江端さんの忘備録

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2011年 11月 30日
「『国際化』幻想」の終焉
我々は本当に長い間、「国際化」という掛け声で、英語を含めて色々な勉強を強制されてきました。

だが、我々が学生の頃、外国に行く機会は少なかったし、外国で働く機会も、それほどはなかったように思います。

英語なんて使う機会は、挨拶と、イミグレーションと、ホテルと、お店くらい。

「国際化ぁぁぁーーー」と叫び続ける狼少年に、長い間、騙され続けてきたと思うと、少し悔しいですが、それはそれで幸せな時代だったと思います。

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でもね。

ティーンエイジャの皆さん。

今度の今度は「本当」かもしれない。

もう、掛け声だけの「国際化」は、真の意味で終わるかもしれません。

ご存知の通り、「勉強」が「学歴」の為にするなんて時代は、とっくの昔に終わっていて、これからは、「喰って行き残る」為の「生々しい手段」に取って代わるような気がします。

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なぜ、そう思うかというと、

この豆腐のような軟弱な根性しか持ち合わせていない、この「私」ですら、

『使えない奴は、そこに置き去りにする/される』と考えなければならない程に ――

もう私達の社会には余裕がない ――

―― と、足元から冷気が上がってくるような恐怖を感じることが、最近、度々あるからです。
2011年 11月 29日
日経新聞のCM
最近、日本経済新聞のCMは、

「日経読んでいないと、就職に不利である」

という、就活学生にプレッシャーを与えるもので、見ていて愉快ではありません。

購読者数を上げるということは新聞社にとって重要なのでしょう。

しかし新聞社たるもの、コンテンツの内容で勝負して欲しいものです。

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日本経済新聞は、

○値段が高い
○重量が重い
○読み切れない(損をした気がする)
○内容が難しい
○フィールド広過ぎ

こんなもん、学生がいきなり読んで、理解できるものか。

政治や経済学を専攻した、一部の学生なら、いくらかは理解できるかもしれません。

しかし。理数系の学生なら、こんなもん読んでいる暇がったら、嘔吐を吐きながら、海外の論文に喰らいつくことの方が大切だと思う。

私が学生だったら、面接で「日経読んでいる?」と尋ねる、その面接官の資質を疑うと思うのです。

『こんなステレオタイプを面接官にしとんか?、この会社は』
と思えば良いです。

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私の場合、「日経『産業』新聞」が抜群に好きです。

新技術、新製品情報が満載で、なんか新聞広告のスーパーや家電商品点の折込広告のようで、読んでいて楽しい。

定期刊行物としては「日経ビジネス」は、読み物として面白いと思います。

それ以外の「日経」に関する思い出としては、「日経コミュニケーション」というネットワークの技術雑誌を読み捲っていた時に、上司に叱られたことがあります。

理由が凄かった。

『こんな雑誌で学ぶんじゃない。この雑誌で出てくる時点では、他の文献を読み終えていて、自分の当然の知識として持っておけ』

だってさ。
2011年 11月 28日
無題
私は、外国の会社や研究機関と、契約やら輸出管理(輸管)やらに関わらなければならなかった機会が多くありました。

いつの間にか、他の人から相談される程度にはノウハウが積っていたらしいです。

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相談してきた後僚と企画室の担当者との間で、詳細かつ綿密な打合せをした後、最後に私は以下のように総括しました。

『とにかく、分からないことがあったら、何でも私に聞く・・、ということだけは止めた方がいい』

『私の経験など、君の業務に、なーんにも役に立たんことを、自信と確信をもって断言できる』

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後僚と企画室の担当者が、ズッコケていました。
2011年 11月 27日
アイルシートの闘い
国際線のWebでのチェックインが可能となることが判って、概ね、通路側席も取れるようになってきました。

先程、帰国したのですが、今回は特別にしんどかった。

4席座席の真ん中の2席が、どうやら新婚さん(か、恋人同士か)らしく、変に気を使ってしまって疲れました。

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今回は、ビール + 睡眠薬 という、危険レベルA-- の強制睡眠作戦を取ってきました。

