江端さんのひとりごと 「プログラム使用許諾条項の新コンセプト」 Windows OSのパソコンを利用している方なら、以下のような経験は茶飯事だ と思います。 (1)マイクロソフト社のワープロソフトWordを使っている時、いきなり操作が できなくなって、半日かけて作った報告書が全滅した。 (2)WindowsのOSが突然クラッシュして、サービスが全部停止した。 (3)マイクロソフト社に原因の究明と対応を求めたら、滅茶苦茶なコンサルタ ント料を請求された挙句、何の解決にもならないような、的外れな回答を 得るはめになった。 こんな理不尽な扱いを受けて、よくエンドユーザはマイクロソフト本社に焼 き打ちに行かないものだ、と不思議に思ったことはありませんか? それは、焼き打ちをかけれないような「きまり」があるからなのです。 それが、使用許諾条項の中にある「免責」条項です。 (以下、「マイクロソフトソフトウェア製品のライセンスポリシーハンドブッ ク(www.microsoft.com/japan/legal/license/MS_LPH.pdf)」より抜粋) 免責条項 いかなる場合においてもマイクロソフトおよびその子会社は、第三者 ソフトウェア製品の使用または使用不能から生じる直接または間接の 損害(逸失利益、事業の中断、事業情報の喪失、またはその他の金銭 的損失を含みますがこれらに限定されません)に関して一切責任を負 いません。たとえ、マイクロソフトおよびその子会社がこのような損 害の可能性について知らされていた場合でも同様です。 江端要約 マイクロソフトのソフトやOSを使って出た損害については、責任を取 らんよ。 江端解釈 いやなら、使うな。 まあ、私もソフトウェアの技術者ですから、厳密な意味で、ソフトウェアの 安全性を保証できないことはよく分かるし、ユーザが開発者も意図せぬような 使い方をされた時の状況まで想定して、ソフトを作ることはできません。 と言うわけで、免責条項が述べたいことは分るのですが、なんか、暖かみと 言うか、『心』が無いんですよね。 ------ この度、私が作った新しい許諾条項の免責に関する部分を、御紹介したいと 思います。 詳しくは、こちらを読んで頂くとして、 http://www.kobore.net/soft/rexpdll.txt ポイントは、ここです。 『予想通り動かなかった場合、その責任は江端にもありますが、 あなたにもあります。 江端は、何の保証も補償もできませんので、悪しからず御了承くだ さい。』 すなわち、 (1)責任の所在(作ったワタシと、使ったアンタ)を明確にした上での、 (2)保証と補償の放棄宣言(何もしないよー) です。 使用許諾条項の新しいコンセプトとして、マイクロソフト社をはじめとして、 各ソフトウェア会社では、是非採用して欲しいです。 こんな風に。 ----- 免責条項(改訂版) いかなる場合においてもマイクロソフトおよびその子会社は、第三者 ソフトウェア製品の使用または使用不能から生じる直接または間接の 損害(逸失利益、事業の中断、事業情報の喪失、またはその他の金銭 的損失を含みますがこれらに限定されません)に関して マイクロソフトには責任があります。 しかし、 それを承知の上で使ったあなたにも責任があります。 上記の状況を鑑みまして、マイクロソフトは一切保証も補償も行なえ ませんので、予め御了承下さい。 ----- きっと、好感度、上がると思います > マイクロソフト社 殿 (本文章は、全文を掲載し内容を一切変更せず著者を明記する限りにおいて、 転載して頂いて構いません。)