三宅@Sunnyvale->東京大田区です。 海外赴任から帰ってきました。 赴任先はアメリカとはいっても、江端先生の住むコロラドあたりとは 違って日本情緒が色濃く影を落としているシリコンバレー周辺からです。 帰任では、会社の制止を振り切って(?)、San FranciscoからUnited Airlinesに乗って帰ってきたのですが、なんともドラマチックな、 テレビでよくあるシチュエーションとはいえ、なかなか実際には体験 できないことを経験しました。 私の乗ったUA853便は、Crewの調整で予定より30分遅れで出発しました。 約11時間弱のフライトが残り3時間ほどとなったとき、機体の後方が あわただしくなってきて、フライトアテンダントが行き来していました。 その後しばらくして、まず日本語で「お客様の中にお医者様か看護婦 さんはいらっしゃいませんか?」というアナウンスが流れ、その5分後に 今度は英語で同様のアナウンスが流れました。どうやら誰かが名乗りを あげたようで、30分ほどは少し落ち着いた様子でした。 しかし、再度「We need ANOTHER doctor! We have people who is in a medical emergency!」というアナウンスが流れ、乗員の間に緊張感が 広がっているのがわかりました。 到着約1時間半前の食事は平静を装って出されたのですが、到着1時間前 ほどから、乱気流の様子もないのに「Fasten Seat Belt」のサインがつき 北海道の沖合いから成田方向にまっすぐ向かうという通常とはちょっと 異なる航路を取り始めました。 そして、到着30分前になって、機長のアナウンスがありました。内容は、 重態の患者が出たので緊急着陸を試みる。この機体には実は他の問題もある 計器の故障と思われるが最悪の場合は油圧を失う可能性もあるかもしれない。 といった、かなり深刻なものでした。 そして、フライトアテンダントが緊急マニュアルのようなものを持ち、 「安全姿勢」についての説明を始めました。ベルトをしっかり締め、 前かがみになって足首をつかむという姿勢です。そして、再度のアナウンス 「ご搭乗機は成田空港に緊急着陸いたします。当機の到着に備えて、 成田空港では他の航空機は全て待機し、緊急自動車も待機しています。」 という内容が、機長の流暢な英語のアナウンス後に、たどたどしい 日本語で流れました。そして、「緊急脱出が必要な場合には、お手荷物は 全て機内にお残しください」とも付け加えられました。 そこから先は、なんとなく時間の経過が長く感じられました。 私たちの乗ったBoeing777は、通常よりも減速のタイミングが遅く、 かなりの急降下で成田に向けて一直線に向かっていくのがわかりました。 滑走路が見えてきて、まもなく着陸というとき、乗員たちがいっせいに 「Brace! Stay down!」と叫び続けていました。そして、タッチダウン。 結果としては通常の着陸とほとんど変わらない状況で着地しましたが、 いつもと違ったのは、整備工場脇の駐機場でいったん止まり、緊急の 患者さんを運び出すという作業が行われたことだけでした。 ということで、予定の時刻より約30分遅れで、私は成田空港第1ターミナルの 21番ゲートに下りることができたのでした。 まぁ、終わってみれば「安全姿勢をとる」というめったにない体験をした だけですが、なかなかスリルとサスペンスに満ちた帰任でした。