データがみつからず、欧州のデータや、新聞記事や、個人のホームページをベースに大体の値を推算していました。

現在、最悪なのが「シエラレオネ」で、実に194人。3桁の最後の方に、アフガニスタンで101人。

アフガニスタンは、私が新婚旅行先としてオファーし、嫁さんに敗北した事件として、よく覚えています。

イスラム原理主義のタリバンの阿呆どもに、石窟大仏を破壊されたとき、大人げなくも嫁さんに「恨みごと」を言ったことを覚えています。

それはさておき。

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10人のうち、ざっくり2人が、5歳の誕生日を迎えることなく「いなくなる」という日常って、どういう感じなんだろう、と ―― ユニセフの統計データを読みながら考えこんでしまいました。

シエラレオネに、ベビーカーの子どもと母親が登場する「公園デビュー」なる概念があるとは思えませんが、突然子どもが消えるという日常とは、どういう気持ちなのだろうか、と。

しかし、100年前の日本は、私が計算した限り、今のシエラレオネよりもっと多くの子どもが死んでいた。

100年前とは、1913年です。

果てしなく、昔のように感じるかもしれませんが、現在上映中のジブリの映画「風たちぬ」が主人公、堀越二郎が10歳の時のことです。

鉄道も水道も整備されいて、社会インフラの形態は、現在と基本的には同程度の時代です。

その当時、10人中3人の子どもが、突然消えてしまうという日常があったことに、戦慄を感じます。

「大人になること」が、一つの奇跡であった。

「七五三」は、魔の時である5年間を経過し、そして、「成人式」とは、文字通り「よくぞここまで生き残った」という、本当の祝賀の宴だっただろうと思うのです。

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「ビッグデータ」という言葉が私は嫌いです。でも、データを読むことは好きですし、大切なことだとも思うのです。

データを読むだけでも「生きていることの奇跡」に感謝できる。

データ解析の本質の一つには、そういうことがあると私は思うのです。


2013-10-31 「上司」というのは、利益を産み出す組織というシステムの中の「上位のサブシステム」ですよね? [長年日記]

NHKラジオの実践ビジネス英語の題材として、全国上司の日(National Boss's Day)なるものが出ていました。

米国やカナダで広がっており、今年は10月16日だったそうです。

なんでも、自分の上司にプレゼントを贈ったり、ランチに招待するイベントをするのだそうです。

米国の出張や赴任を経て、米国人のマインドや文化の違いは理解してきたつもりだったのですが、

―― 一体、何、考えているんだろだろーなー、あいつらは。

と久々に思いました。

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私は、この放送を聞いていたとき、「時限式の爆弾をプレゼントする」とか、「ランチに、サルモネラ菌とか、O-157を忍ばせる」とか、とか、そういうギャグの話で落とすものだろう、と思っていました。

しかし、どうやら、米国やカナダでは、本気で、真面目に、このイベント やっているようです。

『「ご一緒にお仕事ができてラッキー」と書かれたカードを贈りました』

との会話のあたりで、私は頭痛がしてきました。

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そりゃ、尊敬できる上司に感謝することが、非難される訳がありません。結構なことです。

また、「感謝」というなら、日本にも、勤労感謝の日とか、父の日とか母の日とか、敬老の日があります。

これらは、ある種の「集合的な概念」であり、感謝の対象として把握しやすく、私にはあまり違和感は感じません。

しかし「上司」というのは、利益を産み出す組織というシステムの中の「上位のサブシステム」ですよね?

「サブシステム」に感謝のカードを送るということは、なんというか、

■壁掛けの時計に対して「いつも正しい時間を刻んでくれて、ラッキー」

■給湯室の電子レンジに対して「いつも弁当温めてくれて、ラッキー」

と書かれたカードを送る、というくらいの違和感を感じるんですよ、私には。