Making of 「停滞党崩壊」

Making of 「停滞党崩壊」

2002/07/09

このような時期にあって、かかる一文を草することが世間の顰蹙を買うことは重々承知している。

しかし、我慢も限界だ。

言わずにはおられぬ。

ああもう、うざってーなW杯!

テレビつけりゃW杯、新聞広げりゃW杯、職場の話題もW杯、朝から晩までW杯、もう勘弁してくれ。

結局は虚しい空回りに終わりそうな警察のフーリガン対策、

負けたからといって自国内で暴動を起こすロシヤ人、

派手なペンキを顔に塗りまくって恥じないサポーター連中、

どれもこれもが阿呆らしい。

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あまりのバカ騒ぎぶりに、私は職場で思わず本音を喋ってしまったのだ。

「日本なんてさっさと負けて、早くこの異常な熱狂が収束すればいいな」と。

周囲の反応は冷たかった。

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球技に魅了される人は数多い。

だが、冷静に考えてみるがいい。

球技とは、平たく言えば球コロ遊びに過ぎない。

犬は投げられた球コロを必死に追い、猫は与えられた球コロにじゃれつく。

犬や猫が球コロに夢中になるのは仕方がない。

しかし、なぜに人間様があれほどまでに球コロを投げたり打ったり蹴ったりする行為に夢中にならねばならんのか。

その情熱が私には不可解である。

その心理が私には謎である。

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プロのサッカー選手や野球選手とは、言うなれば「球コロ達人」である。

マスコミは、彼ら球コロ達人たちを、球コロ達人であるというそれだけの理由で一角の人物として取り上げ、あまつさえ人格者として扱う事すらある。

そしてそんな扱いを、読者や視聴者は当然と受け止め、誰一人として訝しく思わない。

# 正気かね?>世間

一体、独楽回しの達人や剣玉の名人を、それだけの理由で人格者として扱うだろうか?

え、独楽回しや剣玉と一緒にするな、って?

ならば球コロ達人が独楽回し達人よりも格が上であることを論証してくれ。

球コロを上手く投げたり打ったり蹴ったりする行為が、賞賛に値する行為であることを論証してくれ。

球コロ達人と独楽回し達人は同レベルである、という私の考えに精緻に論駁してくれ。

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ここで寄り道。

W杯に参加している国に対して、大きなお世話的コメントを記しておく。

・アルゼンチン

 お前らなぁ、国が破綻しそうなのに球蹴ってる場合か。

・ポルトガル

 かつては先進国として名を馳せた時代もありましたねぇ。

 日本人も江戸時代にはあなた方から多くを学んだものでしたよ。

 ところで、おたくの国は今は何をやってんですか?

 普段は全然話題にもならんもんで。

・アフリカのどこだか

 国を挙げてサッカーに力を入れてるらしい。サッカー立国だと。

 ダメだね。

 そんなビジョンしか持てないようじゃ、21世紀も先進国から搾取され続けるね。

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世の中には本当にうんざりするほど、スポーツ好きな連中が多い。

