片山です。 一週間ほど前に、以下のようなメールをもらい、 どのように対処すべきか、悩んでいます。 ぜひ皆様に的確なアドバイスをいただきたいと思います。 どうかよろしくお願いします。 なお、元メールは英語だったため、うまく訳せていない ところがあるかもしれませんが、あしからず。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ご機嫌いかがかな。日本のビジネスマン諸君。 突然のメールで申し訳ないが、君たちに依頼したいことがあるのだ。 おっと失礼、まずは自己紹介だね。 私は、防犯上の理由で名前は明かせないが、カナダにすむ大富豪だ。 とっても日本が好きで、日本の文化にも造詣が深い。 例えば、朝6時のラジオ体操は、かかした事がないし、体操の後は すもうレスラーの真似をして、朝から大飯をくらって昼寝をする ということを習慣にしている。 また、仕事が一段落すれば、「UCHIAGE」と称して職場の人間と Japanese Restaurant で「ENKAI」を行うのが常だ。 日本の文化を理解しない私の部下は「ENKAI」をいやがる輩もいるが、 団体行動を乱す事を私は許さない。 ちょっと話が横道にそれたが、私が日本の文化の中でも好きなのは、 「SENTO」(訳者注 銭湯の事らしい)での、 「HADAKA NO TUKIAI」(訳者注 裸の付き合い らしい) と、多くを語らずに、言いたいことを言外に、におわし、 人の気持ちを「OSIHAKARU」(訳者注 「推し測る」らしい) ということだ。 なのに、私の日本好きも今となっては過去のものとなってしまった。 あの男と会ってから、私を侮辱した日本人をそして日本を憎むようにすら なってしまったのだ。 その日、私は休日の習慣であるサウナに入るために、専用ジェット機で フィンランドに向かっていた。 ところが、行き付けのサウナに故障が発生し当分使えない、という 連絡があり、目的地を変更しノルウェーに向かうことにした。 思えばこの時、フィンランドの別のサウナにするか、 とっととあきらめて引き返せば、あんな忌まわしい出来事には あわずに済んだのに、この点はいまでも悔やんでいる。 しかし、以前にノルウェーに滞在したときに、世話をしたホテルの支配人から ぜひ立ち寄ってほしいと言われており、ついつい行ってしまったのだ。 その忌まわしい出来事は、その予定外に滞在したホテルのサウナで 起こったのです。 私が、サウナ室で汗を流した後クーラーで涼んでいるときに、 その男は入ってきた。 顔が東洋系なのと、なんとなくおどおどした態度、 そして彼の持っている本が日本語であったので、すぐに日本人で あることはわかった。 サウナといえば、日本では「SENTO」と同じ。きっと あこがれの「HADANKA NO TUKIAI」ができる。 私は、うれしくてすぐにでも話かけたい気持ちだったが、 あることに気付き話し掛けるのを躊躇してしまった。 なんと、その男はサウナにパンツをはいてきているではないか。 日本人は「SENTO」に入る時には、裸になるはず。 どうして彼はパンツをはいているのだ? もしかしたら彼は日本人ではないのだろうか? しかし彼の持ている本は明らかに日本語だ。そしてあの自信のなさそうな 態度、きっと彼はサウナが初めて、パンツを脱ぐ場所がわからないに 違いない。きっとサウナ室に入ってから脱ぐのだろう。 そんな事を考えている間に、彼はサウナ室に入ったようです。 彼に話し掛けようと、私もサウナ室に入ってビックリしてしてしまった。 なんと、彼はサウナ室の中でもパンツをはいたままではないか。 しかも、私が入っていっても、本を読んだまま顔も見ようとしない。 これでは、話し掛けることもできないではないか。 「SENTO」で知らない者どうしが、世間話しをするのが 日本の文化じゃないのか。 パンツははいてるわ、話しもできないわ、では 「HADAKA NO TUKIAI」ができないじゃないか!! 『おまえは、それでも日本人か!』といいたいのをぐっとこらえ 私は紳士的に話し掛けることにしました。 日本人は話しのきっかけに、季節の挨拶をするそうです。 しかし、ここはサウナ室です。いえる言葉はこれしかありません。 「Hot!」 やっと彼は本から顔をあげ、こう答えました。 