(何年か前に、ウイスキーストレート のダブル + 睡眠薬(ハルシオン)を行使して、生死の境を彷徨ったという話は、すでにしました)。

私は座席に座って寝ることが難しいので、体を横にしたり、通路に足を投げ出したり、足を前座席全体に伸ばしてみたり、と、ようするに、四六時中体を動かしている訳です。

が、さすがに、隣の席に座られている、旦那さん(彼氏)と随伴されている若い奥様? に不快を与えることは、よくないことだと思いましたので、なるべくじっとしていようと思ったのです。

が、睡眠薬でモウロウとしている私には、あまり効果はなかったようです。

となりの席で、ドタバタと体勢を変える乗客に不快な目に合われたかと思いますが、もう、そういう運命であったと諦めて貰うしかありませんね。

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というか、帰国の座席確保に戦略なしで望んだ、ご夫婦にも、良い勉強になったでしょう。
2011年 11月 26日
水中利用可能なPC
英語のテレビなんぞ見ても分からんので、パソコンでYoutubeのコンテンツ見ています。

パスルームの中まで、ノートPCを入れますが、遠くに置かなければならないので、画面も音も小さくなります。

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私は、「水没可能なiPad」が登場するまでは、手を出さないつもりだったのですが、別にiPadでなくとも、ノートPCで良いのです。

そうですね、水中でキーボードやマウスマッドが使えるもの、勿論、水中で無線LANが使えること ――

―― いや、水中に引き込めるLANケーブルでも良い。
ついでに、水没できる、電源アダプタもあれば良い。

私は、サウナも好きなので、上限温度は120度程度は欲しいなぁ。

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これからの温泉や大衆浴場は、皆がタオルと手桶と、「水没ノートPC」を持参で、皆がかってバラバラに、コンテンツを楽しむ。

共有スペースにいながら、完全に他人。

これこそが、新しいパラダイムの入浴です。
2011年 11月 25日
気分は「イギリス東インド会社」
今回の出張で、嫁さんから、買い付けを頼まれました。

ロンドンのピカデリーサークルにある「フォートナム・アンド・メイソン」本店で、2紅茶の買い付けをしてこい、と。

紅茶なんぞに、とことん興味のない私の性格を先読みして、銘柄、タイプ、個数、それにサンプルの印刷映像を具体的に記載した、指示書を私に握らせました。

まるで、「はじめてのお使い」。

さらに、「フォートナム・アンド・メイソン」本店には、茶器の販売もされている、という、私の興味を引く情報もしいれておくという徹底ぶり。

# そう、私は、ガラスでも陶器でもなんでもござれの、食器ファン。

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重かった。すかすかだったリュックが、お茶っ葉でパンパンになっていました。

気分は、400年前の「イギリス東インド会社」でした。
2011年 11月 24日
山手線週末運行停止
と言うことになったら、東京は大変なことになるでしょうね。

でも、そういうことを、本当にやるんですねえ、他の国は。

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封鎖されている地下鉄の駅の改札口を見たときは、

―― 本気で、青ざめました。

私は、今日、帰国できるのか、と。

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確かに、これまで私が見てきた限り、

『西村京太郎トラベルミステリー』

が成立するのは、日本だけだと思います。
2011年 11月 23日
娘の誕生日
一日ミスった。

前日に、娘の携帯電話に「おめでとうメール」を送ってしまった。

『時差があるからね』、と嫁さんはフォローしてくれてはいたようだが、誤魔化し切れなかったようです。

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極東に位置する我が国においては、欧州からの誕生日メールが「遅着」することがあっても、「早着」することはない。

小学生と言えども、そのことには気がついた様です。
2011年 11月 22日
何を言っとるのか分からん
再び、英国に来ました。

前回は、暫く喋っていなかったので、コミュニケーションができなかったんだ、と思っていました。

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仕事から、ハンバーガーショップのお姉さんまで、誰が何を言っとるのか、全然分からん。

そして、分からんことに対して、路傍の風景を眺めるがごとく、『もー、どーでもいいやー』と思っている、自分に、なにより驚いています。

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私の英会話能力は、完全にゼロリセットされたことを、ここに宣言します。
2011年 11月 21日
仕事の流儀
NHKでは、現在、「プロジェクトX 挑戦者たち」の後継番組、「プロフェッショナルー仕事の流儀」を放映しています。