頭の中の8割がスポーツで、残りの2割が金と女。

これが偏見であるのは承知しているが、そう思わずにはいられない。

だが、世の中には私のような、ガキの頃からの筋金入りのスポーツ嫌い(特に球技)人種がいるのだ。

このような人種は、たぶん日本では(世界でも?)圧倒的少数派だ。

そして不幸だ。

オリンピックが開催されるたび、日本シリーズが始まるたび、「ああ、またバカ騒ぎが始まる」と憂鬱な気分に陥り、その間は目を閉じ耳を塞ぎ、じっと時が過ぎるのを待つ。

映画や小説を避難所として心理的引きこもりを実践する。

今月はW杯と梅雨が重なり、まことに鬱々とした日々が続いている。

私の期待とは裏腹に、日本は勝ちすすんでいるらしい。

まだ暫くこの状況を耐えねばならないようだ。

早く終われW杯。

今の私の願いはそれだけだ。

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今日は研究会聴講ではるばる大阪に行ってきた。

プレゼンテーションの最中に、テキストベースの実況中継のテロップを入れやがる阿呆な発表者がいて、全然集中できんかった。

バッテイングがいやなら、延期すれば良いのに。

それなりに試合は見ているけど、私も国民的平均から見ると醒めているほうでしょう。

今日も大阪のサポータに巻き込まれるのがいやで、大速攻で新大阪から逃げ帰ってきたくらいだから。

まあ、こういうイベントでのナショナリズムの炸裂は、少なくとも戦時下の国威高揚政策よりはずっといいと思いつつ、渋谷や道頓堀の阿呆を見るのも一興です。

まあ、今の時期に、ワールドカップに不満を表明するのは、言論統制下の特別高等警察(特高)がはびこる戦時下の夜警国家より、危険な状態にあることは認めます。

さて、この文章が歴史的に与える意味と言うのは大きいんですよ。

少くとも日本が決勝トーナメントに出るのと張るくらいはあります。

そこで、これは初めてのお願いですが、本文章のブラッシュアップして貰えませんか。

いい歳こいたオバハンが、奇声を上げてイタリアの選手のおっかけをやっている見苦しさを追加 などなど。

私も言いたいことがあるので、最終的には共著にしましょう。

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> まあ、こういうイベントでのナショナリズムの炸裂は、少なくとも戦時下の国威高揚政策よりはずっといいと思いつつ、

そうかなあ。

熱狂する対象が異なるだけで、その心理的傾向はきわめて類似している、と私には思えるのだが。

だいたい、日本ではサッカー人気はそれほど高くなかったはず。

盛り上がったのはJリーグ発足当時だけで、徐々に人気は凋落し、結局のところ野球に匹敵するだけのメジャースポーツにはなりえなかった。

日本で開催する史上初のW杯だから、盛り上がるの当然としても、こうまで熱狂するほどサッカーファンは多くないはずです。

今大騒ぎしているサポーター連中も、その多くは「にわかサッカーファン」なのでは?

こういった連中はW杯が終了するとあの熱狂ぶりがウソであったかのように一気に引きますね。

んで、「日本人にはやっぱ、野球だよね」とかほざくだろうね。

# つくづく、いい加減だねえ君達。

こういう輩が一番たちが悪いね。

戦時下で我先に敵の殲滅を唱え、戦争反対派を非国民と罵るのはああいった連中なんだろうな、と思って暗い気分になりました。

> まあ、今の時期に、ワールドカップに不満を表明するのは、言論統制下の特別高等警察(特高)がはびこる戦時下の夜警国家より、危険な状態にあることは認めます。

確かに。

スズメバチの巣に石を投げるよりも、ピラニアの放流された川を裸で泳ぐよりも、嘆きの壁に立小便するよりも、もっと危険かも知れません。

渋谷や六本木で盛り上がっているサポーターのど真ん中で、「日本負けろ!」と叫んだら本当に殺されかねない。

> そこで、これは初めてのお願いですが、本文章のブラッシュアップして貰えませんか。

う〜ん、ブラッシュアップですか。

まずは江端が好きなように書いてみて。

他の人の書いた駄文力で自分の駄文力が触発される、といった掛け合いが大切でしょう。

「もしW杯に北朝鮮が出場したら」とか

「シミュレーション インドVSパキスタン」とか

想像するのも面白いかも。

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> う〜ん、ブラッシュアップですか。

> まずは江端が好きなように書いてみて。

> 他の人の書いた駄文力で自分の駄文力が触発される、といった掛け

> 合いが大切でしょう。

じゃ、まあ、とりあえずこんな感じで、無難なところから。

(ロイター発共同)

「党首の許容する範囲内での言論の自由」を旗印として、リベラルな革新政党を標傍する日本停滞党の幹部会議において、この度、『日韓ワールドカップにおける停滞党見解』の発表の自粛が17日深夜、神奈川県にある電気メーカ社宅内の停滞党党本部において決定されていたことが、関係筋より明らかになった。