「Too hot」 季節の挨拶が終了すれば、もう友達です。 私は彼が日本人であることをさりげなく確認した後、 どうしてパンツをはいているのか。とたずねました。 日本人が湯船にタオルをつけないのと同様、サウナではパンツは脱ぐのだ! ということを友人として教えてあげたかったのです。 しかし、彼の答は 『サウナの後にプールに入るつもりだ。だから履いているのだ』 というものでした。 私はちょっと驚きました。サウナに入った後の汗まみれのパンツで そのままプールに入るつもりなのか! 私はなんとか阻止しようと思い、プールがまだオープンなのは 知っていましたが、「USO MO HOBEN」(訳者注 うそも方便)で、 『プールはすでにクローズしているぞ』 と言っておきました。 その後も、何度かパンツを脱ぐように忠告しましたが、 彼はどうしても聞き入れません。「HADAKA NO TUKIAI」 を拒否され、私はだんだん腹が立ってきました。 そのうちに、彼はこんなことを言い出しました。 『私はサウナが大好きなので、私の友人をこのサウナに招待した。 すぐに彼らはここにやってくるだろう』 私は彼が何を言いたいのかが、すぐにはわかりませんでした。 これが、日本人の「OSIHAKARU」ということなのか、と思い、 彼の言いたい事を考えました。 どうやら、彼の友人は一人ではないようです。 数人の彼の友人が訪れれば、この狭いサウナ室には入りきれないかも しれません。ということは、彼の言いたいことは 『おまえはじゃまだから立ち去れ!!』 ということのようです。 そりゃあ確かに、私は太っていて普通の日本人の2倍の面積を占有するかも しれない。それにしても、先に入っていたのは私の方だ。 それを後から入ってきて、「HADAKA NO TUKIAI」を拒否した 挙げ句に、邪魔だから出て行け。というのはあんまりじゃないか!! 私の怒りは頂点に達しました。 しかしここで彼に殴り掛かるのは得策ではありません。 何しろ1対1だし、全員が「KARATE」(訳者注 空手らしい) の達人である日本人に、何も武器をもたないでかなうはずがないからだ。 私は、彼にそして全ての日本人に報復すべき、ある秘策を胸に秘め、 その場はおとなしく引き下がったのだった。 さて、日本のビジネスマン諸君。私の考えた秘策がわかるかな。 私は前にも言ったが大富豪だ。しかも半端な富豪ではない。 私の武器は財力だ。それを使って彼に報復する手段を考えたのだ。 これから、私の豊富な資金を使って大量にYEN(訳者注 円)を 買いまくることにする。何度も言うが私の資金は半端な額じゃない。 その気になれば、世界経済を混乱におとしいれるくらいのことは 簡単にできるのだ。それだけの資金でYENを買えば、 どういうことになるか。賢明な諸君ならもうお解かりだね。 そう、円高だよ、それも急激な。 君たちの会社はさぞかし困ることだろうね。 いくら優秀な君たちでも、何人かは失業することになるかもしれないね。 日銀や連銀が介入するかもしれんが、そんなものは問題にはならない。 私の資金は君たちの国の予算をはるかに超えているのだから。 もっとも、連銀が私の言う事をきかないとは思えないがね。 私を止める方法はただ一つ。 この「失礼な日本人」を君たちの力で探し出し、 私の前に引き連れてきてほしい。 一つ言い忘れていたが、彼がノルウェーに来た目的は、 インターネットの国際会議に出席のため、とか言っていたな。 円買いを始めるまでに、君たちのあまりにも短いサマーバケーションまで 猶予期間を与えることにしよう。 では、優秀な君たちが失業しないことを心から祈る。Good Luck −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− こういう事情で、日本のある組織がこの「失礼な日本人」を 探しているようなのです。 私もその組織から、なんでもいいから心当たりがあったら教えてくれ, と言われています。 そして有力な情報提供者には十分な報酬を保証する、そうです。 さて、私には確信的な心当たりがあり、有力な情報提供者になり得るのですが、 いくら国のためとはいえ、友人を売るような真似はできません。 しかし、こうして悩んでいる間にも円はジリジリと値を上げ始めました。 私はどうすればいいのでしょう。