江端は、"Over the AIの第5回"にて、米国大統領選挙の選挙人制度が、民意を反映しにくいシステムであると指摘しました。これに対して、この制度が「優れている」という観点から、皆さんの論をご展開して頂ければ幸いと存じます。ご協力の程、何卒よろしくお願い致します。
(以下、江端のハートにヒットしたセンテンスを、江端が、赤字強調で示しています(文章はそのままです))
gauraさん <本文にある大統領選挙の性質について>
 
これって、むしろ望ましい性質という可能性はないでしょうか……?
同じシミュレーションを書いてみて感じたこととして、
この制度には以下の特徴が備わっているように感じました。
 
1. 選挙結果が少数派の意思決定まで汲み取るように影響を受ける点
 
現在の選挙制度では
50%からほんのコンマ数%のバイアスをかけるだけで結果が変化するのでした。
 
また本文で江端さんがおっしゃるように、
これは「制度A:全米全土の直接投票により、選挙人を比例代表する」投票制度では生じない現象でした。
 
しかし、ここからさらに「制度B:選挙人を"使わない"、全米全土の直接投票」では、
片側の候補が50.01%を獲得するバイアスがあると、100%(分散はほぼ0の極小値)勝利する。
という結果を私のほうで計算し、得ました。
この場合もほぼ分散がないので、まさにその0.01%差がそのまま結果に表れるためです。
 
この差異は結局、
制度Aにおける「選挙人を比例代表で選ぶ操作」が、
結果の離散化になっていることが原因
なのだと思います。
結果に差異を生む上では、1人分のステップの差が必要になるだけの得票差を必要とすることが
本質的だったということだと思います。
 
しかしこれは制度Aの元では「代表人数幅を超えるサイズの集団の意見だけが重要になる」ことを意味しませんか?
 
むしろ望ましいのは少数派意見をくみ取る可能性がある制度ではないでしょうか。
その意味では現行制度、または、制度Bは望ましい性質をもっていると言えそうですよね。
 
しかし勿論このことだけでは、「制度Bにしましょう」という事を意味します。
ですが以下のもう1つの性質があります。
 
2. 地政学的安定と、小人口地域の意見反映をもたらす性質
 
(もちろん記事の中で指摘されている内容は踏まえた上で。です。)
 
制度をゲームと見做した時に、
現行制度と制度Bを比較すると、制度Bで実施する場合には、
「人口を反映して地域ごとに代表者数を選んでいるので違いが無い」とは限らず、
「大統領候補者がどの地域における議論に力を入れるべきか」
のバランスが大きく変わると考えられます。
 
これはつまりこういう事です。
仮にアメリカを2つの州だけで考えてみます。
仮にこの2つを、地域A(200万人)と、地域B(50万人)としましょう。
 
人口の多い地域A(200万人)における支持者数が100万人の見込みになったとします。
 
すると現行制度では、勝者がこの地域の選挙人の全てを獲得するので、
この票数獲得が分かった時点で、地域Bへ移動し、そこで議論をすることになります。
一方で、制度Bを取ると、「残り50万人程度になるまで」
地域を移動せず、この地域にとどまったほうが有利という事になります。
 
なぜなら、地域Bには50万人の有権者しかおらず、
これを説得しても最大で50万票しか獲得できないのに対して
地域Aにはまだまだ100万人の有権者が残っており、
これを説得すると最大でまだ100万票を獲得できるためです。
 
ということは、これは
激戦であるほど大統領候補の移動が少なくなり
「まったく大統領選の議論が行われない地域が生じる」という結果につながります。
(≒なるべく参加したいセンシティブな議論のある投票ほど、一部地域が結果をコントロールしてしまう。)
 
したがって
もし制度Bを運用すると、人口密集地だけが政治参加を行える地域になります。
しかしこのような制度のもとで大統領を選ぶと、その
正当性を疑問視する地域が当然現れます。
それは場合によっては内紛につながりかねません。
 
広い地域のガバナンスを確立するためには、その広い地域に暮らす人たちを、
それぞれの地域で正しく説得する政治が必要だと思います。
現行制度は、それを推進する、良い仕組みになっているのではないでしょうか……?
 