あの番組の内容を間に受けて、『よし、私もあの「仕事の流儀」を試そう』と思っている人は、多いかもしれません。

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私は試そうと思ったとはありません。

あれこそ、十人十色、千差万別、と思うのです。

例えば、私の仕事の流儀を書け、と言われたら、こんな感じになります。

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― こんな時、江端には守っている仕事の流儀がある。

「疲れたら休む」

「面倒なことからは、逃げる」

「俺がやらねば、「誰か」がやる」

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こんなふざけた内容でも、番組の編集の仕方一つで、視聴者に感動を与えるような伝えかたは、可能だと思うのですよ。
2011年 11月 20日
自宅チェックイン
自宅から飛行機のチェックインができるようになっていたんですね。

先日旅行代理店の人に聞いて知りました。

道理で、チェックインカウンターで、望みの席が取れん訳だ。

もうね、エコノミークラスの席で、通路側(アイル)が取れんかったら、もう地獄です。

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パソコンの前で、24時間前、秒単位でログインをして、先程通路席を押えました。

やれやれです。

こんな時は、エコノミー席に、すっぽり収まる小柄な女性の体躯は、「買ってでも欲しい」と思います。
2011年 11月 19日
なんかなぁ
◯死ぬまで維持すると思っていた、両眼2.0の視力が、1.2と0.7まで落ちた。『視野に入る文字は、全て読める』が普通であったのに、視認できなくなった。

◯世界中、どこにいても、いついかなる時でも、地図さえあれば、どこにでも到達できると信じていた、私の「絶対方位感」が壊れた。
深夜のロンドンで、ホテルに戻る途中、迷子になった。

◯多分、カラオケボックスでは歌えるレパートリーはないだろう。

◯カルトな技術書は、内容がもの足りない。
「原爆の作り方」くらいの特集でないと、多分もう満足できない。

実社会では「ファイティングポーズ」を取り続けないと、相手にされないけど、元気なフリするのも、最近面倒になってきたなぁ、と思う。

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という話を、先日、たまたま先輩に話す機会がありました。

『何だとーー、江端ぁ。元気が出ないだとぉ。お前から「元気」を取ったら、何が残るというんだぁ!』

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そりゃ、「何か」は、残るでしょうよ。

「元気」だけが取り柄なら、ただのアホじゃないですか。
2011年 11月 18日
「私、こんなもんじゃない!」
「私、こんなもんじゃない!」と叫んで、自分の能力を信じる人は、本当に立派な人だと思います。

こんな言葉を言う人は、コミックの世界の中だけだと思っていましたので、身近にいた時は驚きました(学校の後輩でした)。

きっと、彼女は大物になっているのだろうと思います。

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私の場合、これまでの人生、常に、

『私は、こんなものだ!』

と叫び続けていたような気がします。

能力が低いということは、結構人に迷惑をかけているのかもしれませんが、「ない袖は振れない」のです。
2011年 11月 17日
旬の地物鮮魚詰合せ(A)
先日の誕生日、ゲームソフトとは別に、自分へのプレゼントとして、インターネットで、

「魚」

を買いました。

「旬の地物鮮魚詰合せ(A)」のセット(2人前)を頼んだのですが、届いた荷物は、

○鰤(ぶり)丸ごと一匹
○鮟鱇(あんこう)の切り身(肝入り)
○カレイ 4枚
○カサゴ 3匹
○太刀魚 4匹

と、二人は勿論、家族4人でも食べきれない量が届けられました。

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刺身にする為に、鰤を3枚に下したのですが、なんせ素人仕事なので、骨に身がたっぷりついて、もったいないこと、この上もありません。骨も含めて、アラは全部味噌汁に突っ込んで煮込みました。

子ども達は、(見てくれは悪いですが)朝取り魚の刺身の美味しさに驚愕していたようです。

CookPadのページからレシピを入手して鮟鱇鍋を作り、生まれて初めて食しましたが、大変幸せな味でした。

翌日は煮付けにしたカサゴを食べましたが、子ども達は、そのグロテスクな姿態を怖がって手を付けませんでした。こんな素晴しく美味しいものを、子どもなんぞに食わせる必要はないのです。子どもの皿から煮魚をさらって、一人で食しておりました。

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自分の誕生日に、自分で魚をさばいて料理して、日本酒と一緒に楽しむ。