これは、電子メールを印刷したメモが、社宅の裏のゴミ捨て場に無造作に捨てられているのを、同社の社員が発見したことから、一連の事実関係が明らかとなった。

メモには、以下のような記述が見られる。

党首:「まあ、今の時期に、ワールドカップに不満を表明するのは、言論統制下の特別高等警察(特高)がはびこる戦時下の夜警国家より、危険な状態にあることは認めざるを得ないであろう」

導師:「確かに。スズメバチの巣に石を投げるよりも、ピラニアの放流された川を裸で泳ぐよりも、嘆きの壁に立小便するよりも、もっと危険かも知れん。渋谷や六本木で盛り上がっているサポーターのど真ん中で、『日本負けろ!』と叫んだら本当に殺されかねない」

このように、停滞党幹部が、現在の日本のワールドカップフィーバに恐れをなし、自らの主張を自粛し、日和っている様子が生々しく記録されており、関係筋によれば、今後停滞党党員の大量離党は避けられないとのこと。

本社のインタビューに対して、停滞党党首は「事実無根であり、自民党と共産党とCIAとKGBの陰謀である」などと訳の分からないコメントを繰り返しており、「停滞党は、日本のサッカー協会、プロ野球協会、全国高校野球連盟に対して、建党以来、終始一貫してその支援の姿勢を崩していない」と主張している。

警視庁は、ワールドカップの閉会式を待ち、停滞党党首および導師に、事情聴取を兼ねて、任意動向を求める方針を明らかにした。

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>「党首の許容する範囲内での言論の自由」を旗印として、リベラルな革新政党を標傍する日本停滞党の幹部会議において、この度、『日韓ワールドカップにおける停滞党見解』の発表の自粛が17日深夜、神奈川県にある電気メーカ社宅内の停滞党党本部において決定されていたことが、関係筋より明らかになった。

党本部が社宅内であるところが泣かせるねぇ。

で、このメモが発見されたのが事件の発端になるわけですか。

幹部の日和見主義に愛想を尽かした党員が、週刊誌等のマスコミに内部告発する、という展開ですか。

裏切った元党員がこっそり録音していたテープからは、幹部の信じられないような発言が次々と出てくる。

・サッカーを「球コロ遊び」と侮蔑した上、選手は犬猫に等しいと嘲笑。

・他国に対する露骨な差別感情。

 特に某国に対しては「お前らが飛行機を持っていたとはなぁ」などと国際問題に発展しかねない不用意な発言。

・朝から晩までW杯の報道しかしないマスコミを馬鹿呼ばわり。

 報道に従事する人間としての資格なし、と一刀両断。

・熱狂するサポーターを「愚民ども」と罵倒。

 これだけノセられやすい国民だから、デマを流して革命を起こすのは簡単だね、と停滞党の政権奪取計画を熱く語り合う。

・FIFA会長の暗殺計画も浮上。

ここまでばれちゃあ、仕方ない。

宗男以上に追い詰められたからには党解散しかないでしょう。

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ああ、どうしよう。

やっぱりこの国はアホがどんどん増殖している。

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W杯の日本戦を公務員が職場でテレビ観戦してよいか―。

禁止令”を出した山形県庁には賛否両論計189件の意見が寄せられた。

山形県庁のホームページと相談室に17日までに寄せられた意見は

「国中の盛り上がりに水を差すな」

「(県職員が)かわいそう」など約7割が批判的で、

「公務員としては当然」などは39件と少数だった。

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もちろん私は「公務員としては当然」派です。

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うむ。

私も、正直、この記事読んで冷えた。

基本的には、始末書覚悟で「個人」が実施するもので(だからこそ、応援の意味がある)、「公人」がそんなことしたら、何もかもあったもんじゃない。

議会の最中に、観戦休憩を動議した阿呆な自民党議員もいたらしい。

今回は、「誰が延長した分の職員の残業代を出すんだ」と言った共産党議員の言い分が正しい。