 
さて私の考えたことは以上となります。
長文になってしましました。ここまでお付き合いいただいてありがとうございます。
Aさん あたしは…そうですね、勝者と敗者が明確にわかる(かどうかも怪しい)というところ、選挙人制度があることで地方の選挙区でも演説をする必要性が生まれ、さらには大統領候補は支持をとりつけるがために全米の状況を見なければならない、という点が"明確に優れているポイント"だと思います。

悪いポイントとしては、過去に4回ほど、一般投票で最高得票を得れなくとも大統領になってしまった、というケースもあります。さらに、選挙人制度自体が合衆国憲法修正12条で明記されてしまっているのでおいそれと変えれない"慣例"にも見えます。
Bさん 日本の小選挙区で決まる議員と同じようなものなので、特別非があるようにも思えません。
Cさん アメリカの10年以上駐在し,現地人のように暮らしてみると,今回の選挙はまさに民意(いや,本音)を反映している,と感じる.その意味で,この制度は優れている,と感じる.民意(本音)を大きくさらけ出すことが出来るシステムである.
 実は,個人的に,トランプ氏対クリントン氏,になった瞬間に,クリントン氏は選ばれないな,と直感した.
 その理由は,
1)少なからぬ日本の人はアメリカの多くの人は公平で,おおらかで,人当たりがいい,と感じておられるかもしれない.しかし,住んで,毎日いろんなものを見聞きし,いろんな人と応対をしているとその感想は全く当たっていない.アメリカの根本は,ヨーロッパ,いや,世界中から流れ込んできた一発当てたい,自国でははみ出したような人が作っている.日本からアメリカに渡る人の多くもそうであろう.そういう人たちが,そういう裏の欲望を持っていながら,それでは社会として成り立たないので,表向きは公平なような仕組み(法律)を作って共同生活を行っている.しかし,根は他を出し抜いて,少しでも良く,他人を蹴落とすことにある.その意味で,トランプ氏の方が彼らの本音の思考パターンには適する.
2)アメリカの人口の76%は依然として白人である.そのうち半分は男性である.彼らは,本音では,“今まで8年間もマイノリティの大統領で我慢してきた”,“にも係わらず,(クリントン氏になっては)またか”,という感情を持っている.しかし,決してそれは表には出さない.ところが,密室(選挙ブース)ではそれが出てくる.さらに,メディアがあおればあおるほど,先に述べたように一発当てたい人たちは反発する,
“俺だけ,私だけは従わないぞ”,と.そういう人たちの民意が反映されている.しかも少なくない.
3)
少なからぬアメリカ人は,実は判官贔屓である.つまり,強気をくじき,弱気を助ける人を好む.そういう人を,ヒーロー,と呼んで.今回の選挙は,メディアが持ち上げ,褒めそやし,強気になったクリントン氏に対して,のし上がってきたくじけないトランプ氏の戦い,と見れば一般大衆がどのように投票したか,が見えるのではないか.
4)恐らく調べられた,と思うが,人口対選挙人の重きは,白人の多い地域に置かれているであろう.北東部の州にそれなりの人数が割り当てられていることがその証拠ではないか.つまり,もともと公平ではなく,
白人の意志が反映されるように設計されているのではないか,と想像する.つまり,実はこの制度はアメリカ合衆国発足時の13州の意見が色濃く反映出来るシステムではないか,と感じる.

 と,個人的には,今回の選挙は実にアメリカ的,マッチョ,派手,博打好き,のし上がりたい,本音では差別している人たちにマッチしたものであり,彼らがクリントン氏を選ばない,という民意を反映できるシステムである,と感じている.
ロッキーさん 本来の直接の民意(多数)を表す全国民直接投票制ではなく、旧来の制度を周到しただけの制度に「優れている」議論をするのは単純な後付け作業であり、そもそも同意しません。私は江端さんの元々の意見(おかしい制度)に賛成です。ロッキー
Dさん 現状のアメリカ大統領選挙の優れている点
・基本的に議会の大半を占める大政党の代表者で無いと当選の目すらない事
 (コレは結構重要です。純粋に得票数で確定する国会議員が多数居ないと
 ダメなのでカルト集団などの少数の意見のみを反映した大統領は生まれにくい
わずかな得票のブレでも大統領の交代があるので民意を意識した動きが必然となる
・得票のブレがあって大統領が交代しても
議会との連携が無いと身動きが取れないので急進な政治的方向転換は実質的に実行が難しい
 議会、大統領ともに同じ方向を向くまでに不備な点は是正されていく