『なんて、かっこいいのだろう』

と、酒のせいだけでもなく、自己陶酔しておりました。
2011年 11月 16日
「クライマーズ・ハイ」 を読んだ
大変評価が良い本だったので、読んでみました。

85年、御巣鷹山の日航機事故で運命を翻弄された地元新聞記者たちの悲喜こもごも。上司と部下、親子など人間関係を鋭く描く。

うん、この本、私は全然駄目だった。

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『日航機事故で命を失った人の為には泣かない』という読者欄への投稿者も、それを採用したデスクも、何の為にそのようなことを強行したのか、その動機付け全く理解できない(というか、記載されていないな)。

さらに、投稿者がそれを「後悔して泣いている」という部分の記述は、意味不明を越えて、嫌悪感すら感じました。

『日航機事故で命を失った人の為には泣かない』という問題提起は立派な論旨なのに、物語の展開でグズグズになってしまっている。

最後の最後に凄い落ちがあるのだろう、と期待しながら、最後のページに至った時は、さすがに腹が立ちました。

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そもそも、「スクープを抜く」というのが良く分からんのですよね。

私は大事件があっても、できるだけニュースを見ないようにする方で、あとで纏めて、NHKスペシャルで見る方が好きなのです。

一日やそこら、情報が早いことが何になるのか、と思います。

私なら、若干情報が遅く出てきたとしても、確実な背景や、動機付けや、事件の詳細を、できるだけ客観的にきちんと知りたいと思う。

『スクープを抜く』の価値観って、社会が要請したものではないですよね。

記者が記者同士で、何かの競争原理を働かせる為に作り出した価値観のように思えます。

が、「それを言っちゃあ、おしまいよ」とも思いますが。

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技術者のやっていることなんて、もっと意味ないかも。

○携帯電話のつながらない地域を減らす努力

○超高速のネットワーク通信を実現させる努力

○世界一の計算能力を誇るスーパーコンピュータを作る努力

これこそ、『身内同士が勝手に作った価値観で、勝手に競争してやがる』と言われたら、反論の余地はないでしょう。
http://www.amazon.co.jp/クライマーズ・ハイ%20[単行本]/dp/4163220909
2011年 11月 15日
出世を理解する方法
私は、出世に適した能力がないので、出世のチャンスがないです。従って、出世している人とか、出世したい人の気持ちは、今一つ、よく分からないのです。

最近、会社の派閥争いや、出世競争の小説をいくつか連続して読むことになったのですが、その雰囲気が今一つ掴めません。

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ところで、私は、会社で、研究とは少々異なる仕事(特許や契約関係の仕事)をする機会が、他の人よりは多いです。

そんな仕事の中には、極めて稀ではありますが、『墓場まで持っていかなければならないなぁ』というような内容に接することがあります。

これって、ちょっとした快感です。

『ふっふっふっ、私(と数人)だけが知っている、会社のヒ・ミ・ツ(ハート)』

私のような極めてニッチな専門分野で働く者は、『誰も知らない秘密の洞窟』に、一人だけ入るような優越感があるのだろうと思います。

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これに対して、出世とは、『山の極みから絶景を見るようなもの』なのかもしれません。

とすると、「出世」というアクションも少しは理解できるなぁ、と思っている今日この頃です。
2011年 11月 14日
先願主義
ご存知の方も多いかと思いますが、今年9月に、先発明主義から、先願主義に切り替えるアメリカの特許法の包括的な改正案が、上院と下院で可決されました。

後は、大統領の署名が必要ですが、事実上、法改正は成立したといっても良いでしょう。

本当に、この米国の「先発明主義」への固執のおかげで、我が国の研究員は、どれだけ面倒な思いをしてきたか。

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着想した発明を、一度頭の中から「発明ノート」と呼ばれるものに記載して、さらに上長2名の日付付き職印を貰わなければならないという作業が必要だったのです。

なんでこんな面倒くさい作業をしなければならなかったか、というと、世界でただ一国、先願主義(日本国特許法第39条)を採用していなかった国が、米国だったからです。

日立が米国で特許権を取ったとしても、別の発明家が「俺が先に思いついたんだ」と言われれば、その特許権を奪還される可能性がありました。

これに対して、日本の発明者は「さらにその前に思いついていたんだ」を証明する為に、この「発明ノート」が不可欠だったのです。

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このような「先発明主義」に対して、米国を除く世界の全部の国が採用している「先願主義」は極めて明快です。

