江端さんのひとりごと 「人間失格」 2004年9月13日 読書の秋、食欲の秋、勉強の秋。  読書と言えば、ティーンの頃は、嫁さんも私も一通り著名な日本文学をざっ くり(×じっくり)と読んだようなのですが、少なくとも文部科学省が推薦す るような意図の通りに、その作品を理解したとは言いかねるようです。  太宰治の「人間失格」を読んだ時、私は、『これは精神的ミーイズムに苛ま された社会的不適合者の話だな』と考え、『確かに、この作品の主人公は「人 間失格」の名に恥じない、完璧な「人間失格者」だ』という感想を、いわゆる、 太宰ニストであるMさんや、嫁さんに話したところ、『誤読も甚だしい!』と えらく怒られた記憶があります。  『太宰治作品の主人公は、全員、社会的不適合者に見えるという』と言う私 に、Mさんは、まだ私が読んでいない一冊、「斜陽」を薦めてくれました。  その後、私が「斜陽」を「陽斜」と間違えて本屋に探しに出かけて行った事 を聞き及んで以来、何も言わなくなりました。  それはさておき。 -----  秋の味覚が美味しい時期になりました。  栗ごはんなどが美味しいのですが、栗を剥くのが面倒なので、さつまいもを 角切りにしたものを米と一緒に炊いた「炊き込みご飯」を嫁さんにリクエスト しました。  ところが、なんか返事をしぶりますので、不思議に思って問い詰めたました ところ、嫁さんは子供の頃に風邪をひいた時に、土鍋一杯の「お粥」を一気食 いし、胃腸をも悪化させるという痴れ者ぶりを発揮し、それ以来、この料理を 避けて来たのだそうです。  私 :「つまり、それは『芥川』・・ということだな?」 嫁さん:「・・正解」  私の伴侶は、原作の主人公を地で演じる文学的な妻です。 (本文章は、全文を掲載し、内容を一切変更せず、著者を明記する限りにおい て、自由に転載して頂いて構いません。)