※ただし、大統領のみで確定できることにより大きな変革が起きる可能性もあるが
 その結果が民意に反していれば政権としては長く続かない

以下の記述は記載不要(判断はお任せします。)
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アメリカの政治構造は感覚的に以下のように感じます
車に例えるなら、
大統領は方向指示器(ウインカー)、ハンドルで議会はタイヤ・エンジンのような関係
国の方向性は大統領が決めるが、実際に進めるには議会が連携しないとダメ
(ハンドルだけ切ってもタイヤが回らなければその方向には行けない)
Eさん プログラミング能力がないため、推論および感情論からの意見しか出せないのが口惜しいところではありますが、意見を述べさせていただきたいと思います。

「アメリカ大統領たるもの、圧勝の下に選ばれるべきである」説

 スーパーパワーと比喩される強大な国家、かつ、複数の人種・宗教といった多元的な国家を牽引するためには、強力なリーダーシップを発揮することが必要です。そのためには、それなりの根拠が必要であり、「論理的思考力が凡庸である大多数の真の一般市民(対国外含む)」にとっては選挙での圧勝という分かりやすい結果を示すことが、容易に納得できる根拠となるのではないでしょうか。言い換えれば、アメリカ大統領選の現行制度は「選挙・投票で入力された民意を極大化して出力する」という装置として有効に機能し、結果として国家の安定と国内外におけるリーダーシップの発揮に寄与しているのではないでしょうか。

 選挙人が総取り方式ではなく比例代表で選ばれる制度、もしくは完全直接選挙で大統領が選ばれるシステムでは、支持率に差がある場合、差分以上の圧勝劇や逆転劇が起こる確率はほぼ絶無であることが先の江端氏のシミュレーションから読み取れるかと思います。それと同時に、
少数派人種・少数派宗教の立場の意見が惨敗しないということも示している様に見えます。
 つまり、完全直接選挙、もしくは比例代表で選挙人が選ばれる制度では少数派は惨敗しない(=自分たちの意見に数の力があると信じる根拠が得られる)ことになります。にもかかわらず、制度上は未来永劫勝つことはほぼ望めない。このようなシステム下では少数派にフラストレーションをため込ませてしまい、国家の安定を損ないかねないでしょう。

「わずかの支持率の差で獲得選挙人数を極大にする」という制度を採用することで、少数派の意見を「選挙で圧勝」という大義名分でたたきつぶし、
「少数派にガマンさせる口実を作る」ことで国家を安定させる・・・、人種・宗教のるつぼであるアメリカにとっては非常に優れた選挙制度と思われます。

(結論のマイナスイメージが強く、与えられた問いに対する答えとしてふさわしくないのではと投稿を辞めようかやや迷いました。あくまでも「肯定的な観点から記述しよう」としてスタートしたつもりだったのですが・・・。
このトリックを論理およびシミュレーションによって暴いてしまった江端氏に対して、アメリカ公安が今後どう動くのか心配です。「江端さんの防備録」を毎日拝読させていただくことを楽しみにしておりますので。乱文乱筆失礼いたしました。)
Fさん 前略
このような機会を頂けてうれしく思います。今回の大統領選の江端さんの記事には少し「?」が浮かんだところがありましたので。
「優れているという観点」を「今回の江端さんの否定的な意見を否定的にとらえる観点」にしてみたいと思います。(個人的には江端さんの記事は大好きでいつも楽しく読ませて頂いております。もちろん今回も。)

「投票率100%で、クリントンさん、トランプさんのいずれかに、ランダムに投票する」というシミュレーションを実施にもかかわらず、バラバラな結果が出てくる」 4頁目より引用
→極めてキャンブル性の高いシステムであることは間違いありませんが、これは「お前らが政治に無関心で適当(ランダム)に投票すると恐ろしいことになるぞ」という意味ではないでしょうか?民意無き投票による民主主義は、民主主義として機能していないと思います。烏合の衆は所詮烏合の衆であり、鵜匠の手綱(今回の選挙の場合は国家という枠組み)がなければ離散するか喧嘩(紛争)を始めるでしょう。