「2以上の発明が出願された場合、最先の出願人のみが特許を受けることができる」

○どんなに早く発明の着想や具体化に至ろうが、そんなこと知ったことか。
○特許庁に先に届けた奴が勝ちだ。

実に、判りやすい。

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しかし、この「先願主義」の考え方は、確かに、発明者に対して「冷たい」。

大体、特許明細書って、誰もがおいそれと書けるものではありません。
発明の内容にもよりますが、30〜100ページ程度の明細書と図面を作成しなければなりません。
我が国に弁理士という資格が存在するのは、発明を出願に持ち込むだけの経験と力量が必要となるからです。

特に個人発明家に至っては、技術はよく知っているが、法律はからきし、という人も多いだろうと思いますし、弁理士に頼めば、結構な金もかかります。

ですから、「発明家を絶対的に保護する」という、米国の執念は理解できます。

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しかし、「リプロピレン事件」などで、後発的に発明者が逆転認定されて、権利者がひっくり返った事件で、産業界は大打撃を受けました。

発明から30年以上も経過しているのに、ロイヤリティを支払わされた会社はたまったものではありません。

このように「先発明主義」は「先願主義」に対して、法的安定性に著しく欠けるのです。

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発明は、もはや個人の手を離れた、といっても良いのかもしれません。

巨大な資本投下、大規模かつ複雑な実験設備、複数の分野にまたがる専門家チーム、特許庁や侵害訴訟と闘う法務部門・・・

こんなもんが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のエメット・ブラウン博士(ドク)に、準備できる訳がない。

私は、これまで『特許収入で左うちわ』という夢のある話に出会ったことがありません。
2011年 11月 13日
入院した娘
先週から不調が続いていた娘(小学校低学年)を病院に連れていったら、「髄膜炎」と「経度の肺炎」を併発しており、即、入院となりました。

レントゲンはさておき、CT、採血、血圧、とどめは「骨髄注射による髄液抽出」という、人生初のヘビーな検査のラインナップを経て、現在、点滴を打たれながら昏睡しております。

# 経過は良好(14日退院済み)なので、連絡とかしないで下さい。

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嫁さんから聞いた話なのですが、入院中、娘は「人生」について考え続けていたそうです。

なんでも、

『将来、一人暮らしをするべきなのか』
『将来、結婚をすべきなのか』

等々。

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よく分からんのですが、娘も娘なりに、ひとりっきりのベッドの上で、思うところがあったのでしょう。

今度、話を聞いてみます。
2011年 11月 12日
私が飲み会に行かない訳
◯金がかかる(その金で、家族で外食したい)

◯料理が不味いと機嫌が悪くなる(そして、多くの場合不味い)

◯酒を飲むとその日の計画が全部パーになる(下手すると翌日の時間まで潰される)

◯「飲みにケーション」の効力を、絶対的な意味において、信じていない

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分かっています。

社会人として、管理職として、間違っているのは、私の方です。

セッティングをしなければならない後僚にも、心底申し訳なく思っています。

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しかし、私もここまで偏屈にならなくても、と思うんですよね。

一体、私に何があったんだろう?
2011年 11月 11日
通信解析ツール
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犯罪容疑者が持つ携帯電話の全地球測位システム(GPS)機能を利用して警察が居場所を割り出すという捜査手法が、11月から新たに導入されることがわかった。

総務省内の決裁だけで済むガイドラインの改正で可能となったが、導入には「プライバシーを侵害しかねず、議論が必要だ」との懸念の声もある。

最近の携帯端末のほとんどに、紛失した端末を捜したり、子どもの居場所を把握したりするために、人工衛星を利用して正確な位置を測定するGPS機能が備わっている。

これまでは、容疑者の携帯電話の電波をとらえて基地局からの距離で居場所を測っていたが、特定できるのは数百メートル四方の範囲にとどまっていた。

GPS機能を使えば、建物の位置や路上の一地点まで細かく割り出すことができるため、警察庁は数年前から捜査への活用を希望してきた。

(11月1日)
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『なにを今さら』と思いましたが、少し考えた結果、ポイントは「GPS」ではないことに気がつきました。

『犯人の携帯電話に「トロイの木馬」(コンピュータウィルスと考えて頂ければO.K.)を仕込んで、犯人の携帯電話から位置情報を自動的に送信させる』

という、「警察によるウィルス送付の『合法化』」にある、と見ました。

さて、どうでしょうか。


『携帯電話を持ち歩くということ = 個人情報のダダ漏れ』 と言うのは、IT業界では普通の知識です。

そのような仕組みを作ることは、比較的簡単です。

実際、私も適法な運用の範囲内の技術で、『個人情報のダダ漏れ』の特徴を活用した、特許出願を2〜3本ほどしています。

まあ、それはさておき。

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ネットワーク研究には欠かせないツールの一つとして、WireShark(旧ethereal)があります。このツールは、通信の内容を読み取ることができます。

私は、このツールを駆使することのできるエンジニアの一人です。

ネットワークに流れる情報なら、無条件にとは言いませんが、メールの内容や、アダルト画像のダウンロードの状況も読み取れます。

暗号化していても、送信元のアドレスは確実に読み取れます。

アドレスが分かれば、警察はインターネットプロバイダに対して、そのアドレスに紐付く終端装置とその使用者を開示するように命令できます。

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だからこそ、思うのです。

今だに、
送信元の形跡を抹消する手段を講じることもなく、
『◯◯を殺す』とか、掲示板に書き込む奴って、

本当に救い難い馬鹿だなぁ、って。
http://www.kobore.net/ethereal.txt
2011年 11月 10日
特許明細書というタイムカプセル
長い間、ほったらかしにしていた、自作のフリーソフト(通信ドライバ)を久々にメンテナンスする必要にせまられています。

最新の開発環境とライブラリをダウンロードして、そして、

『数年前に、自分が書いたドキュメント』

を必死で読んでいます。

なんか、釈然としないものがあります。

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しかし、こういうケース、結構あります。

一番多いのが、特許庁の審査官から来た、拒絶理由通知への対応です。

私の発明に対して、審査官が「特許できんね」と言ってくるのですが、これに対して、

『そんなことないだろう』と反論したり、
『そうだねえ。じゃ、ここをちょっくら変更するんで、よろしく』

とお願いする必要があります(拒絶理由通知対応)。

その為には、

先ず、自分の書いた特許明細書を読んで、理解しなければならない。

それも、3年以上も前に書いた、酷いものになると50〜100ページにも及ぶ膨大な文章。

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はっきり言いますけどね、3年前の私と、今の私は『赤の他人』ですよ。

「この、馬鹿は何を書いていやがるんだ」「論理破綻しているじゃねえか」「どうして、こんなクレームにしていやがるんだ」

と、3年前の私を『罵倒』し、心の底から『憎悪』する。

この明細書が英語で書かれていると、さらに『絶望』という言葉も追加されます。

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ドラえもんに登場するのび太が、タイムマシンを使って、何年か前の自分に会いにいって、

「今の自分の勉強ができないのは、お前のせいだ」

と、過去の自分に、無理矢理勉強をさせるというシーンがあります。

この気持ち、とても良く分かるのです。

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最近、私の執筆する特許明細書は、すっかり薄くなりました。20ページを越えることは滅多にありません。

それは、3年後の私の作業量を、極力減らしてやりたいという、未来の自分への思いやりです。
2011年 11月 09日
親権発動
私は、親として強権を発動することが嫌いです。

しかし、先日、娘が見ている番組を、夫婦で阻止しました。

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「火車」がドラマ化されていましたが、嫁さんと娘が途中まで見ていたところで、嫁さんの『やっぱり原作には及ばない』という発言をきっかけに、娘をテレビから引き剥しました。

『この話は、先ず、本を読め』

と言いながら、夫婦で、娘を部屋に叩き送りました。
2011年 11月 08日
海賊王になった後
モンキー・D・ルフィは、海賊王になった後、グランドラインの統治について、どのようなビジョンを持っているのだろう。

統治機関として、文官が必要となるが、ルフィにそういう人選のセンスがあるとは考えにくい。

また、広大な海域であるグランドラインを、どのように統治するんだろう。かつての仲間と、分割統治をするのだろうか。しかし、あの仲間では時を経ずして、内乱に突入するだろう。

そもそも、『海賊王になる』とはどういうことだろうか。王とは、基本的には権力の最高位を示すものであるから、その裏には「統治」という概念が付帯する。

ルフィは統治をしたいのか? 何を統治したいのか?