「現状の米国大統領選の仕組みは、そもそもが、投票のパターンに対して結果(選挙人獲得数)が恐しく敏感であり、加えて、ほんのちょっとした有権者の気まぐれで、選挙結果が簡単に大逆転してしまうもの」5頁目より引用
→素晴らしい民主主義じゃないですか。
民意無き投票(ランダムな投票)の99.99%に対してたった0.01%の民意のある投票によって99%以上の確率で民意が尊重される。こんな単純明快な民主主義はないと思います。

「"50.00%:50.00%"と、"49.99%:50.01%"のいずれにおいても、1万回のシミュレーションの全てで、クリントンさんとトランプさんの獲得選挙人数は、269人対269人の同点となり、勝負がつきません」6頁より引用
民意無き99.99%のせいで明確民意0.01%が無きものにされる方が多数決の原則から外れると思います。

「大統領たるもの@1年間の選挙期間を勝ち抜く気力と体力があり、A巨額の選挙資金を集めるカリスマがあり、B口論で相手をやりこめる根性の悪さとCスキャンダル攻撃に耐えれるメンタルもありD運もある」7頁目より引用
→@気力と体力がない人に国を任せるのは不安です。
A「この人になら税金の使い方を任せてもいい」と思わせる人柄が必要ということ?5,8327億ドルの国家予算ですからね…
B外交力、という観点から重要だと思います。
C憎まれっ子世にはばかる感じ…は無理があるかもしれませんが豆腐メンタルの人に国は任したくないです。
D意外と重要かも。

蛇足:これを見てA以外は某自動車会社の会長じゃん!と思いました。S社のSO会長は大好きです。

蛇足の蛇足:http://uproxx.com/news/hillary-clinton-democratic-voter-turnout/
トランプさんが勝ったのではなくでヒラリーさんが負けたんだという切り口は興味深かったです。
Gさん 今回も興味深い解析を示していただきありがとうございました。
この制度は欠点こそあれ、政治に(いい悪いはともかく)時々変化をもたらす、そしてその変化を好むであろう米国人気質にまあまあ合っているのではないかと思いました。

シミュレーションでおそろしくギャンブル的な結果が出るというのは、
a.入力条件(ここではどちらへ投票するか)に非常に敏感
  おそらく大きな間違いは無いであろう江端さまの結論からはシステム組み込み済みの性質であるようです。
b.そもそもその入力条件を形成するのが人の心理であり、なかなか予想ができない
の組み合わせであろうかと思います。
  これはファッションが分かりやすい例ですね。
  周知の通り業界がある年の流行を作るべく用意周到に動いてはいますが、流行る流行らないは購入して着るエンドユーザー次第です。

米国人について考えてみると、
a.8年続いた現政権の延長を次期政権に求めるでしょうか?
  長期だったブッシュ政権に嫌気して現政権を選んだ米国人です。
  日本人だったら予想出来て無難な方を選ぶでしょうね。
b.(上から目線の)メディアの報道を鵜呑みにするでしょうか?
  メディアもその報道対象もエリートです。
  庶民にとって自分とは別世界(日本以上にエリートとの差がある)の何かのショーを見ているような気分だったことでしょう。

つまり現在のAIが苦手とするであろう心理をうまく読まないことには大統領選を予想するのに必要な1万人に1人より少ない心変わりをうまく予想できないことになり、結果まともな予想は不可能という結論になりはしないでしょうか。
どうしても予想したいなら何か別の手法を追加する必要がありそうですね。
確かに今回は"相手が悪かった"のでしょう。

さて人の心理が絡むので予想が難しい大統領選、少なくとも今回に関してはそう悪いシステムではないと思います。
投票者の49.92%はトランプ支持だったのです。
この程度の差なら
ギャンブル的にあちらへ転ぶ可能性を容認する、つまり何かしらの変化を起こし得るビルトインメカニズムと考えられないでしょうか。
そうやってときどき
政治の硬直化を防いでいるようにも思えます。
遺伝の突然変異と同じで効率はよくなく
思いっ切り間違った方向へ行くかもしれないですが、座して死を待つよりは何か違うことをやってみようということでしょう。
それが米国のちょっと突拍子ないことも含めいろいろなレベルの変革を生む、そしてそれが世界中から人を惹きつける原動力となっているのではないでしょうか。
Yattanさん 「なぜAIは米大統領選の予測に・・」の記事は、「支持率を推定するという方法では大統領選の結果の予測は困難」という論であり、他の何かを推定するという観点は飛ばしているものの、十分納得できるものでした。