さらに突っ込めば『海賊』とは何か。

海賊とは、武力を用いて航行中の船舶や沿岸の部落から収奪を行う組織のことであり、基本的には、法治国家にあれば「違法行為」、そうでなくても「非人道行為」である。

『海賊王になる』とは、非人道的団体の代表格になるということだが、そういうことは、普通、番組の最初や最後に、大声では言うものではないだろう。

「犯罪者に、俺はなる! 」と叫んでいる奴を見たら、私なら、すぐに警察を呼ぶけどなぁ

あ、電車、来た。
2011年 11月 07日
世の中の悪意を感じる
生まれて始めて、パソコンのゲームを購入しました

"STEINS;GATE Nitro The Best! V "

しかし、我が家にある、5台のパソコン全部で起動しませんでした。

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まあ、古いパソコンを延命させることが趣味である私のせいでもあるのですが。

『絶対に、私にパソコンゲームをさせない』

という、世の中の悪意を感じる。
2011年 11月 06日
自分の言葉で表現しろ
下の娘が幼少の頃、よくオバさんに謂れていました。

『まあ、◯◯様、そっくりねー』

(◯◯様は、現時点において、皇位継承権一位の方のご令嬢)

と、オバさんが見上げた視線の先には、感情を現わにしない、石の仮面のような私の顔。

オバさん、ちょっと引いていました。私の反応が、意外だったのでしょう。

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現実に、客観的には「似ていた」と思います。

しかし、『皇位継承権一位のご令嬢と、うちの娘が似ていたら、それが何だ』というのだ、と思っていました。

子役に例えたり、ドラマのキャラクターに例えたり、それらすべてを含めて、『なにか著名な者と類似していること』という、それだけのことで、『それを言えば、親が喜ぶだろう』と直線的に考える、その無知性で、無礼で、下品な思考体系が ――

―― 私は嫌いだ。

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人の娘を掴まえて、その容姿に関して感想を述べるのであれば、自分の頭で考えて、選び抜いた表現で形容しやがれ、と思うのです。
2011年 11月 05日
見たことがないもの
◯パンをくわえて登校する女子生徒

◯両手で学生カバンを持って、男子生徒としゃべりながら、後ろ向きに歩く女子生徒

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アニメやコミックでは、よく登場するみたいなのですが、現実にはそのような女子生徒を見たことがありません。

やっぱり、効率が悪いからだと思います。

パンは食べきってから走る方が速いし、両手でカバン持つと歩行しにくいと思います。

家族は、私のことを『機能至上主義者』と批判することが多のですが、『後ろ向きに歩い』て怪我するよりは、ずっとマシだと思います。

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背広姿にリュックを背負って、出張先や外国にも行きますが、誰も何も言いません。

だから、私の行動は、客観的にも正しいのだと思います。

ただ、背広にリュックを背負った私と、あまり目を合わせてくれないことが、少しだけ気になってはいますが。
2011年 11月 04日
『上司はなぜ、私の仕事を止めさせたいのだろう』
昔、『上司はなぜ、私の仕事を止めさせたいのだろう』と、思っていました。

私が次々と繰り出す提案に、次々と難癖をつけてくるからです。

私は、そういうキャラクターであり、そういう運命にあるんだなぁ、と、若い頃の私は、随分悲しい思いをしたものです。

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先日の仕事の打ち合わせのこと。

『江端さんは、この仕事を「やりたくない」のですか?』

と尋ねられて、思わず ハッ としました。

私は、今の仕事に対する問題点を明確にして、その対応策を考える為に、ここ暫くずっと、一日中、難しい顔をして考え続けてきました。

今の仕事に対する問題点を明確にすることは、その問題点を乗り越えてこの仕事を継続する為に、どうしても必要なことだからです。

でも、問題点ばかりが出てきて、その解決策が見えてこない。

こういう風に考え続けて、そのように振る舞う私は、確かに『この仕事を「やりたくない」』様に見えるかもしれない、と思いました。

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昔、私の上司が、『私が次々と繰り出す提案に、次々と難癖をつけてくる』こととは、