さて、映画:バックツーザフューチャーのエンディング、「未来は真っ白」でした。
人が未来に向かって努力するのは、より良い結果を得るためでしょう。未来が確定して変更できないものであれば、「どうせ・・」とつぶやいて、怠惰になることでしょう。
 
多数決という民主主義が良いシステムであるためには、一票を投じる行為が投票する本人にとって価値のあるモノであるべきです。その価値とは、「未来を左右できる程度」です。
「自分の一票によって結果が変わる可能性は無視できる程度」であれば、棄権したり不まじめな一票になる可能性が高いでしょう。「自分が真面目に投票しなくては、自分にとっても国にとっても悪い結果になる可能性があり、かつ、自分の投票が多少なり結果を左右できる」という状況であるときに
皆が真剣になると考えられます。

江端さんの検証が示したように、このシステムは「偶発的に支持の低い候補者が当選してしまう」危険があります。
危険があるから、一票に価値が生じます
卑近な意味で「(善なる)神」と「悪魔」を選択する選挙で、軽く過半数の人が神を選んだのに悪魔が当選して、国全体を支配する・・というのは悪夢です。
   
米国大統領選挙のシステムは、次のように解決を試みていると思えます。
立候補する時点で、社会的に成功し、信頼を勝ち取った有徳者でなくてはなりません。
その後、中間選挙、党内での予備選挙、その他の多くの段階を経ます。
その過程で悪魔は除外されます。最後の投票に至る段階では、「善なる神」と「たぶん善なる神」との選択になりますどちらを選んでも最悪の結果にはならず、ベストとベターとの間でチョイスです。 
 
「一票あたりの当選者の数」ではなく、
「一票が最終結果を左右する程度」という重みでシステムのパラメータを数理的に評価してはどうかと思います。また、その「程度」と実際の投票率の傾向を比較するのも面白そうです。
 「一票の情報エントロピー」として「最終結果を左右できる確率の対数」を用い、これに有効投票数を乗じてみたらどうかな・・と思います。
- Yattan
Hさん 大統領を選挙で選ぶ人(有権者)になる為に、有権者がお金を払って資格を得ているようです。ある意味、投票の不正防止ができている。言葉を変えれば、投票者をフィルタリングできている。参考: http://www.cnn.co.jp/m/usa/35069393.html
Iさん 今回も江端さんの鋭い数値解析を興味深く読まさせていただきました。

まず本論での”民意を反映させる”ということが”スナップショットで誰が国民に支持されるかを順位付ける”と定義づけられるとします。つまりこれは直接選挙ということとほぼ同じと考えています。

これを踏まえて、現大統領選挙制度が優れている点は以下のように考えます。

(1) 1回での直接選挙で大統領を選ぶことは大統領任期のすべての民意(の積分値)を示しているとは考えにくいこと。これについてはお隣の国をはじめとして、反例はいくつもあげられると思います。

従って選挙プロセスに1年間程度の時間をかけることで
民意の微分係数(勢い)を選挙に反映させている。つまりは国民の、将来への見通しの変化、emotinalな変化を選挙結果に反映させていると考えられる。これはsimulationには反映することは難しいですね。

(2) 会社でも同じで経営を従業員全員で1発の投票で決めたらとんでもないことになると思われる。それぞれが気づいていないこと(情報)を共有化し、
各種のフィルターを通し、ある程度組織的に物事を決めていく仕組みが必要である。その点でも現システムは優れている。
 感情論ですが、江端さんのおっしゃる通り
「大統領選はサプライズを作る装置」でいいのではないでしょうか。
 米国大統領選挙は1対1の戦いになるので、直接投票の選挙であれば、事前にある程度の差(例えば40対60)が付いていると逆転の可能性がほとんどなくなってしまいます。
 
サプライズがありうるからこそ、大統領選挙が全米のお祭り騒ぎとして成り立つのではないでしょうか。