『お前の提案を通す為に、その提案の問題点を炙り出していた』

ということだったのかもしれません。

そして、

『その問題点を乗り超えて、自分の提案を貫け』

というエールだったのかも ――

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―― 違うな。

あの上司は、やっぱり、私に「意地悪」を言っていたんだ、と思う。

『嫌な奴だった』という判断が維持され、再審請求却下、ということで。
2011年 11月 03日
『24時間いつでもディズニーランド』
「人間失格 (まんがで読破) [文庫] 」という、太宰の「人間失格」をコミック化したものがあるようですね。

アマゾンの「なか見!検索」で、ちょっと読んでみたのですが「悪くない」。

著書とはコンテンツを楽しむものであり、その手段は何だって良いのですから。

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先日、NHKの番組で、年配の男性が「本とは、辞書を引きながら読むものだ」というような、言っていました。

私は、『阿呆なことを言っとるなぁ』と思いましたが、まあ、それを他人に押しつけなければ、それは個人の所感として自由です。

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前にも書いたかもしれませんが、「何故、勉強をするのか」という問いに対して、私の答はいつも決まっています。

「世の中の本を、全部『ドラえもんコミック』にする為」だ、と。

図書館にある本(文学、芸術、法律、理学、社会、歴史、その他なんだって)が、や、世界中にある建物、遺跡、人物、その他が、「ドラえもん」や「ワンピース」と同じように楽しめたら ――

どこにいたって、何をしていたって、人生は、どこだって「漫画喫茶」であり、「映画館」であり、「カラオケボックス」であり、そして「ディズニーランド」となるはずです。

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じゃ、お前は、今「ディズニーランド」の中にいるのか、と問われれば、

『通信パケットの挙動を突きとめて、作成した通信ドライバの最初の通信に成功した時』や、『ゼミ試験で良い点数が取れて、帰宅している時』などは、

拳をグルグル回しながら、軽やかなスキップをしてしまう様な「ウキウキ感」はあります。

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しかし『24時間いつでもディズニーランド』とするには、まだまだ勉強が必要そうです。
2011年 11月 02日
火車
宮部みゆきの「火車」の読者は多いようです。

なぜなら、この本の話題を振ってみると、かなり高い確立で当たるからです。

それを読んだ人同士であれば、初対面でも、いきなり100年の知己のように熱く語りあえる、という、稀有な著書です。

この本一冊で、私は何人かの女性と、親しく語らう機会を得ています(本当)。

まあ、それ以上に、この本は、ティーンエイジャには特に意義があると思います。

これからクレジットカードを持ち、消費者金融の「さわやかなCM」に騙され得る若者を守る為にも、文部科学省が推薦するなら、こういう本だ、と思う。

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まあ、「太宰」も悪くはないが、もっと後でも良い。

あれは「誰かを殺したくなった時」に、その実行直前に「人間失格」を読めば足る。
http://www.amazon.co.jp/火車%20(新潮文庫)%20[文庫]/dp/4101369186
2011年 11月 01日
ギャンブル
今更ながらですが、最近、家族がパソコンを使うようになってきました。

学校での宿題の下調べ、ランチの予約、アルバイトの調査、無料のマンガの購読、音楽の視聴等、私以外の家族全員が使い倒しています。

そういう時期になると、パソコンの色々な部品が壊れたりし始めるものです。

そんな訳で、最近は、秋葉原のジャンク屋に頻繁に通っています。

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修理に出せば、下手をすればパソコン本体の値段を超えるようなお金を取られます。

しかし、ジャンク屋では、200GバイトのHDDドライブや、スーパーマルチDVDドライブのジャンク品が、汚ないダンボール箱に無造作に放り込まれており、昼定食程度の値段で購入できます。

そして、勝手知ったる、エンジニアである私は、チャッチャと部品を交換してしまいます。

『「エンジニア」ってお得だよね」』という嫁さんの言葉は、(まあ、そこに至る投資を無視すれば)概ね正しい。

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ま、それもあるのですが、一種ギャンブルの要素もあります。

ジャンク屋のレジでは、

『本品はジャンクですので、よろしくお願いします』と言われます。

つまり、「動かない場合もあり、その場合も一切返品には応じない」と言っている訳です。

しかし、そこには、「動作して欲しい」を共有する、セラーとバイヤーとの、願望の共有や、熱い連帯感を感じることができます。

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これまで4台のハードディスク、DVDディスク、全て完動を確認。

おおよそ、賭け事というものに縁がない私ですが、ここ一番の勝負強さを発揮しています。